2000年代女性系
総合評価・・・3.48 異色の料理漫画として、そして忘れられないキャラ立ちの女性主人公として、思い出される本作。 美食大好きで、女王様気質の「沈夫人(しんふじん)」と、何をやっても間抜けで腰が低いが料理だけは超一流の料理人「李三(りさん)」のコ…
ついに完結した海街Diary。無事全9冊で終了した本作だが面白かった。本当に面白かった。もはや60歳になってしまった超ベテラン「吉田秋生」今まで、この作者の作品を色々読んできたわけだが12年続いた本作こそが、代表作といって良いのではないだろうか。 も…
ベテラン「こやまゆかり」の近年の代表作と言えば、やはり、これだろう。30歳の日常生活で疲弊しきった専業主婦の「三木真琴」が、ある事件をきっかけにモデルの世界に踏み込むことになるという何とも爽快な設定に、つけたタイトルが「バラ色の聖戦」なのだ…
鉄道にはまる女性=「鉄子」を世の中に広めた作品であり、未だに別シリーズのマンガが続いている根強いシリーズの原点ともいえる本作。 鉄道に全く興味がない女性漫画家「キクチナオエ」と、鉄道にしか興味がない人生を過ごす、旅の案内人「横見浩彦」そんな…
久しぶりに読み返したが、やはり面白い。ここ近年で最高に好きな作品の一つである。 東京から転校してきた線の細い主人公と、暴れん坊で友人のいないもう一人の主人公。 対極的な二人を中心とする青春の物語は、なぜいつもこれだけ面白い素材になるのか。 特…
どうにも代表作に恵まれない、「きづきあきら」と「サトウナンキ」の夫婦コンビだが、強いてあげれば、本作が代表作ではないだろうか。偶然でメイドになった女子大生千代子と、メイドに憧れるオタク青年「鳥取君」の二人の関係を中心に描いた、メイド喫茶物…
「松田奈緒子」作品は、どれも味があって面白い。 本作は、「ベルばら」や「ガラスの仮面」等、有名少女漫画作品をテーマにし、それぞれの少女漫画に憧れた女性たちが、そのマンガを心の支えに、現実の世界を闘っていく日々を描いたオムニバス作品。 「少女…
少年少女の刹那的な瞬間を描く作者「タカハシマコ」による、SFサスペンス作品。隕石が落ちる街と、身体が溶けていく住人という設定は、SF的ではあるが、作者の絵とマッチしている。この可愛らしい絵柄とミステリアスな設定という組み合わせは、マンガとして…
元々、社会派の作品が描けるバックグラウンドのある、「逢坂みえこ」だったが、近年は育児、アスペルガー、認知症、とキャリアを積むにつれて良い漫画を排出している気がする。そして、その辺りのジャンルに明確に踏み込み始めたのが、本作「火消し屋小町」…
物語、絵やデザイン、キャラクター、構成、オリジナリティ全てが圧倒的に高いレベルで完成されていて、一切の隙がなく全10冊で完結する「水城せとな」の、いや2000年以降における最高傑作の一つがこの作品である。この作品ほど面白さに対して知名度が低い作…
作者「藤間麗」の出世作となったロマンスファンタジー。黒髪の人間が王族になる世界で、赤髪を持って産まれた王女「ナカバ」は、和平の口実と共に敵国の王子「シーザ」の元に輿入れする事になる。そして、彼女の中に眠っていた、歴史を動かす「刻のアルカナ…
全くぶれる事のない、いつもの桑田作品に乾杯。 とはいえ、本作が一つだけ他の作品より優れているのは、そののんびりした連載期間だろうか。 4コマ形式の「だめっこどうぶつ」を除けば、本作スリーエイトこそが、「桑田乃梨子」最長連載。6巻という巻数も…
理系というキーワードの一点突破で、その後何作もシリーズ化したのだから「高世えり子」には先見の明があったのだろう。作品的には文系女子の作者が、理系男子の彼氏に魅かれてといった非常にわかりやすいエッセイ系作品であり、特段、何か見るべき点がある…
「勝田文」の作品の中では、3冊と最長編なのだが個人的にはやや残念な読後感。 世界観とそこに生きるキャラクターの雰囲気作りが巧い作者なのだが、本作はストーリー展開重視でキャラクターが無理やり動かされているぎこちなさを感じてしまった。 こんな風に…
「高野文子」の才能を感じたければ、個人的には、やはり本作がベストである。表題作の「黄色い本」は圧倒的な完成度を誇る傑作で、多分、どの年代、どの性別に読ませても通用する作品である。これは物凄い事だ。 人が読書に没頭するという、ただそれだけの単…
志村貴子の最長編作品「放浪息子」 これだけの長編なので、今までの志村作品とは何か違うかと思えるが、やっぱりあまり変わらない。 ただ、相変わらず圧倒的に色気があり魅力のある作画である。 本ブログでも何度も天才と評している通り、この作者の場合、や…
様々な掲載氏を転々としながら連載された、不思議な学園ファンタジー作品であり、作者「南澤久佳」の代表作である。 主人公の相棒が青虫だったり、突如テンションの高いギャグが挟まれたり等と、なかなかにクセの強い作品だが、キャラクターには魅力があり、…
作者「天野こずえ」を一躍有名にした代表作。水の惑星「AQUA」の街を案内する、水先案内人=ウンディーネの主人公を描いたファンタジー作品。 萌え系の画風やキャラクターの作品が苦手なのだが、本作の持つ独特の世界観と、ゆったりとした物語は確かに高いオ…
作者「岩本ナオ」の出世作となった天狗の子も無事完結。 「雨無村役場産業課観光係」の牧歌的で少しリアルな世界観も良かったが、本作は、日常の高校生活の中に「天狗」という異世界を自然に混ぜ込んだ、混沌ファンタジー。 天狗と人間のハーフに産まれなが…
フェロモンをまきちらす美少年「炬 烔至」と、そんな彼を見ては妄想をつのらす「唯木 滸」の二人を描いたラブコメ作品。序盤は圧倒的なギャグ漫画で、可愛い絵柄で下ネタ、デフォルメ、劇画とジャンルを問わずにネタを放り込んでくるその姿勢に少女マンガに…
様々な悪魔の身体の一部をつなぎ合わせて創られた人造悪魔「ガートルード」と、そんな彼の旅につき合う事になった少女「佐原」の物語。悪魔の製造方法を「レシピ」と評するタイトルにもあらわれているように、ファンタジー作品としてのオリジナリティは相当…
やはり「松田洋子」作品は良い。人間の持つ泥臭さの表現の幅が、並のマンガ家と一線を画している。 風俗店時代に授かった最愛の子供を自分の不注意で死なせてしまった映子。 その事件以降、子供と向き合えない人生を送っていた彼女が、友人の子供を預からな…
なんとも「安野モヨコ」らしい作品である。クラスのモテないグループに位置しながら、どうしてもモテたい男子高生「小松」が、ひたすら無様にもがいていく本作。男子高校生の持つ、リビドーなのか愛情なのかよくわからない思春期特有の恰好悪さを女性作者な…
M=マゾのヒロインと、N=ナルシストの彼氏という異質なキャラ設定で挑んだ「樋口橘」の初期作品。序盤は、性癖描写と画力のレベルがあっておらず、なかなかに読みづらい部分があったが、全6冊の中で、画力は確実に向上している。ストーリー全般も、典型的…
圧倒的に斬新でくだらないダジャレを、何とも可愛らしい絵柄で展開したある意味伝説的な4コマ作品。最初読んだ時、少女マンガ出身のギャグ4コマで、こんなスゴイ才能があり得るのかと心底驚かされた作者「にざかな」だが、原作のどうしようもないネタを書く…
これは久しぶりに勿体ない作品だった。世界的な富豪の娘「エリザベス」がお見合い手を間違えた事をきっかけに、日本のしがないサラリーマン「柴田薫」のお嫁さんになるという強烈な導入。しかも、「薫」の家には前妻が残した、連れ子が5人。そんな生活の中に…
これこそ、「安野モヨコ」と呼ぶべき「安野モヨコにしか描けない作品。太っていて気が弱いOL「花沢のこ」は、食べている間だけ、シビアな現実を忘れられる日々。それでも、徐々に日常は壊れ始め、ついに彼女はやせる事を決意する。やせられれば、やせさえす…
(2013年評)しかし、相変わらず残念なことに「九井涼子」と相性が悪い。わりと騒がれる事の多い作者だが、そこまで素晴らしいと思えないのが残念。今回は前2作に比べて、格段に画力の自由さが上がっているのは認める。縛られることなく作品作りが出来てい…
強烈に感想を描くのが難しい作品。さすが「松田洋子」である。 ヒロイン相羽奈美を追い回すニートの引きこもり主人公が、交通事故に巻き込まれて、結果、犬になり、彼女に飼われる事になる。 ここまででも相当強烈な展開だが、この主人公が人間に噛みつくと…
今でこそベテランになりつつある、作者「きづきあきら」+「サトウナンキ」の夫婦コンビだが、その名を高めたのは、やはり本作からだろう。漫画サークル系マンガが人気を博しはじめた、2000年代にWeb系雑誌に颯爽と登場し、ダークな視点のオタクマンガを提供…