既に20年近く前の作品になりながら、
今もって根強いファンを持つ本作。
幽遊白書で少年マンガの落としどころを
見失った作者「冨樫義博」が、
自身の欲望と趣味の全てをさらけ出した本作は、
全3冊という短さとあいまって
確かに、作者の最高傑作と呼ぶに
相応しい作品に仕上がっている。
特筆すべきは週刊誌にも関わらず、
完全に休載を前提にした連載ペースであり、
今振り返ると、相当な我儘を通している作品である。
ただ、その分面白さは折り紙付きで、
未だ本作を超えると思えるSF短編作品は少ない。
万が一読んでいない読者がいれば、
想像の斜め上を行く面白さの本作を、必ず抑えておくべきだろう。
このクオリティを維持するからこそ
マンガ界で唯一あれほどの休載が許されているのだから。