つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2010年代女性系

人は見た目が100%

オシャレに憧れる理系女子もどきの3人組が、毎回新しいテーマのオシャレに取り組むという、ありそうでなかった作品である。この手の女性雑誌におけるギャグ枠の作品は、ハマるときは本当にハマる面白い作品が出るので、本作も連載開始と同時に注目していたと…

まじめな時間

「月に吠えらんねえ」の「清家雪子」によるまじめな死後の世界の物語。不慮の交通事故に巻き込まれて死んでしまった女子高生「一紗」が自分の死後の世界を幽霊になって眺める事になる。死後の世界を描いた作品といえば、やはり、「吉富昭仁」の「ツレビト」…

局地的王道食

「松本英子」のW完結フェアという事で、今回は、2巻で完結した局地的王道食。ちなみに局地的王道食とは、「作者のこころのだいじな食べ物」の事らしい。この作品、本当に好きだったので2巻で完結が非常に残念。異端の作者に相応しい、他の人がそこまで愛さな…

謎のあの店

松本英子がW完結フェアという事で、2作連続レビューとなる。まずは、3冊で完結となった「謎のあの店」から。作者が気になる、街中の不思議な謎のあの店に入店してしまうという怪しいコンセプトと、「松本英子」の作風が完全にマッチしており、この点は流石…

わたしの宇宙

登場人物が徐々に、自分たちがマンガの世界の住人である事に気がついていく、いかにもIKKIらしい意欲作である。この手のメタ作品はある意味誰もが一度は妄想する設定で数年に一度は作品レベルで登場して話題になるのだが、やはりオチが常に難しい。作者「野…

ハシレジロー

絶対に面白く才能があるのに、どうにも売れる作品に繋がらない作者「瀬川藤子」 お寺の次男坊に産まれた主人公ジローの仏教学校での日常を描く作品だが、今回もいつもと同じ水準で面白い。しかし、全2冊で打ち切り、勿体ない話である。ストーリー・絵・キャ…

ウツボラ

「中村明日美子」の描く可愛い女の子の物語も良いが、やはり、本作のような世界観こそ、この作者に相応しい。冒頭からの突然の女性の自殺と、彼女の双子を名乗る謎の女性と、行き詰まりの小説家。序盤からのミステリアスな雰囲気を最後まで保ちながら、全2冊…

(ニコ)完全版

自分の生き方に悩んでいる少年少女たちの前に突如現れる不思議な少女「ニコ」。彼女と出会ってしまった事で、人生を翻弄される登場人物たちの様子は、ある意味「笑ウせぇるすまん」の世界なのだが、少女「ニコ」が万能の存在ではない為、色々なパターンのオ…

妻は他人 だから夫婦は面白い

なんとなくブログの記事を読んで購入。最近、この手の書籍化作品が増えてきているのだが、やはり、以前に比べて作品のクオリティが、下がってきている気がしてならない。正確には、昔のWebから書籍化した作品は、一冊全てを通して、ある程度の質を担保してお…

明日も未解決

物凄く久しぶりの「桑田乃梨子」である。細く長く30年以上、なんとなく読んでなんとなく楽しむこの作風を続けているのだからある意味天才。ただ、今回ようなオカルトジャンルは作者の得意領域なので、正直、他のシリーズの方が面白い。その意味であえて、こ…

鉄楽レトラ

強くは主張しないけれども、自分の描きたいマンガを素直に描く。 そんな感性を感じる作者「佐原ミズ」の描く、男子高校生とフラメンコを描いた青春物語。画力に関しては相変わらず文句なしなのだが、物語としては少し子供っぽい展開も多く、バランスが取れて…

ドミトリーともきんす

評価が難しい作品である事は間違いないが、個人的には、あまり楽しめなかった。残念である。 作者の「高野文子」は、ガロ系派閥の神様のような存在なので、批判するのはおこがましいし、実際「黄色い本」等は素晴らしい傑作だと認識している。 ただ、本作は…

ハウアーユー?

Sunny Sunny Ann!で鮮烈なデビューを飾った作者「山本美希」の作品。デビュー作を読んだ時は、この作風のままで、この作者はどこに行くのだろうか、と不安を感じたが、その不安を吹き飛ばしてくれる作品だった。 誰もがうらやむ絵にかいたような幸せな家庭の…

のうけん

超能力を持て余す女子高生の主人公が、超能力者だけが集まる同好会、超能力研究同好会に入るという、トンデモマンガ。 登場人物も天然系で、物語の展開も強引で天然。 間違いなく作者「長田亜弓」自身が天然と思われるパターンの作品。 古臭く新しい絵柄と、…

アオハライド

中学生の時の初恋の人「田中くん」に、自分の気持ちを素直に伝えられなかった主人公「双葉」。その後、幸運にも高校で再会できた二人だが、以前とは違う微妙な空気が流れ。。。 タイトルのアオハライドは、「青春(アオハル)」と「ライド」からくる造語だが…

路地恋花

「そこをなんとか」が出世作となった「麻生みこと」の作品。 職人たちが集まった京都の路地の一角。 手芸、花屋、銀細工、喫茶、様々なお店を通り過ぎる人々と、その路地で産まれる恋花。 基本的には、恋愛オムニバス作品だが、少しずつ関係が進む恋愛もあれ…

ぜんぶ女子高のせいだ!

WEB系マンガ出身の作者「ヤマダ」が、自身の女子高生時代の黒歴史を描く自虐ギャグマンガ。 コマ割りが大きく、値段の割にスカスカしているのが若干気になるが、ここまで自分の恥をさらして笑いを取りにきたのだから、許してあげる事にしよう。 良くも悪…

豆腐百珍 百番勝負/続 豆腐百珍 百番勝負

江戸時代の料理本「豆腐百珍」に出てくる豆腐料理百種類を全て作るという荒行に挑む作者、「花福こざる」によるエッセイマンガ。 正直、地味な表紙と作風にあまり期待していなかったのだが、マンガのレベルといい、出てくる料理の薀蓄といい、予想以上に面白…

100万円超えの高級時計を買う男ってバカなの?

題材は良いのに勿体ない。そんな作品である。 時計というのは、まだマンガ界にメジャーな成功例が現れていない重要なジャンルの作品である。 だからこそ、もう少し良いエッセイマンガ家を雇えば、ワンランク上の作品に仕上がったであろうに。 この頃の「マキ…

flat

一時、話題になった本作を読了。作者「青桐ナツ」の作品は初めてだったが感想としては、今一つ。マイペースな男子高生主人公と、我慢強い従弟の保育園児2人の心の交流を描いた作品だが、とにもかくにもキャラに共感しづらい。 また8巻通して心の成長がほと…

羣青

作者「中村珍」の代表作である。女性二人による、殺人からの逃走劇を全3冊で描いた本作は、同性愛者としてカミングアウトしている作者ならではの視点や思想に満ちており、読者に圧倒的な熱量で迫ってくる。正直、面白い面白くない以前に思考を強制されるので…

金の国 水の国

久しぶりに改めて読み返したが、やはり「岩本ナオ」は素晴らしい才能である。新作「マロニエ王国と七人の騎士」には、まだ手が出せていないが、こちらも傑作になるのだろうか。ちなみに作品自体の感想は、以前書いたので、こちら。 mangadake.hatenablog.jp …

パレス・メイヂ

架空の日本の明治時代を描いた、身分違いの近代宮廷恋愛絵巻もついに完結である。「暴れん坊本屋さん」の「久世番子」に、まさかこんなマンガが描けるとは、正直、驚かされた。しかし、その世界観や設定の奥深さからは、様々な資料を調査したであろう事が伺…

虹色デイズ

虹色デイズも全15冊でついに完結である。作者「水野美波」は、初連載作品とは思えない安定した画力の持ち主で、男性4人女性4人という王道の学園ラブコメを見事に完結させた点をまずは評価したい。この手のジャンルでよくある話だが、4人が4人とも幸せになる…

#こじらせ処女の初彼氏

Amazonでの評価が叩かれ過ぎていて笑える。最近よくあるWebから派生したエッセー漫画ではあるが、確かに叩かれるに値するレベルで、絵も物語も構成も下手で、なかなかに味わい深い一品である。ただ、最大の問題は、この主人公はそれほど人生をこじらせておら…

IPPO

何とも独特の作品を描く作者「えすとえむ」の作品。 イタリアの祖父の元で腕を磨いた若き靴職人が、日本で注文靴の店を構えることから物語りは始まる。 作者得意の少し鬱蒼とした雰囲気が、靴職人の世界の雰囲気になじんでいながらも、主人公キャラクターが…

わがままちえちゃん

二人の姉妹の片割れが自分の小さい頃に亡くなり、その幽霊と出会う場面から始まる本作。 そんな設定にも関わらず、作品のテンションは相変わらずの「志村貴子」である。ただ志村作品は面白い短編が多いので、氏の作品群の中では佳作といったところだろうか。…

坂本ですが?

作者「佐野菜見」が描く近年トップクラスの謎のシュールギャグ漫画。 とにかくスタイリッシュに何事も成功させる謎のキャラクター「坂本くん」の学校生活を描いた異端の作品。 正直、こんな頭のおかしいシュールギャグを4冊も続けられたこと自体が偉業であり…

好きだけじゃ続かない

作者の鬼才は相変わらずだが、年齢を重ねるにつれて、人間が丸くなってきたのかもしれない。そう感じさせる表題作「好きだけじゃ続かない」 学生時代の初恋と、少しだけ語られるその続き。 よくあるテーマと言えばそれまでだが、ここまで巧く描ける作者は少…

ナガサレール イエタテール

近年、最も注目に値する新人マンガ家を問われれば、本作の作者「ニコ・ニコルソン」と答えたい。 まだ「ストーリー漫画」を目指すのか「エッセイ系マンガ」でいくのかはわからないが、エッセイ系では十分に一流の仲間入りができるレベルだ。 本作は、東北大…