つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

極道ギャグの開拓者 ~ 極道一直線

総合評価・・・3.76


ものすごく久しぶりに再読して大爆笑したので、過去記事のリライトをしようと探してみたところ・・・

 

ゲゲンチョー!!

 

まだ書いていなかったのである、この傑作に関して。まさか極道一直線の記事を書き忘れていたとは。

今でこそ極道をネタにしたギャグ漫画が普通に描かれるようになったが、本作連載の2000年頃となるとそんな尖ったギャグ漫画はまだそこまで作られておらず、なかでも劇画系のギャグマンガと言えば野中英次が最先端を走っていたような時期に思える。

そんな中、劇画系の作画と死ぬほどバカバカしい設定で殴りこんできたヤクザマンガが本作「極道一直線」なのである。

1巻表紙より引用

一度読んだら二度と忘れられないインパクトを持つこのハゲのおっさん組長が、毎回毎回どうしようもない道具やネタを持ち込んできて組員を不幸に巻き込むギャグマンガ。このくだらなさが最高なのだ。



特に個人的にお気に入りなのが、「机引き出しシリーズ」

1巻より引用。毎回ろくでもない呪いの道具を出してくる。

河童の皿、般若のお面、コブとりじいさんのコブ、etc
そして毎回犠牲になる組員のサブ。
展開は同じなのに笑わずにはいられない、はっきりいって天才である。

そのほかにもストーカーシリーズや宇宙人シリーズなど数多くの面白いシリーズがあるが、傑作を選べと言われると34話の「塀の中の懲りた面々」や68話「買収一直線」あたりだろうか。もうバカバカしさが圧倒的なのだ。

唯一の弱点はさすがにこのハイテンションギャグを描き続けるのは身体がもたなかったのか完全に意味不明なベクトルの話がまぎれこむことがあって面白さの当たり外れが大きい点だが、そのあたりも含めて傑作ギャグマンガが持つ要素を満たしているといえるだろう。毎回笑いのネタを考えられるセンスは常人の技ではない。

作者「三上龍哉」はXを探すと現在はマンガから離れているようだが、いまだに忘れられないギャグマンガの傑作のひとつである。


残念ながらKindle版はないようで、もったいない。今でも通用する面白さだと思うのだが。