登場人物が徐々に、
自分たちがマンガの世界の住人である事に気がついていく、
いかにもIKKIらしい意欲作である。
この手のメタ作品はある意味誰もが一度は妄想する設定で
数年に一度は作品レベルで登場して話題になるのだが、
やはりオチが常に難しい。
作者「野田彩子」による本作も、
序盤・中盤と色々な角度のメタフィクションを実験的に
展開しているところは良かったが、
物語の結末として、終盤が成功しているかと言われると
なかなかレビューに困る作品である。
作者自身が、作者の描くキャラクターと意思疎通できないという
単純な妄想から始まった本作だが、
作者自身もストーリーの中に登場させながら
描かれたメタフィクションという意味では、
確かにオリジナリティが高い。
新しいジャンルに挑戦する作品が読みたい方にオススメしたい。