作者「沙村広明」の代表作にして、
長年、アフタヌーンを支えていた時代活劇。
家族を惨殺された少女「凛」と、
彼女の復讐のために雇われた不死の男「万次」の
長い復讐の旅路。
とはいえ20年に渡る、
あまりの超長期連載に、
中だるみ感がなかったとは言えないだろう。
特に、主人公の不死の秘密を探る、
「不死力解明編」は、
正直、作者の嗜好に走り過ぎていた迷作。
これが作品の柱となる中盤から最終章への間を
抑えてしまっているのは非常に残念な展開だった。
しかしながら、最終章は圧巻で、
これまでの曲者揃いの登場人物が、
一人また一人と散っていく姿は素晴らしく、
最後の最後まで目を離せない見事な展開だった。
この手の、
登場人物が次第に揃っていく最終章というのは、
マンガ家なら一度は描きたい展開なのだが、
やはり連載時間という厚みがなければ成しえないカタルシスであり、
この最終章の為だけに、
全30冊、20年の旅にお供する必要があるのかもしれない。
ワンピースの頂上戦争あたりが、
やはり今までのキャラクターの大集結となり、
大いに話を盛り上げたが、
その盛り上がりの綺麗さのまま万感のラストを迎えた本作は、
幸せな作品だったといえる。
終わり良ければ総て良し。
その言葉が相応しい名作だ。
ちなみに、シリアスな本編と裏腹に、
単行本のカバーにギャグを挟んでいるあたりのギャグへの欲求不満が、
「藤田和日郎」と似た方向性を感じる。
特徴のある画風だが、一読はしておきたい名作だろう。