詐欺師という今までマンガに馴染まなかったテーマを、
詐欺師を狙う詐欺師=クロサギという設定で、
見事に大ヒット作に押し上げた本作。
特に序盤の面白さは素晴らしく、
多くの読者が魅了されたものである。
反面、詐欺の設定部分は面白いのだが、
結局のところ主人公「黒崎」が、相手の詐欺師を詐欺に嵌めて金を巻き上げるという
根底部分の展開は同じであるため、
中盤以降のマンネリ感は相当なものがある。
問題になったのは、やはり連載雑誌休載による移籍だろうか。
ヤングサンデーで20冊でも相当な量に達していたにも関わらず、
移籍後のスピリッツでさらに「新クロサギ」を20冊。
そして、最後の完結編4冊と全44冊。
その間、様々な詐欺の手法がクローズアップされたが、
主人公、ヒロイン、親の仇、ライバル
等のキャラクター間の物語は一向に進まず、
流石に引き伸ばし過ぎの決着となった。
実際問題、タイトルは知っていても、
最後まで完結を読んだ方は少ないのではないだろうか。
全編を通してのストーリー自体は面白いだけに、
その無駄に長編になってしまった構成だけが非常に勿体ない作品である。
原作「夏原武」と作画「黒丸」のコンビにおける
最高傑作となる本作を社会派作品が好きな方にオススメしたい。