今となっては超ベテランとなる
「なかじ有紀」の初期作品である。
初出が80年代という事もあって、
出てくるキャラクターの服装や生活は古く見えるが、
登場キャラクターの華やかさと、平和な世界観は
ここ最近までの作品と比較しても、
全く変わっていないところがある意味凄い。
これでもか、というほど華やかな美少年が暮らす「小山荘」を舞台に、
少年少女の恋愛群像劇を嫌味なく当たり前のように展開させた手法は、
当時の少女漫画としては相当に斬新だった気がする。
通常であれば登場人物たちが恋愛の不安に押しつぶされたり、
強力なライバルが出てきたりといった展開が当たり前なのだが、
30年前から一貫して、なかじ有紀マンガの世界では、その展開は存在しない。
それ故に、読者は非常に気楽に平和な気持ちで、
作品を眺める事ができるわけだ。
本作はその後リターンズが発表される事になるわけだが、
「学生の領分」あたりも懐かしいので、どこかで再読したいものだ。