非常に気に入っていた本作も全7冊でついに完結である。
ここ十数年変化が見られなかった、
学園少女マンガにおける理想の男性像を
メガネの主人公に置き換えたのだから、
作者「安藤ゆき」の偉業はもっと称えられるべきだろう。
実際問題、この造形のキャラクターが主人公で、
ここまで面白い物語や恋愛が描けるとは全く想定していなかった。
しかし、現実問題として、女性の理想の恋愛対象として描かれる
清潔感のある男性だったり、気配りのできる男性というのは、
恐らくこの町田くんの事を指しており、
そんな空想上のキャラクターを、紙の上に具現化した
作者の想像力に恐れ入るわけである。
ただし非常に扱いが難しく繊細なキャラクターでもあるので、
全7冊という長さは物語としても妥当だったと思われるし、
これ以上は蛇足だっただろう。
その辺りの物語の見切りも良し。
流石、次代を担う作者の一人だけの事はあった。
次回作はどんな切り口を魅せるのか、今から楽しみである。
映画化されるようだが、この作品の場合、
映画よりマンガが確実に面白いので、
少女マンガ好きの方には絶対オススメしたい近年の名作の一つである。