つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

c2_短編(5冊以内)

宗教漫画の苦難 ~ あっかんべェ一休

総合評価・・・3.84 久しぶりに一流の作品を読んでしまった。とはいえ誰にでもオススメできる面白いマンガというわけではない。本ブログでは稀に「一流の作品」という表現を使うのだが、これは、「面白いとか面白くないとかを超えて創作者としての熱量が凄ま…

ご近所ヒロイン ~ 雪乃すくらんぶる

総合評価・・・3.36 懐かしのNORAコミックスである。作者「井原裕士」の初連載作品という事で1巻の最初に収録されている読み切り「雪乃エマージェンシー!」の初出がなんと1993年だった・・・。個人的にはノーラコミックス全般は若いころに読んでいた少し古…

黒手塚の怪作 ~ 奇子

総合評価・・・3.56 手塚作品はあまりに膨大にあるわけだが、黒い手塚作品としてはかなり知名度の高い本作を今更ながら読了。タイトルがヒロインの名前「奇子」で、ネット情報だと手塚治虫がエロシーンを描いているという事や近親相姦といったテーマが強調さ…

厄介物 ~ ゴーストライター

水木しげるで育った身としては、どうしても怪奇ジャンルの漫画が大好きなのでその手の作品はすぐ手に取ってしまう。という事で本作ゴーストライターを読んでみた。人の心を勝手に自動書記してしまう「伊勢よしの」と、ネクタイを硬化させる能力で怪奇と戦う…

氷河期とごはん ~ 一日三食絶対食べたい

総合評価・・・3.30 発表当時、第一話をネットで読んだときに、その完成度の高さと雰囲気の良さに驚いた作品。突如として氷河期になり食料が無くなってしまった現代日本を舞台に、ダメ男子「ユキくん」としっかりした少女「リッカさん」の二人が肩を寄せ合っ…

薀蓄料理漫画 ~ てんまんアラカルト

総合評価・・・3.38 さて、当たり前のように面白いの水準を毎回上げていく天才「小林有吾」による傑作「フェルマーの料理」がドラマ化するという事で、これはもう当然としか言いようがないだろう。それぐらい、フェルマーの料理は昨今の料理マンガの中では頭…

水木しげるの怒り ~ 悪魔くん千年王国

総合評価・・・4.24 さて、以前この記事を書いた時は世の中ではゲゲゲの鬼太郎の猫娘が話題だったのだが、今度は悪魔くんが再アニメ化という事なので改めてリライト。悪魔くんというのは鬼太郎と比較すると非常に難しい作品で、正直、売れたか売れないかでい…

極道ギャグの開拓者 ~ 極道一直線

総合評価・・・3.76 ものすごく久しぶりに再読して大爆笑したので、過去記事のリライトをしようと探してみたところ・・・ ゲゲンチョー!! まだ書いていなかったのである、この傑作に関して。まさか極道一直線の記事を書き忘れていたとは。今でこそ極道をネ…

異色短編集 ~ 藤崎竜作品集

総合評価・・・3.64 最近、封神演義のレビューがやけにPVが多いので、それに関連して久しぶりに読み直した藤崎竜の各種短編集を再レビュー。ちなみに藤崎竜の短編を読みたい場合は、以下2つの方法がある。 ジャンプコミックスの藤崎竜短編集(全2冊)こちら…

近年最高のSFジュブナイル ~ 彼方のアストラ

総合評価・・・4.18 最近はウィッチウォッチが山場に入っている篠原健太作品だが、スケットダンスもウィッチウォッチも好きだけれども、やはりマンガとしての完成度は本作「彼方のアストラ」が畢生の出来栄えであり、読み返すたびに圧倒される。ちなみに本ブ…

耽美とSM ~ 沈夫人の料理人・料理店

総合評価・・・3.48 異色の料理漫画として、そして忘れられないキャラ立ちの女性主人公として、思い出される本作。 美食大好きで、女王様気質の「沈夫人(しんふじん)」と、何をやっても間抜けで腰が低いが料理だけは超一流の料理人「李三(りさん)」のコ…

萌え文化の新境地 ~ メタモルフォーゼの縁側

総合評価・・・3.78 前回に続き、女性二人が主人公のマンガ第二夜マンガランキングで上位を獲得し映画化もしたので未読の方は少ないと思われる本作だが、正直苦手なマンガである。だが、それは面白くない、という意味ではない。非常に面白いのである。読後感…

幻想の同棲生活 ~ ストレッチ

総合評価・・・3.44 OL慧子と女子大生の蘭の二人が、なんとなくキャッキャッウフフする同棲生活を眺めるという、よくある萌え系百合マンガのジャンルに「ストレッチ」というオリジナリティを加えた作品。とだけ書くとなんとも身も蓋もない説明になってしまい…

少年漫画の原罪 ~ タコピーの原罪

総合評価・・・3.24 さて、少し前に話題になったタコピーの原罪は、下巻発売と同時に読んでいたのだが、やっとブログに書く時間ができた。内容的には完全にネタバレ含めて、かつ、そこまで高評価ではないのでファンの方はお帰りください。以下本文。 さて、…

吉田聡の世界 ~ スローニン

総合評価・・・4.02 青春作品の王者、「吉田聡」が描く大傑作。 著作の中では知名度は低いかもしれないが、個人的には1,2を争う名作だと考えており、何度読み返しても泣かされてしまう素晴らしい作品である。 過去、甲子園決勝戦でエラーを犯したトラウマ…

hなhとA子の呪い

物凄く久しぶりに更新。 久しぶりすぎてはてなブログの書き方を忘れるレベル。 最近は純粋にマンガを楽しむ為にブログを書かずに、のんびり読む専門で暮らしていたのだが、本作を読んで久しぶりに書きたくなったので、記事にする事にした。内容としては、性…

そしてボクは外道マンになる

田舎から出てきた新人漫画家「平松伸二」が、当時の過酷な少年ジャンプの世界で生きてのびていく体験を描いたフィクション自伝作品も4冊で完結である。作中、色々な過去のジャンプ関係者が登場した本作だったが、残念ながら、「鳥嶋編集長」の見立て通り、中…

岡崎に捧ぐ

作者「山本さほ」の人生を決めたといっても過言ではない本作が、全5冊でついに完結したが、個人的には残念な最終巻だった。正確には確かに面白い作品だったけど、最終巻は正直、この倍ぐらい面白くできたんじゃないか、と思ってしまう。それぐらい4巻の最後…

その「おこだわり」俺にもくれよ!!

「青春ヒヒヒ」といった狂気のギャグマンガを描いていた「清野とおる」が、まさか北区赤羽でエッセー漫画の大家になるとは夢にも思わなかった。そんな作者の異常な執着の集大成ともいえるべき本作。人生の些細な楽しみにこだわった人々、通称「おこだわり人…

ちいさこべえ

山本周五郎の原作小説「ちいさこべ」を元に、鬼才「望月ミネタロウ」がコミカライズした本作。原作は時代小説となっているが、本作はそれを現代版にアレンジして再構築した作品なのだが、このクオリティが何とも素晴らしい出来栄えである。特に望月作品の持…

雲出づるところ

土田世紀作品の中でも、未読だった本作を古本屋で購入。あらすじからして重い話だとは思っていたが、上下巻を通して読むと心底重たい。幸せの絶頂を迎えるはずだった二人が、癌との闘病生活を始める事になる展開に始まって、これでもか、というくらい困難が…

ワニ男爵

最近、記事を書くのを怠けていて色々溜まってしまった。まずは個人的に最高に好きだったのに終わってしまって残念なワニ男爵から。この作品の何が失敗したかというと、間違いなく編集者の売り方のせいで、極限までにシュールギャグをとがらせていたワニとウ…

僕僕先生

ネムキの出すマンガは、他の雑誌では味わえない面白さを持つ作品が多いので、個人的には好みである。そして、そんな独自路線という意味で、完全にわが道を歩んでいた中国の仙道を描いた本作も全4冊であえなく完結である。「仁木英之」の原作小説は何冊も出て…

Romsen Saga

表紙はロマンシング・サガのパッケージの雰囲気を完全にパクリ、似たようなタイトルをつけておいて、中身はコメディRPGという、「ゴツボ☆マサル」の描く困ったファンタジー作品。世界最強の門番が出てきたり、何でも叶える魔法のランプを持つ盗賊が出てきた…

雲の上のキスケさん

女性の視点でリアルな世界を描かせれば、右に出るものはいないのが「鴨井まさね」である。全編通して物語の起承転結があるかと言われればない作品だが、そんなところを通り越して、大人の女性のリアルな日常を描き切っている快作。基本的には、恋愛と仕事の…

自虐の歌

知っている人は知っている、マンガで人生を描く作者「業田良家」 本作は、映画化などもしてしまい、ちょっと有名になりすぎてしまったが、感動を期待して読むような、そういった類の作品ではない。 あくまでくだらない4コマ漫画として楽しむべき作品である…

YES!

ベテランが自分の持つマンガ力のままに、哲学的なテーマを奔放に描くと、ここまで作品がとっ散らかるのかとある意味、驚愕する作品。作者「槇村さとる」お得意の、働く女性をテーマにした作品で、主人公「入江みどり」は人気アナウンサーとして、キャリアの…

生存~Life~

現在のように引き伸ばしてばかりの作品を描いていない頃の「福本伸行」原作によるショートサスペンスのお手本のような本作。余命半年を宣告された、家庭を省みなかったサラリーマンの主人公。自殺を考えた彼に届いた警察からの一本の電話は、14年前に失踪し…

ロッタレイン

人間描写の巧い作者「松本剛」による全3冊の物語。都会を離れて、かつて自分を捨てた父親の家族のいる田舎に移り住んだ主人公と、その家に住む娘との徐々に歪んでいく日常。この辺りの、生活が徐々に煮詰まっていく描写は非常に秀逸で、最後まで結末が気にな…

四年生 / 五年生

「木尾士目」の鬱時代の代表的な作品であり、大学四年生という、大人でもあり子供でもある、就職、恋愛、将来の悩みと、様々なものに一気にぶつかる時期の大学生を丁寧に描いた傑作。 「四年生」の時点ではエンターテイメントとしての体裁をまだ保っているも…