作者「藤間麗」の出世作となったロマンスファンタジー。
黒髪の人間が王族になる世界で、
赤髪を持って産まれた王女「ナカバ」は、
和平の口実と共に敵国の王子「シーザ」の元に輿入れする事になる。
そして、彼女の中に眠っていた、
歴史を動かす「刻のアルカナ」の力が次第に動き出すのだが。。。
中盤までは国家レベルの壮大なファンタジー作品として
素晴らしい勢いを見せるのだが、
後半、物語が急速にしぼんでいく点が残念でならない。
他のブログのレビューにもあったのだが、
まさに作者の描きたい世界の範囲以上に作品が売れてしまい、
無駄にスケールが大きくなってしまったのが問題だったのだろう。
せっかくだから、この壮大さを本気で追い続けてくれたら、
BASARAクラスの名作になったのではないかと思うのだが、
そこまでは期待しすぎだったのだろうか。
ただし、最終巻は大きい伏線が回収されるので、
その点は評価できる。
絵は綺麗な為、各シーンの描写は巧いので
ファンタジーよりロマンス色に重きを置ける読者なら楽しめるだろう。