最近は、出版できる人の裾野が広がったおかげで、色々なエッセイ作品が読める。
その中でも特にジャンルができつつあるのが、この
「宗教に染まっていた人生」を見返す作品である。
これが、なかなか面白いドキュメンタリーで、
他者から見るとなぜそんな人生に傾倒したのかという疑問を、
彼等の実際の体験談というフィルターを通して考えさせてくれるわけである。
今回の作品はエホバの証人を信じる母親の娘であった作者「たもさん」が、
宗教にはまり、そして宗教から離れるまでを描いた内容なのだが、
これが非常に面白い。特にマンガとして面白い点が良い。
多くの特殊な体験をされている方のエッセー作品は、
体験そのものは面白いが、マンガとしては面白くないタイプの作品が多いのだが、
この作品は絵こそ巧くないものの、構成や展開等、マンガという表現媒体を
よくわかっており好感がもてる。
また、読後感も爽やかで、高校時代の親友との再会等は
エピローグとして非常に秀逸な最終話になっている。
考えさせられる系のエッセイ作品が好きな方にオススメしたい。