奇妙な日常を描かせると右に出るものはいないマンガ家
「あさりよしとお」
1万年もの昔、
敵を抹殺するために創られた
人造人間ワッハマン。
不死の存在である彼は、
しかしそのあまりに長い年月故に
自分の敵や使命を忘れてしまっていた。
ギャグマンガに見せかけておいて時折シリアスを挟み込む技術は、
相変わらず他のマンガ家の追随を許さない腕前。
またエヴァンゲリオンのデザインにも参加していた
そのセンスの高いキャラクター造詣も
本作の不気味な雰囲気を高めるのに役立っている。
徐々に明かされていく伏線と共に、
ひたすら不安と暗さが増していく展開も見事。
そして、それらを全て吹き飛ばす、
爽やかなラスト。
最終回で「泣き笑い」してしまった作品は、
後にも先にもこのマンガだけだった事を付け加えておきたい。
「宇宙家族カールビンソン」が未完である点を考慮すると、
作者の最高傑作は、やはりこの作品なのだろう。