鉄道にはまる女性=「鉄子」を世の中に広めた作品であり、
未だに別シリーズのマンガが続いている根強いシリーズの
原点ともいえる本作。
鉄道に全く興味がない女性漫画家「キクチナオエ」と、
鉄道にしか興味がない人生を過ごす、旅の案内人「横見浩彦」
そんな二人の織りなす奇妙な旅マンガ。
キクチの、最後までぶれる事のない、
鉄道への興味のなさが清々しい。
この一貫した興味のなさこそが、この作品のギャグの根底を
支えていたのだなぁ、と改めて読み直すと気づかされる。
普通は、ルポ系作品を描くと、
もう少し作者はテーマに寄り添うものなのだが、
最後まで自分のスタンスを変えない、
「キクチ」という作者自身も、
横見に負けない奇人だったのだろう。
鉄道が好きでも好きでなくても、
その異様な旅のルポについついクスッと笑ってしまう、
そんな異色の傑作である。