つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2010年代女性系

他者との交流 ~ 違国日記

総合評価・・・3.80 「花井沢町公民館便り」以来の久しぶりのヤマシタトモコ作品だったが非常に良かった。個人的には作者の最高傑作に位置付けたい。その理由はこの作品の主題が「他者との交流」にあるからだ。本作の主人公は、交通事故で突然両親を失った中…

ライオスだった九井諒子 ~ ダンジョン飯

総合評価・・・4.52 2014年から連載開始されたダンジョン飯が全14冊でついに完結したのでレビュー。さて最終の13巻と14巻は2冊同時刊行という事で、この奔放な作品がどのように完結するのかハラハラしていたが見事にまとめ上げてみせた作者の腕前に感服であ…

エロス系JK ~ フラレガール

総合評価・・・3.48 お色気JK「赤坂さん」と天然男子「青山くん」のラブコメ、というよりギャグ寄りのエロコメ作品。ヒロインの赤坂さんは先日レビューした兄友のヒロインとは真逆の存在で、ついたあだ名が愛人という困った存在。このあたりの作品の幅の広さ…

ウブウブラブコメ ~ 兄友

総合評価・・・3.42 本作は作者「赤瓦もどむ」の初オリジナル連載作品で、所帯じみたヒロイン「七瀬まい」と、女の子慣れしていない兄の友達「西野荘太」のペアによる全10冊の恋愛ラブコメである。花ゆめ45周年記念の作者インタビューでも語られている通り、…

数少ない編集マンガの傑作 ~ 重版出来!

総合評価・・・4.00 「重版出来!」がついに2023年に完結した。第1巻の発売が2013年ということで10年間で20冊、満を持しての完結である。「松田奈緒子」作品との付き合いは長く、手元にある「レタスバーガープリーズ. OK, OK!」の1巻の発売が2001年となっ…

恋に憧れた主人公 ~ 高校デビューから素敵な彼氏

総合評価・・・3.78 デビューから圧倒的に名作を作り続けて、かつ、連載のたびに時代に合わせたキャラ作りができる作者というのは、やはり天才であって、それが「河原和音」なのである。というわけで、部活少女が恋愛にデビューするという斬新な設定で一世を…

萌え文化の新境地 ~ メタモルフォーゼの縁側

総合評価・・・3.78 前回に続き、女性二人が主人公のマンガ第二夜マンガランキングで上位を獲得し映画化もしたので未読の方は少ないと思われる本作だが、正直苦手なマンガである。だが、それは面白くない、という意味ではない。非常に面白いのである。読後感…

薙刀ジャンルの開拓者 ~ あさひなぐ 

総合評価・・・3.68 ずいぶんと久しぶりに更新。 ついに完結という事で、中盤からしばらく距離を置いていた、「あさひなぐ」をやっと読了。 久しぶりの大型部活マンガだったと思うので、マンガ界の一大ジャンルといえる「部活マンガ」という領域に関して、ネ…

ふしぎの国の有栖川さん

個人的にハル×キヨが好きだった「オザキアキラ」作品である。 大切に育てられた箱入り娘で恋愛に超鈍感な主人公「有栖川鈴」と、いつもやさしい完璧イケメン、野宮くんとのラブコメディ。なんともストレートな少女漫画で、序盤は恋愛と無縁の主人公の慌てぶ…

パレス・メイヂ 番外編

パレス・メイヂ 番外編~陛下のプロトコール~【電子限定おまけ付き】 (花とゆめコミックススペシャル) 作者:久世番子 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 近年の宮廷系ロマンスとしては最高峰といえる「パレス・メイヂ」の番外編もついに完結という事で…

カルト宗教信じてました。

最近は、出版できる人の裾野が広がったおかげで、色々なエッセイ作品が読める。その中でも特にジャンルができつつあるのが、この「宗教に染まっていた人生」を見返す作品である。 これが、なかなか面白いドキュメンタリーで、他者から見るとなぜそんな人生に…

岡崎に捧ぐ

作者「山本さほ」の人生を決めたといっても過言ではない本作が、全5冊でついに完結したが、個人的には残念な最終巻だった。正確には確かに面白い作品だったけど、最終巻は正直、この倍ぐらい面白くできたんじゃないか、と思ってしまう。それぐらい4巻の最後…

町田くんの世界

非常に気に入っていた本作も全7冊でついに完結である。ここ十数年変化が見られなかった、学園少女マンガにおける理想の男性像をメガネの主人公に置き換えたのだから、作者「安藤ゆき」の偉業はもっと称えられるべきだろう。実際問題、この造形のキャラクター…

僕僕先生

ネムキの出すマンガは、他の雑誌では味わえない面白さを持つ作品が多いので、個人的には好みである。そして、そんな独自路線という意味で、完全にわが道を歩んでいた中国の仙道を描いた本作も全4冊であえなく完結である。「仁木英之」の原作小説は何冊も出て…

YES!

ベテランが自分の持つマンガ力のままに、哲学的なテーマを奔放に描くと、ここまで作品がとっ散らかるのかとある意味、驚愕する作品。作者「槇村さとる」お得意の、働く女性をテーマにした作品で、主人公「入江みどり」は人気アナウンサーとして、キャリアの…

たそがれたかこ

「入江喜和」ほどスポットライトの当て方が特殊なマンガ家も少ないだろう。最近始まった新連載もそうだが、本作は45歳のヒロインという設定で、非常に地味な主人公の日常を描いている。ただ、地味な主人公が面白くないかというと、マンガとしては全く逆で、…

新久千映のお酒のお時間です

女性の酒飲みマンガ家として、その地位を完全に確立した作者「新久千映」のお酒マンガである。今回のテーマは、家でのお酒という事で、食べ歩きジャンルではなく、様々な家の中でのお酒との過ごし方が描かれている。酒飲みが酒とつまみを楽しむというジャン…

高台家の人々

ベテラン「森本梢子」の腕が冴え渡る、異色のラブコメ作品。冴えない会社員の主人公「木絵」が、風邪で会社を4日休んでいる間に現れたのは、海外支社帰りのイケメン社員の王子様。 と、ここまでは如何にも王道少女漫画だが、その王子様が実は人の心を読める…

さばげぶっ!

なかよし連載の少女マンガとしては、完全にギリギリのラインを攻めた唯一無二のサバゲーギャグ少女マンガ。この辺りのテーマ選びののセンスは、流石に一度ヒット作を出した「松本ひで吉」だけの事はある。学園内で絶大な人気を誇る「鳳美煌」に無理やりサバ…

人間仮免中 つづき

読む前からどんな悲惨な結末になってしまうのかが恐ろしくて、なかなか手を出せなかった本作をついに読了。まえがきの段階から既に不穏な要素だらけで、いつ不幸が訪れるのかびくびくしながら読んだが、結果としては、想定する限り最も幸せな結末だったので…

あたらしいひふ

「高野雀」の同人誌時代の初期作品集である。大型新人として、「さよならガールフレンド」で鮮烈なデビューを果たした作者だが、流石に初期作品群という事もあって本作のクオリティ自体は並。ただし、表題作の「あたらしいひふ」は非常に面白く、服というテ…

図書館戦争 LOVE&WAR

「有川浩」の有名な原作小説をコミカライズした本作。検閲により本が狩られる時代、メディアを規制するメディア良化委員会と、それに対して図書館の自治を守る図書隊の対立という、なかなか突拍子もない設定が、ある意味マンガの世界に非常にマッチしている…

いとへん

全1冊完結の、仕立て屋物語 「宇仁田ゆみ」が描くにしては珍しく、天然で可愛らしさだけが取り柄なおバカ主人公「ななこ」と、仕立て屋の師匠「ヒラタ」のほんわかしたやり取りを描いた作品。 アマゾン等を見ると、案外酷評が並ぶが、このレベルの作者が描い…

スラム団地

人とは違うオリジナリティを持ちながら、人間描写が巧みなマンガ家はすべからくスラム出身ではないだろうか。 そんな不謹慎な想像を裏づけしてくれる本作「スラム団地」 作者「松田奈緒子」の幼少時代の団地での生活を描いた作品だが、その後の作者の描くマ…

リアル風俗嬢日記

Webバナー等で度々広告が出ていた本作。見た感じエッセイ系の要素が強そうで、エロ作品ではなさそうだったので購読。結果としては、確かにリアル風俗嬢日記というタイトル通りの作品だった。作者「Ω子」自身が現役の風俗嬢で、お店に来た人との体験や経験を…

私のともだち

魔法使いの娘シリーズが終わってしまったせいで、「那州雪絵」のサスペンス作品が読めなくなってしまったわけだが、この度、ホラー短編集が発売される事になって歓喜。全6作品ほどが収録されているが、今回も非常に面白い。表題作「私のともだち」も良いが、…

よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話

エホバの証人と思われる宗教を信じる母親の元で育った作者「いしいさや」の物語。やはり、伝えたいことがある人が描く作品というのは力強いもので、画力やセンスとは全く別の次元で、宗教勧誘を取り巻く環境の真実の一面を描いている。近年では「高木かや」…

大人スキップ

やはり「松田洋子」は鬼才だった。14歳の中学2年生の女子が、ふとした事故から眠りに入って、目が覚めたら40歳になっていた。そんな夢も希望もない状態からスタートした本作が全2冊で完結と知ったときは明らかに打ち切りエンドを想像していた。しかし、結果…

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

Amazonのレビューの評価と、マンガとしての評価が一致しないという意味で、今回は非常に勉強になった。エッセイ作品は好きなので、良く読むジャンルなのだが、Amazonのレビューというのはそれなりに参考になる。平均して評価が高い作品というのは、万人にと…

キャラメルタイム

生徒数の減少により廃校になることが決まった田舎の高校の図書館部に所属する主人公「百(もも)」。 幼い時に離れ離れになった幼馴染の「時(とき)」が田舎に帰ってくることになり、彼を無理やり図書館部に誘ったのはいいものの、「廃部になるから学校の図…