つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

総合3.5以上(オススメの名作)

魔法使いの娘ニ非ズ

十数年前に始まった、天才「那州雪絵」の復活を感じさせた魔法使いの娘シリーズも、ついに最終7巻で完結してしまった。この十数年、オカルト系作品としては、最高峰の面白さを保ちながら、毎年1冊程度の単行本を楽しませて頂いたものである。そんな作品の続…

異端の経歴 ~ カリフォルニア物語

異端の才能と呼ぶに相応しい「吉田秋生」の存在を世に知らしめたデビュー作。カリフォルニアに住む高校生という設定自体から既に異端の作品ではあったが、当時、この手の世界を描かせたら右に出るものはいなかった「萩尾望都」の影響は強く受けており、序盤…

洗礼

加齢とともに美しさを失っていく恐怖に耐えかねた女優が、若さと美貌を取り戻す事だけを目的に、娘を産み、そして自分の娘と脳移植をするという伝説的な作品。 一度読んだら決して忘れられないこの設定は、マンガ黎明期にのみ許された特権であり、このインパ…

四谷区花園町

最近では、「ニュクスの角灯」が話題になったが、今、個人的に最も注目している作者がこの作者「高浜寛」である。 戦前の風俗ライターという珍しい設定の主人公を中心に描かれる本作だが、掲載雑誌の作風に合わせて描かれたエロ系の導入から始まって、徐々に…

背すじをピンと!

全10冊近年のジャンプ作品ではこれ以上ないほど身の丈をわきまえた綺麗な終わり方の作品だった。作者「横田卓馬」は、元々WEB系マンガで名をはせていた人物であり、いつプロデビューするのかと期待されていたが、ジャンプデビューが噂されてから数年は、…

ライチ☆光クラブ

カルト系として人気を博する作者「古屋兎丸」が、若き日に影響を受けた劇団「東京グランギニョル」による講演を、紙の上に再現した傑作。 多感な時期に見た作品の感激というものは、心の中には残っていても、外に出すことは難しい。そんな凡人の壁を乗り越え…

楽屋裏

ひたすら締め切りを破る作者「魔神ぐり子」とお面の担当「小柳」の苦悩の日々を描いた4コマ漫画。 まさに「楽屋裏」のタイトルに相応しく、様々な言い訳で締め切りを破る作者と、罵詈雑言で攻め立てる担当「小柳」のやり取りは最早漫才であり、完全にマンガ…

グッデイ

面白いの一言に尽きる。 短編の名手「須藤真澄」が、一段の上のレベルに達したと思わされる本作。 人が亡くなる前日に、体が真ん丸の球体に見える現象「玉迎え」この「玉迎え」という設定が、物語的にも、マンガ表現的にも非常に秀逸で、「石坂啓」の「I'm h…

ゆうれい談

大御所「山岸涼子」の描く、実話を元にした幽霊話である。山岸プロの元に集まるマンガ家達が持ち寄った、様々なゆうれい談を実話化した作品で、本格的な恐怖系の作品ではないが、実話と考えると、妙に背筋が寒くなる作品。しかし、それにしても登場する人物…

第七女子会彷徨

藤子作品が持つSF=少し不思議な世界に魅了された、作者「つばな」が描く、日常SF作品。「高木さん」と「金やん」の二人の女子高生主人公を描いた本作の不幸は、同世代の天才「石黒正数」の描く「それ町」と同じ時代に産まれてしまったことだろうか。 星新一…

I【アイ】

(2013年評)「いがらしみきお」渾身の異色作がついに完結した。 全3冊。 残念ながら、この作品のレビューはおいそれとは書けない。 雅彦とイサオの神様を探す旅。 もはや哲学なの狂気なのか、その境目が正直わからない。 ただ、人間が生きている間に、一人…

いいひと

「高橋しん」の出世作。 スポーツメーカーの「ライテックス」に就職を希望する主人公の「北野優二」。 彼の特徴は「いいひと」であること。そして、現実のサラリーマン社会ではこの特徴が周囲とのギャップを見せることになり。。。 どこまで計算されて作った…

天上の弦

山本おさむ得意の、半フィクション半伝記系作品。 東洋のストラディバリと呼ばれた伝説のバイオリン製作者の凄まじい半生を描いた名作。 無名の主人公が、夢も希望もない人生から立ち上がり、たった一人でバイオリン製作という魔物と戦い続ける姿は圧巻。 や…

ヒーローズ・カムバック

(2013年評)これはやはり素晴らしいの一言。 細野不二彦の企画のもと、小学館系の歴代のマンガヒーローが、東北復興支援プロジェクトとして復活した作品。 ギャラリーフェイク究極超人あーる伝染るんですサイボーグ009(島本和彦)うしおととら犬夜叉銀…

ニコ・ニコルソンのオトナ☆漫画

作者ニコ・ニコルソンの存在は知っていたが、まさかこれほど巧みなマンガ評論家だとは知らなかった。 2P見開きマンガで、マンガを紹介するというコンセプトの本作だが、どれも作品の特徴を見事に捉えており、下手なマンガ評論ブログ(当ブログ含)は必要な…

ツレビト

死んだ人間の魂を連れて行く導き手「ツレビト」 生と死の世界の境目を「吉冨昭仁」の画力が、見事に描いた作品。 この異様な空間描写とカメラアングルは、天賦の才能を持った一握りのマンガ家にしか構築できないだろう。 ストーリーも全4冊導入から非常に良…

ラーメン食いてぇ!

「林明輝」は才能あるマンガ家である。 多数の名作を輩出するMANGA OPENにおいて、圧倒的な評価を得て連載を始めた、これだけ才能あるマンガ家でも、簡単に成功する事ができないのがマンガ界の現実。 しかし、本当の才能は世に埋もれないのもまた事…

ネイチャージモン

近年、新刊が出るのを常に楽しみにしていた作品。 オオクワガタと肉 この2つを軸にひたすら熱い持論を展開する寺門ジモンの生き様は、近年珍しいほど暑苦しい。 そして、その暑苦しさを「刃森尊」の画力がこれ以上ないほどさらに暑苦しく演出している。 あ…

大東京ビンボー生活マニュアル

近年名作が生まれない、けれども必ず蘇ると思われるジャンル。それが、この貧乏生活ジャンルである。 四畳半のぼろアパートで、何をするわけでもなく、何があるわけでもなく。 ただひたすらに、無為な時間と、少しだけこだわりのある生活がつづく。 お金の観…

自虐の詩

多くのマンガ読みが、侮って読み始めて、そして必ず泣かされる作品。ちゃぶ台返しばかりする亭主関白のイサオ。 そんなイサオに甲斐甲斐しくつくす嫁の幸江。 そんなどうしようもない日々がただただ続く上巻と、読み始めると最後まで読まずにはいられない怒…

男の華園 A10大学男子新体操部

桑田作品最終夜 長らく続いた桑田作品シリーズもしばらくお休みとする。 さて、全ての桑田作品の中で、どれが最高かと問われればやはり本作を挙げない訳にはいかない。 桑田作品中、最も気弱な主人公「麻生」。 小説が好きで大学に入ったら思いっきり小説を…

豪放ライラック

桑田作品第四夜 時間軸的には、桑田作品の中でも、新しい時代。 また2012年時点での桑田作品の最長連載は、本作と「888」の全6冊である。 デビューから25年近くが経過し、あまり途切れることなく作品を作っているはずだが、6冊が最長連載。 さす…

卓球戦隊ぴんぽん5

桑田作品第三夜 タイトルからしてすでに卓球を真面目に描く気がない事が判明してしまうコメディ作品。 主人公「紅裕次郎」は、スポーツセンスの塊のような男。 しかし、なぜか卓球だけはどうやっても下手。とことん下手。 そんな裕次郎に無理やり部活に誘わ…

おそろしくて言えない

桑田作品第二夜 「桑田乃梨子」の名が、通りはじめた最初の作品が本作ではないだろうか。 心霊現象お手の物の主人公「御堂」と憑依体質だが絶対に霊を信じない「新名」 そんな二人のコンビの学園生活を描く心霊コメディ作品。 中盤で二重人格ヒロインの「御…

げんしけん 2代目

昨日に続き、げんしけん10巻から21巻までで展開される二代目の物語だが、やはりファーストに比べると、何とも評価が難しい。どうしても二代目は、煮詰まっている感じが高すぎて、「げんしけん」が得意としていた、エンターテイメントの要素が弱い。 あれ…

ギャンブル王子 嵐

故「中島徹」先生といえばギャグ漫画の大御所であり、代表作はやはり「玄人のひとりごと」だろう。しかし、個人的にはこの「ギャンブル王子 嵐」を最高傑作に置きたい。 日本の中学に転校してきた「英国のギャンブル王子」その名の通り、毎日毎日ひたすらギ…

あまいぞ!男吾

「Moo.念平」の唯一無二の、そしてコロコロコミックの歴史に残る少年マンガ。 それが、「あまいぞ!男吾」だろう。 オークション等でプレミアがついた存在としても有名な作品かもしれない。 低学年少年マンガというジャンルは非常に難しい存在だ。 小学…

サイコドクター

人の心の病巣を描いた傑作。 カウンセラー楷恭介の元には、様々な心の病気を抱えた患者が訪れ、サスペンス色を含みながら物語は展開する。 マンガ的な演出が過剰ではあるが、心理学を学んでいるわけではないので、娯楽作品としてはこの方向で正解だっただろ…

GS美神 極楽大作戦!!

連載開始から25周年という事で、文庫版が刊行されている時の流れに驚きを禁じ得ない。90年代序盤に颯爽と登場した、言わずと知れた「椎名高志」の大出世作。 バブルの世相をよく反映した主人公美神と、ゴーストスイーパーという舞台は見事な組み合わせだっ…

幻覚ピカソ

「古屋兎丸」の天才的な画力に裏付けられた作品。それが本作である。 主人公ピカソは絵を描くのが大好きな高校生。 そして、そんな彼に唯一声をかけてくれるヒロイン千晶。 しかし、ある不慮の事故で、彼女は死んでしまう。 その日を境に、ピカソは人の心の…