北海道の農業高校を舞台にした学園青春コメディ作品が
やっとこさ完結したということで、全巻集めて読み直すことにした。
作者「荒川弘」は言うまでもなく現代最高峰のマンガ家の一人で、
「鋼の錬金術師」終了後に始まった本作の面白さと、
そのジャンルを問わない才能に心底恐れ入ったものである。
ただ勢いよく面白かった序盤に比べて、
休載が連続するようになってからのこの作品が、
漫画作品として素晴らしかったかというと若干、評価に困る点があり、
作者自身の情熱も徐々に下がってしまった感は否めない。
設定も面白く、キャラクターも良く動き、ラストの展開こそファンタジーだが、
そこまでに至る道筋に大きく外している部分は決してないのだが、
ただ、過去の荒川作品に比べて素晴らしいかと言われると、悩むのである。
この辺りは非常に言語化するのが難しい領域なのだが、
恐らく本作が連載開始時にオマージュした「じゃじゃ馬」の影響が
ある点は否めないのだろう。
荒川作品自体は、ダイナミックなアクションと強い世界観で構成される
メリハリのあるマンガを得意とするのに対して、
ゆうき作品というのは、どうしても地味さが抜けず、それゆえに
日常生活における寸劇にはずば抜けた面白さがある。
そして、北海道の大自然に囲まれた生活を過ごす高校生の主人公が、
自分の将来と学園生活と恋愛を悩むという舞台においては、
やはり、「じゃじゃ馬」の持つ独特な空気感とリアリティに
軍配が上がってしまうのだ。
とはいえ、そんな別作品の影響を考えず読む分には十分に面白く、
農業高校という生活への憧れも相まって、十分質の高い作品になっているので、
未読の方が読む分には問題なく面白い作品だろう。
まぁそもそも、あのクラスの作者が描く作品が、面白くないはずがないので。
こちらも懐かしいので貼っておく。