つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

c2_短編(5冊以内)

弟の夫

ゲイマンガ界の巨匠「田亀源五郎」が初めて一般誌で連載を持つことになって話題となった本作。カナダから突然やってきた外国人男性は、弟の「夫」だった。男同士の結婚というカルチャーを上手く消化できない主人公と、何の偏見もなく彼に接する小さな娘の2…

榎本俊二のカリスマ育児

さすがに「榎本俊二」である。 昨今、世の中にあふれているマンガ家の育児エッセイマンガとは一線を画している。 これだけシュールに自分の子供を描けるのは、ギャグマンガ家が最も得意とする、客観視の力が大きいのだろう。 また、父親という観点で育児を眺…

いちえふ

やはりマンガ読みとして「いちえふ」はオススメしておきたい。 福島原発内部に潜入し、内部の労働事情を描いた本作は、マンガとしてもそこそこ面白い。ただ、それよりもやはりこのテーマが連載されて、単行本になっているというマンガ業界の懐の広さに感動す…

予告犯

非常に面白い作品だ。インターネット動画投稿サイトで、社会悪に対して制裁を加えるテロリスト「シンブンシ」の登場から物語は始まる。そして、徐々にネット社会を味方につけていく「シンブンシ」と、対警察との頭脳戦を描いた秀逸なサスペンス。基本的に昨…

私が言うとおりになる

「毛魂一直線」という、何ともふざけた作者による、謎のスピリチュアルギャグマンガである。昨今の様々なギャグ漫画から影響を受けたと思われる作風は、お世辞にも読みやすいとは言えず非常に混沌とした内容だが、何とも言えない勢いのある作品である。また…

薫の秘話

カルト系作品の話になれば、必ず取り上げられる作品の一つが本作「薫の秘話」である。 そもそも、ハゲ、デブ、チビ、マザコンに、ホモでニートの主人公なんて、マンガ史上二度と登場しないだろう。 そんなマイノリティー主人公が、社会を口先三寸で笑い飛ば…

羊の木

「いがらしみきお」の作品はどれも怖いわけだが、どちらかというと静かな怖さである。そこに原作「山上たつひこ」がついたことで、設定的には最も強烈な作品となったのが本作だろう。 凶悪な元犯罪の受刑者11名を、街に受け入れる事で法務省から補助金をもら…

ミリオンジョー

もし、ONE PIECEのような壮大な長期連載作品の作者が、突然の死を迎えてしまったら世の中はどうなるのか。 長期連載がはびこる現代だからこそ描けたサスペンス作品が本作である。 少年マンガで大ベストセラーを誇る作品「ミリオンジョー」の担当者を務める主…

IPPO

何とも独特の作品を描く作者「えすとえむ」の作品。 イタリアの祖父の元で腕を磨いた若き靴職人が、日本で注文靴の店を構えることから物語りは始まる。 作者得意の少し鬱蒼とした雰囲気が、靴職人の世界の雰囲気になじんでいながらも、主人公キャラクターが…

坂本ですが?

作者「佐野菜見」が描く近年トップクラスの謎のシュールギャグ漫画。 とにかくスタイリッシュに何事も成功させる謎のキャラクター「坂本くん」の学校生活を描いた異端の作品。 正直、こんな頭のおかしいシュールギャグを4冊も続けられたこと自体が偉業であり…

偉大なるしゅららぼん

鴨川ホルモーの原作者「万城目学」が描く学園ファンタジー作品。 人の心を操る不思議な力を持つ能力の一族に産まれた主人公の物語なわけだが、人知を超えた能力の描き方は鴨川ホルモーと同様の展開だが、物語の面白さとしては今一つ。 特に、設定が難しくな…

限界集落温泉

忙しさから逃げ出してホームレスになったかつての敏腕ゲームクリエーターと、狂言自殺が好きな売れないネットアイドルが、過疎化で営業停止した、田舎の温泉旅館で出会うことから始まる、故郷再生物語。 といっても、銭の作者「鈴木みそ」らしく、ノスタルジ…

怪盗ルパン伝 アバンチュリエ

作者「森田崇」の代表作となるモーリス・ルブランの名作のコミカライズ。 イブニングの連載中止からヒーローズコミックスで無事復活した本作だが、名作「奇厳城」編を収録できた意義は大きかった。ルパンという非常に魅力的なキャラクターをマンガの世界で楽…

アバンチュリエ

日本でルパンのマンガを読むのであれば本作をオススメしたい。そんな風に感じる傑作である。 もちろん、原作のルパンの面白さがあるからこその本作の出来栄えなのだが、それにしても、トリックの舞台となる建物や、いかにもナルシストでアーティスティックな…

河よりも長くゆるやかに

デビュー以来、独自路線を走り続けた作者「吉田秋生」の感性が良く出ている作品。男子高校生3人組の男くさい青春を描いた物語と紹介される事の多い本作だが、その表現は適切ではない。出展は忘れてしまったが、「読んだ時に女子高の雰囲気だと思った」という…

ゆかりズム

偶然だが、本日も前世作品のレビューである。作者「潮見知佳」は、「ゆららの月」から始まる一連のシリーズが代表作だが、本作も、なかなか見劣りしない作品である。産まれた時に、体に刀傷の後を持った主人公と、彼の江戸時代の過去生に絡んでいた人々が徐…

いつもポケットにショパン

ベテラン「くらもちふさこ」による往年の名作であり、主人公「麻子」と幼馴染の「季晋」のピアノと青春を描いた本作。長期間にわたって読者から評価される作品が必ず持ち合わせているものとして主人公の魅力というものがある。不器用で母親との関係が上手く…

ガートルードのレシピ

様々な悪魔の身体の一部をつなぎ合わせて創られた人造悪魔「ガートルード」と、そんな彼の旅につき合う事になった少女「佐原」の物語。悪魔の製造方法を「レシピ」と評するタイトルにもあらわれているように、ファンタジー作品としてのオリジナリティは相当…

ママゴト

やはり「松田洋子」作品は良い。人間の持つ泥臭さの表現の幅が、並のマンガ家と一線を画している。 風俗店時代に授かった最愛の子供を自分の不注意で死なせてしまった映子。 その事件以降、子供と向き合えない人生を送っていた彼女が、友人の子供を預からな…

マザー・ルーシー

ペンネームが色々と変わる作者「沖さやか」の初期作品。掲載していたヤングサンデーで回収騒ぎを起こした連載「マイナス」の次に発表された本作だが、一言でいえば振り切れている。ひたすら楽しく、SEXしたいだけの日々を過ごす、主人公ルーシーが、突如…

リトル・フォレスト

東北地方のとある村の中の、小さな集落「小森」そこで暮らす主人公「いち子」 大自然の中で描かれる四季の暮らしと、美味しそうな食生活。 全てが便利ではないと頭では分かっていても、都会の人が憧れてしまう田舎暮らしを、自然マンガの天才「五十嵐大介」…

2001夜物語

日本のマンガ界でSFジャンルが終わったのは、この作品のせいだったのではないか、と個人的には考えている。2001夜物語はそれぐらい全てを終わらせてしまった、偉大な古典の名作だ。 今から約30年前に描かれたとは思えない、深い洞察と、宇宙への憧れ、そ…

純潔のマリア

「もやしもん」の作者というイメージが強くて忘れていたが、「週間石川雅之」の作者でもあったのだな、と思い出させられた。 イングランドとフランスの100年戦争の時代に生まれた魔女マリアは、自分の嫌いな戦争をなくすために、世界中を相手に自分勝手に戦…

B.B.joker

圧倒的に斬新でくだらないダジャレを、何とも可愛らしい絵柄で展開したある意味伝説的な4コマ作品。最初読んだ時、少女マンガ出身のギャグ4コマで、こんなスゴイ才能があり得るのかと心底驚かされた作者「にざかな」だが、原作のどうしようもないネタを書く…

僕らはみんな生きている

これは、「山本直樹」の最高傑作と呼べるレベルの作品ではないだろうか。もちろん原作があるので、全てが作画担当の「山本直樹」の手柄ではないが、原作とは異なる味わい深いキャラクターといい、原作者が褒めるラストの演出といい、作者の才能がそこかしこ…

マドモアゼル モーツァルト

もはや書籍版は新品では購入できないかもしれない。ただ、隠れた名作だ。 天才音楽家モーツァルトが、実は女性だったという大胆な設定を舞台に物語は展開するが、モーツァルトの奔放な精神、作曲群と、サリエリとの愛憎ともいえる関係性がこの設定故にリアル…

柴田さんちのエリザベス

これは久しぶりに勿体ない作品だった。世界的な富豪の娘「エリザベス」がお見合い手を間違えた事をきっかけに、日本のしがないサラリーマン「柴田薫」のお嫁さんになるという強烈な導入。しかも、「薫」の家には前妻が残した、連れ子が5人。そんな生活の中に…

9時から5時半まで

ベテラン「逢坂みえこ」による往年の名作。80年代に経営コンサルタント会社を舞台に、女性と仕事をテーマにした本作を描いた腕前は流石である。この辺り、自身が経営コンサルタント会社に在籍していた経験がなければ、描けなかったであろう。また、流石に約3…

ヨイコノミライ 完全版

今でこそベテランになりつつある、作者「きづきあきら」+「サトウナンキ」の夫婦コンビだが、その名を高めたのは、やはり本作からだろう。漫画サークル系マンガが人気を博しはじめた、2000年代にWeb系雑誌に颯爽と登場し、ダークな視点のオタクマンガを提供…

さよならソルシエ

(2013年評)久しぶりの酷評なので、ファンの方は読まない事。当初、連載が始まった時点では、私はこの作品を避けていた。なぜなら、作者「穂積」の作品だからだ。 内容的には凡庸に見えた「式の前日」があれほど売れた理由は、今まで女性マンガを手に取って…

KING MARKER 王の採点係

ファンタジー色が得意な作者「喜多尚江」による作品。呪いで子供の姿にされてしまった王子様が、現代日本に携帯で転送されてくるという、異色の設定で始まる物語だが、全2冊と、十分な面白さが発揮される前に完結してしまった印象である。王子様の呪いを解く…

喰う寝るふたり住むふたり

結婚しないで同棲生活が続き、気が付けば8年が経過した頃から始まる男女の日常物語。内容自体は普通だが、1つの話を常に男性編と女性編の2つの視点から描くという構成が抜群にはまり、人気作品となった本作。 常に1話を2つ書き続けるのだから、作者「日…

サルチネス

久しぶりに「古谷実」に泣かされた。 一世を風靡した「稲中」以来、創作を模索してきた作者。 「ヒミヅ」以降は、ひたすら人生からの問いかけを哲学する事が課題となり、エンターテイメントとしてのマンガは、置き去りになっている感もあった。 しかし、本作…

時間の歩き方

「榎本ナリコ」が面白いのは知っていたが、もっと感性のマンガ家だと思っていたので、タイムトラベル作品が描けるとは夢想だにしなかった。 ところが、これが面白い。 勿論、凄く難しい設定の作品なので粗を探そうと思えばたくさん見つかるのだろうが、最初…

タネも仕掛けもないラブストーリー

高校の手品部を舞台にしたラブコメ作品が、全3冊で完結。手品部という設定は悪くなく、そこに、アイドルを目指しているヒロインが加入するという導入部分は良かった。加えて、彼女の手品が実は超能力だったという設定も、興味深いところだったのだが、予想以…

ジュゲム・ジュゲム

地味な作者「ケイケイ」が送る何とも言えない女性の日常を切り取ったオムニバス形式の作品。非常に地味な作品なのだが、どこにでもありそうで、なんとも言えない日常を面白い物語として描く腕前はなかなかのもの。キャラクターの表情も目玉が描かれるだけで…

掟上今日子の備忘録

マンガ版は5巻で第1シーズン完結との事。しかし、流石に原作「西尾維新」である。眠るたびに過去の記憶を失う忘却探偵という設定は、数多くの探偵マンガが乱立している現代においても色褪せない設定だった。そして、忘却探偵が登場する遠因を描いた2巻のスト…

うみべの女の子

オシャレ系最先端のマンガ家「浅野いにお」の作品。知っている限りでは性描写が最も多い浅野作品なので、その辺りが嫌いな人は読まないほうが良い。 いくつも浅野作品を読んできたが、そろそろ「浅野いにお」が理解できた。 最初に読んだ時のインパクトが素…

ヤスコとケンジ

俺物語でブレイクした作者「アルコ」の代表作。 元暴走族の総長「ケンジ」とそんな兄貴に頭を悩ます「ヤスコ」の二人の兄妹バトルを描いたコメディ作品。かなりギャグ寄りの作品で、よくありがちないざとなったら頼れるお兄ちゃん的な物語はあまりなく、強烈…

諸星大二郎特選集

最近のマンガ読者にはそこまで知名度が高くないが、往年のマンガファンには、圧倒的な天才として知られている作者「諸星大二郎」。 しかし、それにしても改めて読み返すと天才すぎる。どれをとっても面白い短編集で、個人的には「感情のある風景」に感動した…

どうにかなる日々

相変わらずマンガ読み泣かせの作者、それが「志村貴子」である。何か物凄く深いテーマ性や物語があるわけではなく、淡々と男と女や少年と少女や場合によっては少年と少年の恋愛やSEXを描く本作。シリーズで続く短編もあれば単品で終わる話もあり、テーマ…

アヴァール戦記

「群青」で名をはせた作者「中村珍」によるアヴァール物語。 物凄くファンタジー色の強い表紙はフェイクで、本作は、アヴァール=けちをテーマにしたドキュメンタリー作品である。 内容的には、絵を物凄く凝って描くと、アシスタントさんの代金や食費等も含…

あしめし

「アシスタトでメシが食えんのか」略して「あしめし」である。その名の通り、アシスタント体験ルポマンガであり、当初はブログで連載していたものが、昔の担当のよしみで書籍化。作者の「葛西りいち」は、その後、このネタを引っ張って、色々な続編を書籍化…

洗礼

加齢とともに美しさを失っていく恐怖に耐えかねた女優が、若さと美貌を取り戻す事だけを目的に、娘を産み、そして自分の娘と脳移植をするという伝説的な作品。 一度読んだら決して忘れられないこの設定は、マンガ黎明期にのみ許された特権であり、このインパ…

できるかな

「まあじゃんほうろうき」の頃から「西原理恵子」作品を読んでいるわけだが、既に二十数年が経過してしまった。その間、彼女のヒットにあやかろうと様々な女性ルポ系作品が世の中に登場したが、最後の女無頼派として、後続を寄せ付けなかった結果が現在の地…

LET IT BE!!

読者からの下ネタ相談という異色の作品「コイズミ学習ブック」で天下を取った作者「こいずみまり」の初の長編ラブコメ作品。決して絵が上手い作者ではないはずなのだが、マンガらしさの原型を感じる作風で、昔から同じような絵を描いているが、今でも古臭く…

ゲレクシス

「古谷実」が終わってしまったのかもしれない。ゲレクシス完結の2巻を手に取ったわけだが、そんな憤りを覚えるほど、どうしようもない終わり方だった。ご存知の通り近年の「古谷実」作品は、ここで終わるの?と思わせるようなタイミングで幕を降ろすのだが、…

低俗霊狩り 完全版

80年代に登場して以来、現在に至るまで続いているオカルトジャンルの定番作品。作者「奥瀬サキ」も、まさかこの作品の寿命がここまで長くなるとは夢にも思わなかった事だろう。作品自体は連載誌の度重なる休刊により、非常に長い間未完の状態であったが、そ…

迷子屋

「木村りん」の初連載作品。精神が肉体から離れて迷子になると、人は記憶を徐々に失っていく。そして、記憶を失ってさまよっている人間の心を肉体に戻すための手助けをしてあげる主人公「迷子屋」 なかなか面白そうな設定の作品だったが、いかんせん、初連載…

精霊使い(エレメンタラー)

90年代に連載された伝説の作品であり、絶筆宣言後、しばらく消えたマンガ家になっていた作者「岡崎武士」の代表作である。第一部完という形で終了していた本作だが、「レッツラグーン」でマンガ家業を再開した事から、本作も、再編集特別版として日の目を見…