つれづれマンガ日記 改

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わが指のオーケストラ

聾唖の主人公を描いた「聲の形」よりもはるか昔に、
聾唖というマイナーなジャンルに切り込んだ作者、
それが「山本おさむ」である。

山本おさむの熱意は、ほぼすべてが、
社会的弱者やマイノリティーに注がれている。

その中でも、「聾唖」というジャンルを
純粋に描いた作品としては、本作が至高だろう。


手話に生涯をかけた男「高橋潔」の人生を通して、
今日では当たり前となっている「手話」という手法が、
日本において、少数者が利用する言語として、
迫害された歴史を描いている。


特にラストの、高橋の演説は、
マンガ史上に残る名演説の一つであろう。
ここには、聾唖教育に人生をかけた男の
全てが詰まっている。


聲の形」も悪い作品ではない。
ただ、あの作品を読んで、少しでも聾唖というジャンルに
興味を持ったのであれば、
本作を読まないのはあまりに勿体ない話だ。


耳の聞こえない人間の心に、音楽を響かせる唯一の手法、
それが手話であり、それこそが、
「わが指のオーケーストラ」
なのだ。

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