つれづれマンガ日記 改

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あれよ星屑

戦後の時代を描いて話題になった本作も
全7冊でついに完結である。

基本的に戦争ジャンルマンガは、
どうしても戦争の悲惨さを描く路線に走りがちである。

自身が完全な戦争経験者になる、
中沢啓治の「はだしのゲン」や、
水木しげるの「総員玉砕せよ!」あたりは特に悲惨だし、
最近では、こうの史代の描く一連の作品や、
武田一義の描く「ペリリュー」あたりも同系統の流れである。

そんな中で、戦争を生き延びてしまった男の、
その後の生き様と人生に対するケジメを真面目に描いた「あれよ星屑」は、
一際異色の戦争作品だった。

戦中を生き延びてしまった軍曹「川島」の元に、
豪放磊落な昔の部下「黒田」が訪れるところから始まる本作は、
戦後の闇市という類まれな舞台とあわさって、非常に面白い作品に仕上がった。

加害者でもあり被害者でもあった二人の視点から描かれる世界は、
時に明るく、時に虚しく、それでも人は生きているという現実が描かれている。

また、二人の男性主人公のキャラクター描写が素晴らしく、
特に三枚目役のむさい大男「黒田」は、
昨今のマンガ作品には失われてしまった魅力に溢れている。

特に最終話の描写は素晴らしく、生きる男の力強さを感じさせてくれる、
清々しいラストである。

作者「山田参助」がインタビューの中で語った聡明な考察通り、
昨今の萌え文化の中で消えてしまった男の友情というテーマを
見事に再現した本作を、是非オススメしたい。

 

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