c3_中編(15冊以内)
ついに完結した海街Diary。無事全9冊で終了した本作だが面白かった。本当に面白かった。もはや60歳になってしまった超ベテラン「吉田秋生」今まで、この作者の作品を色々読んできたわけだが12年続いた本作こそが、代表作といって良いのではないだろうか。 も…
だがしかしの最終巻が5月に発売されたので、レビューを書かなければなぁと思いながら、気がつけば10月である。駄菓子という前人未踏ながらも非常に可能性を秘めた設定を舞台に、マニアックな魅力のヒロイン「蛍さん」を登場させ、極めつけはタイトルが「だが…
非常に気に入っていた本作も全7冊でついに完結である。ここ十数年変化が見られなかった、学園少女マンガにおける理想の男性像をメガネの主人公に置き換えたのだから、作者「安藤ゆき」の偉業はもっと称えられるべきだろう。実際問題、この造形のキャラクター…
引き続き「土田世紀」本作のテーマはまさに、作者が敬愛する宮沢賢治の作品「雨ニモマケズ」だといえるだろう。田舎の山奥で貧乏な暮らしをしながらも、誠実さや純粋さといった現代社会では失われた感性を持ち続ける主人公「ドンちゃん」東京から転校してき…
久しぶりに編集王を読み返して、完全に「土田世紀」の世界にやられたので、何作かレビューを。まずは、初期の代表作「俺節」である。この作者の画風で演歌の世界を描くという時点で、既に面白い事は確定しているわけだが、青森の片田舎から、単身上京した主…
名作「医龍」の作者「乃木坂太郎」が描いた新境地。原案は幾度もリメイクされているミステリーの名作だが、本作はオリジナル路線を行く作品。仕事も金もなく行き場のなかった主人公「天野」があるとき殺人事件に使われた奇妙な時計塔「幽霊塔」に近づくこと…
鉄道にはまる女性=「鉄子」を世の中に広めた作品であり、未だに別シリーズのマンガが続いている根強いシリーズの原点ともいえる本作。 鉄道に全く興味がない女性漫画家「キクチナオエ」と、鉄道にしか興味がない人生を過ごす、旅の案内人「横見浩彦」そんな…
元外務省の主任分析官であり、ラスプーチンと呼ばれた男「佐藤優」を描いた傑作。 佐藤の逮捕から、最初の判決が出るまでの時間、物語の舞台はただひたすら、取調べの部屋の中のみ。 そこで繰り広げられる、検察とのやり取りと、語られる世界情勢と外交の世…
「入江喜和」ほどスポットライトの当て方が特殊なマンガ家も少ないだろう。最近始まった新連載もそうだが、本作は45歳のヒロインという設定で、非常に地味な主人公の日常を描いている。ただ、地味な主人公が面白くないかというと、マンガとしては全く逆で、…
ベテラン「森本梢子」の腕が冴え渡る、異色のラブコメ作品。冴えない会社員の主人公「木絵」が、風邪で会社を4日休んでいる間に現れたのは、海外支社帰りのイケメン社員の王子様。 と、ここまでは如何にも王道少女漫画だが、その王子様が実は人の心を読める…
なかよし連載の少女マンガとしては、完全にギリギリのラインを攻めた唯一無二のサバゲーギャグ少女マンガ。この辺りのテーマ選びののセンスは、流石に一度ヒット作を出した「松本ひで吉」だけの事はある。学園内で絶大な人気を誇る「鳳美煌」に無理やりサバ…
今もって傑作を作り続ける巨匠「細野不二彦」の最初期作品。 オデブで女好き、弁当ばかり食べているけど、忍びの腕は超一流の「猿飛肉丸」と、そんな肉丸にベタ惚れしてしまった幼馴染の「魔子ちゃん」の二人を中心に描いた忍者学園ラブコメディ。 どちらか…
唯一無二のシュールギャグ系猫ちゃんマンガ。 そもそも、作者の名前が「カレー沢薫」な時点で唯一無二である。 道端に捨てられていた三匹のロシアンブルーの猫。名前は何故か三匹とも「関羽」。決して世の中に転がっている猫マンガと同じだと思ってはいけな…
後にクレイモアという名作ファンタジーを産み出す作者「八木教広」の初期の学園ギャグ作品である。 天使のように純朴で優しい心を持つ転校生「北野誠一郎」が、その悪魔のような容姿から、周囲の人間からは凶悪人物と誤解され、学校一の不良に崇められていく…
原作「毛利甚八」、作画「魚戸おさむ」コンビと言えば、この作品しかないだろう。家庭裁判所に勤める裁判官「桑田義雄」を主人公に据えた、本格的な司法ドラマの傑作だが、これほど地味な主人公も珍しい。植物を愛する穏やかな人柄で、温和な口調で青少年に…
原作「東周斎雅楽」と作画「魚戸おさむ」というベテランコンビが描く、考古学サスペンス作品。「東周斎雅楽」といえば「長崎尚志」の別名義なわけだが、どうにもこの手のサスペンス作品を描かせると、結末の見えない迷宮に入り込むので性質が悪い。そんな中…
戦争ジャンルを読みたくなって、はだしのゲンを物凄く久しぶりに再読。子供の頃に読んだ中で最も鮮明に記憶に残る作品であり、現在の戦争や平和や左や右に対して少なからず影響を与えた本作だが、物語の序盤、主人公のゲンが家族を失う体験が、作者「中沢啓…
戦後の時代を描いて話題になった本作も全7冊でついに完結である。基本的に戦争ジャンルマンガは、どうしても戦争の悲惨さを描く路線に走りがちである。自身が完全な戦争経験者になる、中沢啓治の「はだしのゲン」や、水木しげるの「総員玉砕せよ!」あたりは…
久しぶりに読み返したが、やはり面白い。ここ近年で最高に好きな作品の一つである。 東京から転校してきた線の細い主人公と、暴れん坊で友人のいないもう一人の主人公。 対極的な二人を中心とする青春の物語は、なぜいつもこれだけ面白い素材になるのか。 特…
奇妙な日常を描かせると右に出るものはいないマンガ家「あさりよしとお」 1万年もの昔、敵を抹殺するために創られた人造人間ワッハマン。 不死の存在である彼は、しかしそのあまりに長い年月故に自分の敵や使命を忘れてしまっていた。 ギャグマンガに見せか…
「有川浩」の有名な原作小説をコミカライズした本作。検閲により本が狩られる時代、メディアを規制するメディア良化委員会と、それに対して図書館の自治を守る図書隊の対立という、なかなか突拍子もない設定が、ある意味マンガの世界に非常にマッチしている…
「鴨居まさね」作品といえば、一般的には「雲の上のキスケさん」辺りが有名だが、私は本作が最高傑作だと思っている。 存在感ある大人を描かせたら当代屈指のマンガ家が、オリジナル・ウェディング制作会社という、世にもロマンティックな仕事を描くというこ…
貧乏マンガの原点と言われる本作は、作者「松本零士」の出世作でもある。文庫版最終巻のあとがきでも語られているが、自身の体験した貧乏な時代の鬱屈とした感情を作中で描く事で、当時の若者から絶大な支持を得た本作だが、流石に作品発表から50年ほどが経…
近年のハーレム系ラブコメかつ主人公が受け身という流れは、やはり「赤松健」から始まったのではないだろうか。そして、その根底が作者のデビュー作となった本作である。この作品の何が凄いかというと、「PCから自分の理想の美少女が出てきて取り柄がない自…
ある程度有名なマンガの中でも気をつけなければいけないのが、この「花沢健吾」作品である。最近ではアイアムアヒーローの、投げっぱなしエンドで、多くの読者をショックのどん底に陥れたが、この作者が謎を解かなかったり、読者にカタルシスを与えなかった…
近年数少ない政治マンガとしては非常に期待していただけに、本作の終了は残念だった。時代背景的にも池田勇人が活躍した頃は、非常に面白い時代なのだが、残念ながら首相の座に辿り着く前に終了という事で、人気がなかったのか、圧力があったのか、この辺り…
2023年出版のコンプリート・ワークスとの違いは最後に追記 総合評価・・・4.90 年の瀬は名作を、という事で長文である。日本国民にとって不朽の名作を残し続けた藤子先生だが、A氏の最高傑作を「まんが道」とするなら、F氏の最高傑作は本作ではないだろうか…
競馬マンガというジャンルは、作品数が少ないマイナージャンルなのだが、その中でも知名度が低い本作「バロンドリロンド」女性騎手でGⅠを目指すという目の付け所の良さは、流石に、原作「北沢未也」だけの事はある。反面、女性主人公キャラクターの極端な性…
近年寡作気味になっていた作者「浅野りん」の初期作品。マンガの基礎レベルがとにかく高い作者なのだが、どうにも代表作に恵まれない傾向がある。本作は、空から降ってきた神獣「キマイラ」を、強欲な主人公「八満」が拾った事をきっかけに神獣の巫女が居候…
まさに粗削りという言葉が相応しい、大ベテラン「原秀則」の初期の秀作。天才サッカー少年の弟と、うだつのあがらない兄というどこかで見たサンデー設定を使って、代表作「ジャストミート」の 二匹目のドジョウを狙った本作だが、連載自体は、短期間で撃沈。…