元外務省の主任分析官であり、
ラスプーチンと呼ばれた男「佐藤優」を描いた傑作。
佐藤の逮捕から、最初の判決が出るまでの時間、
物語の舞台はただひたすら、取調べの部屋の中のみ。
そこで繰り広げられる、検察とのやり取りと、
語られる世界情勢と外交の世界の真実。
特に外交官という存在が、
現代の「スパイ」である事を感じさせられる
エピソードの数々が非常に面白い。
これだけ大人向けのマンガも、
昨今珍しいのではないだろうか。
また、1年半近くにわたる
拘留の間に、徐々に芽生えてくる検察との奇妙な友情も、
狭い世界で繰り広げられる物語を非常に豊かなものにしている。
神経質な「伊藤潤二」の絵柄も本作のテーマにピタリとはまっており、
高度な知的論争が好きな人には是非オススメしたい名作である。