どうにも代表作に恵まれない、
「きづきあきら」と「サトウナンキ」の夫婦コンビだが、
強いてあげれば、本作が代表作ではないだろうか。
偶然でメイドになった女子大生千代子と、
メイドに憧れるオタク青年「鳥取君」の二人の関係を
中心に描いた、メイド喫茶物語。
序盤のライトなラブコメ作品から、
オタクが普段から感じている恋愛へのコンプレックスを、
これでもかというほど掘り下げる相変わらずの作風へと
突き進んでいく本作だが、その構成がエンターテイメントとして完成されている。
他の作品群は、どうにも後味の悪さの方が強すぎるのだが、
この作品の場合は、うまいこと読者を後ろから刺せているのではないだろうか。
ラストのハッピーエンドだけとは思わせないあたりのモノローグは、
改めてオタクに厳しい作者の意図が伺える。
少しばかり考える作品が好きな方に。