総合評価・・・3.74
リボーンの棋士が全7冊でついに完結してしまった。
打ち切りと思わざるを得ない中盤の急展開から、
よくぞここまでまとめきった、という綺麗な終わり方だった。
6巻の時点で次巻完結という衝撃の告知が出ており、
これだけ面白いマンガをなぜ終わらせてしまうのか残念でならなかった。
それぐらい6巻の師弟対決の完成度は高かったのだ。
しかし、それを上回るほど最終巻は面白かった。
打ち切り展開でこのクオリティは正直凄いことだ。
振り返って、何がこの作品の魅力だったかと言われれば、
その答えはキャラクターのリアリティの一言に尽きる。
子供の頃から神童と呼ばれ、奨励会に入るもプロになれず、
フリーターとして過ごす主人公「安住」
挫折を経験した30歳という、地味でマンガ映えしないこの難しい主人公を、
最後までぶれる事なく描き切ったのは見事な腕前だった。
特に、かつて神童と呼ばれていた子供っぽい要素と、
挫折を経て大人になって身に着けたバランス感覚が最高で、
これはとても若手マンガ家には描けない、素晴らしいキャラクターである。
そして、将棋界における脇のキャラクター達も実に魅力的で、
アマチュア仲間、かつての時間を共にしたプロ棋士、そして師匠。
どれも一度しか登場しなくても記憶に残るキャラクターに育っており、
最終7巻の感動を盛り上げている。
また、将棋界とは別のプライベートにおける登場人物達も素晴らしく、
主人公とは違う人生を歩くことで、彼の進もうとしている道の険しさと、
それでも自分の道を勝ち取ろうとする主人公の決意を際立たせる。
その意味で、ヒロイン森さんの最終巻の動きは完璧だった。
これこそ現実であり、リアルな物語である。
しかし、なんといってももう一人の主人公「土屋」の存在が最高なのである。
このキャラクターの成長といったら本当に感涙もので、
最終巻はもうほとんど、彼が主人公と言って差し支えない。
だからこそ、この2人の再度の対局となったであろう「聖竜杯」を、
十分なページを割いて実現してほしかった。
しかし、悲しいかな、これが打ち切りの現実なのである。
ただ、マンガはやはりキャラクターが命
その意味で、これだけの名キャラクター群を産みだした
作者「鍋倉夫」の次回作が期待できることは間違いないだろう。
しかし、それにしても7巻という巻数は鬼門だ・・・
思い返せば「P2」も「からん」も7巻で、志半ばで終わってしまった。
やはり、好きなマンガが打ち切られないためにも、
今日もブログを書くしかないのである。