つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

総合4.0以上(殿堂入り)

おーい!竜馬

未だに現役を続けるマンガ界の巨匠「小山ゆう」が、「武田鉄矢」という異色の原作とコンビを組んで描いた作品だが、20年ほど前に読んだ記憶のある本作を改めて読み返してみると、まことに傑作であった。坂本龍馬という人物自体が、ある種、嘘と本当が入り混…

おせん

漫画界には8割の手塚派と2割の水木派がいる、との名言を残した水木派の作者「きくち正太」の代表作である。 老舗料亭の若女将「おせん」は、普段は酒ばかり飲んでいるが、書道・陶芸と幅広い芸術の腕を持ち、特に料理の腕前は天才的という看板女将。 そん…

HELLSING

まさに鬼才「平野耕太」にしか描けない傑作。 舞台は20世紀末のイギリス。吸血鬼を狩る王立国教騎士団 「ヘルシング機関」の中に、従属されている伝説の吸血鬼「アーカード」と、その主人「インテグラ」の物語。文字だけ読むと陳腐な設定だが、この作者の手…

神戸在住

鮮やかな神戸の街を舞台に、主人公の女子大生「辰木桂」の大学生活を私小説風に描いた傑作。トーンをあまり使わずに丁寧に描かれた実在の地域や名所と、そこを舞台に動き回る登場人物たちの群像劇は、希薄ながらも重厚な大学生活のモラトリアムな時間を、読…

黄色い本

「高野文子」の才能を感じたければ、個人的には、やはり本作がベストである。表題作の「黄色い本」は圧倒的な完成度を誇る傑作で、多分、どの年代、どの性別に読ませても通用する作品である。これは物凄い事だ。 人が読書に没頭するという、ただそれだけの単…

月光条例

異論は多数あると思われるが、個人的には「月光条例」が、藤田作品の中で一番好きかもしれない。 まず、設定が素晴らしかった。創作者なら誰もが二の足を踏むであろう、お伽噺という世にも困難なテーマを舞台に、よくぞこれだけの物語を作り上げたことか。 …

リバーズ・エッジ

岡崎京子の描く線は魅力的だ。ただし、本作の真髄はそのモノローグにあるといって過言でない。 「だけどそれがどうした 実感がわかない現実感がわかない」 何度となく繰り返されるこのフレーズ。 「あたし達は何かをかくすためにお喋りしていた ずっと 何か…

神のみぞ知るセカイ

長期連載作品は、終わり方を見誤るケースが多いが、その手の失敗が少ないといえばやはりサンデーである。その意味で本作は、見事なまでに綺麗な終わり方の作品だった。 ラブコメという、マンガ界最高の競争率を誇るジャンルの中で「ギャルゲー大好きの主人公…

2001夜物語

日本のマンガ界でSFジャンルが終わったのは、この作品のせいだったのではないか、と個人的には考えている。2001夜物語はそれぐらい全てを終わらせてしまった、偉大な古典の名作だ。 今から約30年前に描かれたとは思えない、深い洞察と、宇宙への憧れ、そ…

僕らはみんな生きている

これは、「山本直樹」の最高傑作と呼べるレベルの作品ではないだろうか。もちろん原作があるので、全てが作画担当の「山本直樹」の手柄ではないが、原作とは異なる味わい深いキャラクターといい、原作者が褒めるラストの演出といい、作者の才能がそこかしこ…

行け!稲中卓球部

久しぶりに再読。今更ながら、「時代と寝た作品だったなぁ」と思わされた。 当時稲中にどれだけ笑わされたことか。正直、あれほどの衝撃を与えたギャグマンガは少なかった。 そして、傑作ギャグマンガの悲しい宿命でもあるが時を超えて読み返しても笑えない…

天才バカボン

誰もが知っている有名作品だが、その序盤があまり面白くない事は意外と知られていない。 連載初期のバカボンは、正直それほど面白くない。パパも常識人だし、ギャグもそこそこだ。 ただ、中盤以降、段々と作者の頭がおかしくなってきた頃からの面白さは凄い…

チキタ★GUGU

これだけネットで情報が探せるようになると、知名度が低いのに面白い作品というのは、なかなか見つからなくなるわけだが、そんな中でもオススメしたいのがこの作品である。人食いの妖怪に一家を惨殺された主人公「チキタ」彼が生き延びた理由は、彼が滅多に…

さよならタマちゃん

近年のエッセイ系作品としては、「ナガサレール イエタテール」と双璧をなす名作。 35歳のマンガ家アシスタント「武田一義」が、突然宣告された睾丸癌。そして始まる闘病生活。 近年のマンガランキングでよくランクインしていたエッセイ系の作品は、悲劇と…

諸星大二郎特選集

最近のマンガ読者にはそこまで知名度が高くないが、往年のマンガファンには、圧倒的な天才として知られている作者「諸星大二郎」。 しかし、それにしても改めて読み返すと天才すぎる。どれをとっても面白い短編集で、個人的には「感情のある風景」に感動した…

できるかな

「まあじゃんほうろうき」の頃から「西原理恵子」作品を読んでいるわけだが、既に二十数年が経過してしまった。その間、彼女のヒットにあやかろうと様々な女性ルポ系作品が世の中に登場したが、最後の女無頼派として、後続を寄せ付けなかった結果が現在の地…

神々の山嶺

「谷口ジロー」というマンガ界の至宝が亡くなってしまった。そんなわけで、本作を本棚から取り出してきたわけである。 日本における山マンガとしては、やはりこれがベスト1ではないだろうか。 ただひたすらに、自分の生きる証を残すために山に登る主人公「…

となりの怪物くん

近年、最もお気に入りだった学園ラブコメ。ストーリー、絵、キャラクター、と、どれをとっても弱点がなく、とにかくセンスの高い作品だった。 入学初日から喧嘩沙汰で学校にこない「春」という、となりの怪物くんを眺めるテンプレタイプの作品かと思って読み…

日出処の天子

大御所「山岸涼子」の代表作。 厩戸王子、いわゆる「聖徳太子」を主人公にしたマンガで、少女マンガが得意とする歴史ロマンスジャンルとは少し違う印象を受けるが、その「聖徳太子」が女性とみまごう美貌の持ち主で、超能力を操るとなると話は違ってくる。 …

レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版

【特典付き】レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版【全3巻】 作者: 松田奈緒子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/01/21 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 重版出来の「松田奈緒子」の大傑作が、書下ろしと番外編含む完全版で発売…

田中圭一のペンと箸

待望の作品の単行本化という事で即購入。これは素晴らしい。パロディや下ネタで有名な「田中圭一」に届いた偶然のオファーから始まった本作だが、これは作者の最高傑作になったのではないだろうか。有名マンガ家の好きな食べ物を、本人にではなく、その息子…

完全版 水木しげる伝

敬愛する水木御大の半生を綴った大傑作。昨今は、「ゲゲゲの女房」等のブレイクで、水木しげるの名前も十分に世の中に知れ渡る事になったが、一昔前の水木しげるの知名度はやはり低かった。 しかし、売れようと売れまいと水木御大は変わらず。 そんな事を感…

げんしけん

二代目完結記念という事で、まずは初代の感想から。 現代視覚文化研究会略して「げんしけん」と呼ばれるオタクの大学生が集まるサークルでの日々を描いた超有名作品。 オタクの世界の楽しい側面と、オタクの世界の恋愛事情という2つのテーマを全9冊で完結…

わたしは真悟

多くのマンガに目を通すと、「面白い作品」というのはそれなりの確率で出会える。 しかし稀にだが「スゴイ作品」が存在する。 一気に読破して、読み終えて、ふっと溜息が出る。 何か感想を考える余力が沸かない、マンガ家の思想、思念に思考力を奪われたよう…

自殺島

努力の天才「森恒二」がまた名作を残してしまった。自殺を試みる人間の扱いに困った政府が、自殺者を島流しにする島 「自殺島」最近の凡百の作者ならそこから、くだらないバトルロワイヤルや、仕掛けだらけで先が見えないミステリーを展開するところだが、や…

バナナブレッドのプディング

24年組の作品は、本当にレビューが疲れる。なんというか、ちょっと気楽な気分で読み返せる作品が少ないのだ。 「大島弓子」作品はその典型で、冒頭の少女のつぶやきからして、「きょうはあしたの前日だから・・・だからこわくてしかたないんですわ」で始ま…

うしおととら

「藤田和日郎」の、いや少年マンガの最高峰の一つとして名高い大傑作。 それが「うしおととら」 確かに、これほどまでに熱量を感じさせる作品は稀だ。 うしおととらを名作足らしめる理由はいくつかあるが、その一つが、長期連載にもかかわらず無駄がない事で…

医龍

世に医者マンガは数多あれど、この切り口で描かれた作品はなかった。 それが「医龍」である。 主人公「朝田龍太郎」天才的なオペの手腕を持つ外科医だが、日本の大学の医局に嫌気が差し、世界の舞台で活躍していた男。 そして、そんな奔放な男を、自分の夢=…

花咲ける青少年

樹なつみ作品はどれも面白いが、個人的に挙げさせてもらえば、やはり本作をお勧めしたい。 残念ながら「樹なつみ」はレビュー泣かせのマンガ家だ。 その独自の世界観と設定により類似した作品が少ないので、説明が大変難しい為だ。 しかし、それにしても本作…

藤子不二雄Aのブラックユーモア

いわゆるA氏のブラックユーモア短編集である。 「まんが道 」の回でも評したとおり、A氏のブラックユーモアは、人間の負の感情をストレートに描いており、大変面白い。ショートショートとして見てしまうと、その奇抜さ斬新さはF氏の作品が上だが、人間の…

動物のお医者さん

「佐々木倫子」といえば独特な雰囲気のシュールなギャグが売りだが、その中でもやはり本作を推したい。もはや説明不要の有名作。獣医学部の志望者人数を増やすという、社会現象すら巻き起こした傑作である。 ただ本作が、獣医への憧れを全く描いていないこと…

らんま1/2

うる星やつらで磨かれたショートギャグと、めぞん一刻で発揮されたラブコメの2つを混ぜ合わせただけでも凄いのに、そこにバトル要素も加えたわけだから、この作品が売れないわけがなかった。 しかし、売上面で「高橋留美子」最高の結果を残した本作が、マン…

百万畳ラビリンス

前から気になっていたものの、なかなか読む機会がなかった本作をやっと読了。マンガ総合ランキングを毎年作っているので、滅多に大物を読み逃すことはないのだが、本作はマンガ大賞だけにしか登場しなかった珍しいタイプの作品で、完全にノーマークだった事…

暗殺教室

ネウロの時代はまだ、フロック的な存在に感じられた「松井優征」だが、本作の完結をもって、名実ともに、ジャンプの時代を築いた一人となった。生徒が先生を殺す暗殺者という、キャッチーな導入に始まった本作が、どのような結末を迎えるのか楽しみに読んで…

MW

まさにピカレスク作品と呼ぶに相応しい巨匠の異色短編。それが本作である。 主人公は牧師と銀行員の二人の男性。 若き日に沖縄の離島で一夜を過ごした二人は、翌朝、全ての住民が死滅するという惨劇に巻き込まれる。 しかし、それらの事実は時の政府にもみ消…

俺物語!!

少女マンガの伝統を見事に逆手にとって、2010年代を代表する作品となった俺物語も今月の別マガでついに完結である。俺物語らしい、素晴らしい最終話だった。 本当に、ここ近年の少女マンガ界における河原和音の存在感は圧倒的で、立て続けにヒット作を輩出し…

はいからさんが通る

まさかの新作劇場アニメとなった、懐かしの「はいからさんが通る」70年代の少女マンガは、「ベルサイユのばら」や「ポーの一族」等、その後の少女マンガの系譜ともいうべく、ハイレベルな作品が揃った時代である。そして、女性主人公のラブコメというテーマ…

コータローまかりとおる!

最後のシリーズが連載中断となり、 早十数年が経過してしまった為、昨今のマガジン読者には、未読の方も多いかもしれない。 しかし、本作「コータローまかりとおる!」は、マガジン史上において外せない名作である。 全59冊は、なかなかの時間を要する大作…

童夢

大友克洋の才能をまざまざと見せ付けられる作品。 昨今の、映像界における氏の評価は別として、80年代における本作の衝撃は異様だった。 2000年代以降急増する事になる、リアル嗜好の作品の多くが、文字で薀蓄を語ることで作品の質を高めているのは、残念な…

キン肉マン

「やったぜーっ! とうとう念願かなって、キン肉マンが単行本になったぞー!! もうベストセラーまちがいなし! そうなれば本だけでなく、テレビ化…い、いや映画化だって夢ではないし、町では、キン肉マンの人形やお菓子だって売り出され子どもたちは、それらを…

ZERO

松本大洋の初期最高傑作と称される事も多い本作。異常なまでの強さを誇るボクシングのチャンピオン「五島雅」30近くなっても衰えを知らず、一度も倒れる事のないそのその力に、周囲の人間は畏怖の念を込めて「ゼロ」と呼ぶ。負ける事を知らないその才能は、…

レタスバーガープリーズ.OK,OK!

(2012年評)昨日レビューした「忘却の旋律 」がタイトルで得をしている作品だとすれば、この作品は真逆である。完全にタイトルで損をしている。 正確には、松田奈緒子作品が全般にわたってタイトルで損をしている。 この作者の作品は間違いなく、もっと売れ…

三四郎2 さんしろうのじじょう

作品発表から早20年以上ということで、なかなか古本屋でも見つけづらくなった本作を久しぶりに再読。 いやぁ、懐かしい。好きだった作品も10年ぐらい読まないと、それなりに忘れるもので、再読すると当時の感動が甦ってお得な気分である。 設定自体は、至っ…

東京トイボックス / 大東京トイボックス

(2012年評) モーニング連載「東京トイボックス」の時代から注目し、打ち切り残念コースだった異色のゲームクリエーター作品が「大東京トイボックス」という続編を経てここまで世の中にその名をとどろかせることになるとは、当時は夢にも思わなかった。…

のだめカンタービレ

のだめカンタービレ クラシック音楽という既存の作品の少なかったジャンルで一世を風靡した、二ノ宮知子の大出世作である。 とにもかくにもこの作者のマンガはキャラクターが活き活きと動き回る。 特に素晴らしかったのはやはり主人公「のだめ」の存在だろう…

弁護士のくず

(2012年評)法廷ジャンルマンガとしては、間違いなく傑作の部類に入る作品。 ドラマ化もされたので、ご存知の方は多いだろう。 裁判や司法をテーマにしたマンガは、どうしても善性に訴える方向に走りがちだ。しかし、本作は秀逸なタイトル通り、善良さとは…

風の谷のナウシカ

改めて読み返すと、偉大な作品だった。年齢を重ねれば重ねるほど、この作品の深さが伝わってくる。アニメに関しては、もはや説明不要の知名度を誇る本作だが、マンガ版が圧倒的な骨太さを持った大河浪漫である事を知らない人も多い。しかし、90年代にこれだ…

ポーの一族

(2012年評)少年マンガという括りで見ると、どの作者が一番か、という質問に答えるのは難しい。 手塚治虫亡き後、その問いはますます困難になりつつある。 しかし、少女マンガは違う。 色々なご意見があるだろうが、少女マンガの神様は現役だ。 私の中では間…

AKB49〜恋愛禁止条例〜

最初に断わっておくが、まったくもってAKBファンではない。 しかし、本作は近年の少年マンガの中でも、最高峰の一角ともいえるレベルで少年マンガだった。特にラスト間際は泣かされっぱなしだった。連載開始当初、マガジンで見かけた時は、よくあるアイド…

玄人のひとりごと

故 中島徹先生の遺作であり、長期にわたってビッグコミックオリジナルを支えてきた偉大な作品。人生の玄人を自称する主人公「南倍南」の、旅、グルメ、ギャンブル、麻雀等などの様々な日々を描くギャグ漫画。淡々と主人公の日常を描くタイプの作品なので、何…