つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

総合4.0以上(殿堂入り)

寮生活への憧れ ~ ここはグリーン・ウッド

総合評価・・・4.00 学園ドタバタコメディ+恋愛、みたいなジャンルが最も好きなわけだが、個人的にその源流となっている作品が少年マンガなら「うる星やつら」であり、少女マンガだと本作「ここはグリーン・ウッド」なのだと思う。少女マンガも面白いな、と…

漫画家の信念 ~ うしおととら

総合評価・・・4.46 今まで人生で何度か読み返しているわけだが、問答無用の名作である。しかし、それ以上に今回久しぶりに本作を再読してみて気がつかされたことがある。それは漫画家「藤田和日郎」の剛腕に関してだ。この剛腕とは何を意味しているかという…

少年マンガの王道 ~ 金色のガッシュ

総合評価・・・4.00 近年では陰惨な展開から始まる復讐劇や恋愛がらみの青年向けの作品が、アニメの人気を入口にして若年層に読まれることが増えたわけだが、それでも、作品にはやはり読むべき適齢期というものがある気がしている。その意味でかつての少年誌…

伝説の料理漫画 ~ 美味しんぼ

総合評価・・・4.18 以前よりはだいぶマシになったが、ここ近年、とりあえず料理漫画を書いておけば何とかなる、と言わんばかりに料理漫画が氾濫してしまったわけだが、そのブームの全ての原点を創った作品として、そして近代以降の料理漫画における代表作と…

るーみっくわーるど後期の傑作 ~ 境界のRINNE

総合評価・・・4.00 うる星やつらに始まり、めぞん一刻、らんま1/2、犬夜叉と超ヒット作しか生まないマンガの神様、高橋留美子御大の作品レビューとなると、さすがに書く側も気合が入るというもの。本作、境界のRINNEは全40冊という事で犬夜叉に続くなかなか…

水木しげるの怒り ~ 悪魔くん千年王国

総合評価・・・4.24 さて、以前この記事を書いた時は世の中ではゲゲゲの鬼太郎の猫娘が話題だったのだが、今度は悪魔くんが再アニメ化という事なので改めてリライト。悪魔くんというのは鬼太郎と比較すると非常に難しい作品で、正直、売れたか売れないかでい…

数少ない編集マンガの傑作 ~ 重版出来!

総合評価・・・4.00 「重版出来!」がついに2023年に完結した。第1巻の発売が2013年ということで10年間で20冊、満を持しての完結である。「松田奈緒子」作品との付き合いは長く、手元にある「レタスバーガープリーズ. OK, OK!」の1巻の発売が2001年となっ…

近年最高のSFジュブナイル ~ 彼方のアストラ

総合評価・・・4.18 最近はウィッチウォッチが山場に入っている篠原健太作品だが、スケットダンスもウィッチウォッチも好きだけれども、やはりマンガとしての完成度は本作「彼方のアストラ」が畢生の出来栄えであり、読み返すたびに圧倒される。ちなみに本ブ…

不滅の人間賛歌 ~ ジョジョの奇妙な冒険1部から8部

総合評価・・・4.20 ジョジョ全巻それは、第一部から第五部の63冊、第六部ストーンオーシャン17冊、第七部スティール・ボール・ラン24冊、そして第八部ジョジョリオン27冊の合計131冊から成る30年近く続く唯一無二のシリーズである。 ジョジョリオンが完結し…

完結の名手 ~ 暗殺教室

総合評価・・・4.02 鬼滅の刃が、あの絶大な人気を誇る中で見事に完結したので、「ジャンプにしては珍しい」という意見が多く出ていた。私としても同感で、マンガはやはり20冊程度が丁度良い気がする。長くても30冊。そして、20冊前後で完結の近年のジャンプ…

吉田聡の世界 ~ スローニン

総合評価・・・4.02 青春作品の王者、「吉田聡」が描く大傑作。 著作の中では知名度は低いかもしれないが、個人的には1,2を争う名作だと考えており、何度読み返しても泣かされてしまう素晴らしい作品である。 過去、甲子園決勝戦でエラーを犯したトラウマ…

複雑な青年漫画 ~ 結界師

総合評価・・・4.02 最終回含めて壮絶にネタバレありなので、未読の方は禁止。完結以来読んでいなかった本作を読み返したところ、当時感じたより何倍も面白く感じて、何度も読み返してしまったので、長文で書く事にする。「田辺イエロウ」の代表作となる本作…

編集王

「土田世紀」についてのレビューも本日で一旦、終了である。最後は満を持して「編集王」について触れたい。これはもう、文句なしに作者の最高傑作と叫びたい作品なのだが、それは偏に作品が粗削りだからである。この作品より洗練されたマンガは数多くあるが…

さすがの猿飛

今もって傑作を作り続ける巨匠「細野不二彦」の最初期作品。 オデブで女好き、弁当ばかり食べているけど、忍びの腕は超一流の「猿飛肉丸」と、そんな肉丸にベタ惚れしてしまった幼馴染の「魔子ちゃん」の二人を中心に描いた忍者学園ラブコメディ。 どちらか…

彼方のアストラ

SKET DANCEの「篠原健太」のSF連載なんて、どうせテクニカルな伏線に走り過ぎた作品だろう、と手を出していなかったのだが、ぬる太さんのブログで絶賛されていたので購入する事にした。結果、これが素直に最高だった。 nuruta.hatenablog.com もう本当にここ…

レベルE

既に20年近く前の作品になりながら、今もって根強いファンを持つ本作。 幽遊白書で少年マンガの落としどころを見失った作者「冨樫義博」が、自身の欲望と趣味の全てをさらけ出した本作は、全3冊という短さとあいまって確かに、作者の最高傑作と呼ぶに相応…

釣りキチ三平

物凄く久しぶりに釣りキチ三平を再読。作品発表が1973年と恐ろしく古い作品だが、その後約50年、「釣り」というテーマを描かせたら、この作品を超えるマンガはついに現れなかった。というか、この作品があるから「釣り」ジャンルの漫画はもう書かなくて良い…

幽☆遊☆白書

「冨樫義博」の名前を広めた本作の発表からそろそろ約30年が経過してしまうというのだから恐ろしい。また、これほどのインパクトを残した作品の連載期間が1990年から1994年のたった4年間ほどだったというのだから、改めて考えても、お化け作品だったわけであ…

少年の国

数少ない宗教マンガの傑作として、語られる事の多かった本作「少年の国」 宗教等少しも信じていなかった、不良少年「上杉」の存在を通して、読者は、人が宗教に染まっていく心理と狂気を体験できる仕掛けになっている。 作者「井浦秀夫」得意の冷静な視線と…

クローズ

週間少年チャンピオンの歴史に名を刻んだ、「高橋ヒロシ」の説明不要の有名作品。ただひたすら不良が喧嘩するだけのはずのマンガが、これだけ面白いのは、キャラクターの魅力によるところが大きい。特に、主人公「坊屋春道」の存在感は圧倒的で、どんな場面…

Q.E.D. 証明終了

Q.E.D.が完結作品と呼べるかは難しいが、このままではいつまでたってもレビューが書けないので、無印への評価として書く事に。ご存知の通り現在は、「iff」シリーズが継続している本作だが、無印のQ.E.D.自体は全50冊で完結している。ただし、50冊と言っても…

わが指のオーケストラ

聾唖の主人公を描いた「聲の形」よりもはるか昔に、聾唖というマイナーなジャンルに切り込んだ作者、それが「山本おさむ」である。 山本おさむの熱意は、ほぼすべてが、社会的弱者やマイノリティーに注がれている。 その中でも、「聾唖」というジャンルを純…

新世紀エヴァンゲリオン

(2015年評)さて、ついについに漫画版が完結した本作である。なかなか書評が難しい作品だが、久しぶりに長文で書いてみよう。 全14冊読み終えて、素晴らしかったと言われれば難しい。これを超える作品はいくらでもあるのでは、と一瞬、思ってしまった。 し…

おーい!竜馬

未だに現役を続けるマンガ界の巨匠「小山ゆう」が、「武田鉄矢」という異色の原作とコンビを組んで描いた作品だが、20年ほど前に読んだ記憶のある本作を改めて読み返してみると、まことに傑作であった。坂本龍馬という人物自体が、ある種、嘘と本当が入り混…

おせん

漫画界には8割の手塚派と2割の水木派がいる、との名言を残した水木派の作者「きくち正太」の代表作である。 老舗料亭の若女将「おせん」は、普段は酒ばかり飲んでいるが、書道・陶芸と幅広い芸術の腕を持ち、特に料理の腕前は天才的という看板女将。 そん…

HELLSING

まさに鬼才「平野耕太」にしか描けない傑作。 舞台は20世紀末のイギリス。吸血鬼を狩る王立国教騎士団 「ヘルシング機関」の中に、従属されている伝説の吸血鬼「アーカード」と、その主人「インテグラ」の物語。文字だけ読むと陳腐な設定だが、この作者の手…

神戸在住

鮮やかな神戸の街を舞台に、主人公の女子大生「辰木桂」の大学生活を私小説風に描いた傑作。トーンをあまり使わずに丁寧に描かれた実在の地域や名所と、そこを舞台に動き回る登場人物たちの群像劇は、希薄ながらも重厚な大学生活のモラトリアムな時間を、読…

黄色い本

「高野文子」の才能を感じたければ、個人的には、やはり本作がベストである。表題作の「黄色い本」は圧倒的な完成度を誇る傑作で、多分、どの年代、どの性別に読ませても通用する作品である。これは物凄い事だ。 人が読書に没頭するという、ただそれだけの単…

月光条例

異論は多数あると思われるが、個人的には「月光条例」が、藤田作品の中で一番好きかもしれない。 まず、設定が素晴らしかった。創作者なら誰もが二の足を踏むであろう、お伽噺という世にも困難なテーマを舞台に、よくぞこれだけの物語を作り上げたことか。 …

リバーズ・エッジ

岡崎京子の描く線は魅力的だ。ただし、本作の真髄はそのモノローグにあるといって過言でない。 「だけどそれがどうした 実感がわかない現実感がわかない」 何度となく繰り返されるこのフレーズ。 「あたし達は何かをかくすためにお喋りしていた ずっと 何か…