(2013年評)
しかし、相変わらず残念なことに
「九井涼子」と相性が悪い。
わりと騒がれる事の多い作者だが、
そこまで素晴らしいと思えないのが残念。
今回は前2作に比べて、
格段に画力の自由さが上がっているのは認める。
縛られることなく作品作りが出来ているので、
その点は二重丸。
ただ、作者の作品の本質である、
ショートショートの質がいかんともしがたい。
短すぎるし、オチが読めすぎる。
ただ、確かに昨今発表された作品を見ると、
これだけ自由にショートショートを描いている
作者は少ないのかもしれない。
その中では上位なのかもしれないが。
ただ、昔から様々なショートショートに
触れたことのある読者なら、
この短さと浅さは物足りないだろう。
「春陽」という作品には一瞬可能性を感じたが、
「田辺のつる」との構成力の差を
思い知らされただけだった。
むろん、新人と「高野文子」を比較すること自体が
可哀想だともいえるが、
期待の新人なのだから、多少重く見ても良いのだろう。
それでも、読み続けてしまう作者であり、
期待するものを持っているのは確かなのだから。
(2017年追記)
そんな事を書いていたら、
ダンジョン飯であっという間に地位を確立してしまった。
やはり、期待の新人だけの事はあったようだ。