総合評価・・・3.48
お色気JK「赤坂さん」と天然男子「青山くん」のラブコメ、というよりギャグ寄りのエロコメ作品。
ヒロインの赤坂さんは先日レビューした兄友のヒロインとは真逆の存在で、ついたあだ名が愛人という困った存在。このあたりの作品の幅の広さが昔からの花ゆめの強さだよなぁと改めて感心させられてしまう。
そんな赤坂さんに振り回されたり振り回したりする青山くんもなかなかの強キャラで、単なる天然男子と見せかけて暴走しまくる動きがとにかく凄い。特に作品の方向性を決定づけたのは2巻収録の修学旅行編の第5話ではないだろうか。彼女にメロメロになる彼氏の作品はたくさん読んできたが、まさか本当に溶ける彼氏は初めて見た。
作者「堤翔」のセンスに脱帽である。
もうこうなってくると作者の奔放さには歯止めが利かなくなってきて、3巻では赤坂さんの家族としてイケメンすぎる小5の弟「赤坂艶」に加えて、突然の霊能力者設定をぶち込んでくる母親「赤坂紅蘭」など、やりたい放題である。久しぶりに読んだわ、これだけ作者が自由に書いてる作品。
ちなみに、この3巻のエロ展開は少女マンガ誌というより、完全に少年誌越えを果たしており、どこまでいってしまうのかと心配したが、ここまでが作品内のエロ描写のピークだった。おそらくこれ以上は禁止カードが出たと思われる。
それ以降は卒業旅行や卒業式などお決まりの定番イベントを経て9巻から大学生編突入。新たな新キャラ投入などを加えながら二人の大学卒業までを描いて無事大団円となるわけだが、最後までテンポよく読めて非常に面白かったので大変満足できる読後感だった。
途中、青山くんの複雑な家庭環境とか、謎の先輩とか色々出てくるわけだが、そのあたり含めて全然踏み込まずに終わるあたりもこの作品らしくて良い。ひたすらハイテンションな展開をあたまからっぽにして読むべき作品である。
最後に唯一不満をあげるなら個人的には親友の豆子ちゃんが好きだったので、もう少し彼女にフォーカスしたエピソードが欲しかった。
ファントムおだんごとか作者のセンスが天才すぎて好きすぎる。
あと、ごっちにもう少しだけ光を・・・
14冊で高三から大学卒業まで5年もの時間軸があったのに流石に報われなさすぎ・・・
ともあれ主人公二人のイチャラブに関しては、暑苦しいほど鉄板なので、何も考えずに二人の主人公の恋愛を楽しみたい人におススメできる良作である。
ちなみに読み切りの時の展開だけ考えればタイトルは「フラレガール」なのだが、全14冊、どこにもフラレガールはいないので安心してこのバカップルのコメディを楽しんでほしい。