SKET DANCEの「篠原健太」のSF連載なんて、
どうせテクニカルな伏線に走り過ぎた作品だろう、
と手を出していなかったのだが、
ぬる太さんのブログで絶賛されていたので購入する事にした。
結果、これが素直に最高だった。
もう本当にここ近年で最高ランクに面白いSF短編で、
正直、文句のつけどころがない。
作者の代表作「SKET DANCE」は序盤こそ大好きな作品だったが、
連載が続くにつれて、伏線をテクニカルに貼り過ぎる癖が目立ち、
とりあえずお涙頂戴の展開を無理やり描く作風になったので、
徐々に距離を置くようになってしまった。
そんな作者の弱点ともいえるべき要素が、今回は全て良い方向に昇華されており、
短期集中連載という形が結果的に最高傑作を産み出すことになったのだから、
皮肉なものである。
非常に穏やかな学園ドラマとして始まる序盤から、
突然のシリアスなSF作品への転回。
そして、サバイバルの日々における
作者得意の人間関係やキャラクター描写の秀逸さと、
徹底的に凝った作りの裏の伏線と回収。
最初の一冊に手を出したら最後、
絶対に最後まで読まされてしまう傑作なので、
騙されたと思って手に取るべきだろう。
これからの時代のマンガに求められているのは、
薄く引き伸ばされた長期連載ではなく、
こういった中身の詰まった面白さなのかもしれない。