カルト系として人気を博する作者
「古屋兎丸」が、若き日に影響を受けた劇団
「東京グランギニョル」による講演を、
紙の上に再現した傑作。
多感な時期に見た作品の感激というものは、
心の中には残っていても、外に出すことは難しい。
そんな凡人の壁を乗り越えて、
カルト系の鬼才が描いた本作は、
その神経質な描写と相まって見事に、
カルトの雰囲気を具現化できている。
作中、明らかに「楳図かずお」の大傑作「わたしは真悟」を
思い出させられるシーンがあったが、
後書きを読むと、そもそもオリジナルの演劇自体が、
「わたしは真悟」に影響を受けていたようで、
改めて、あの作品の偉大さを感じずにはいられない。
ともあれ、機械と人間の心を紙の上に残せた作品は、
私が知る限り、本作と「わたしは真悟」だけなので、
その意味でも「古屋兎丸」の圧倒的な才能を
楽しむことができる作品である。
正直、あらすじを語ってしまうのは勿体ないので、
グロテスクとカルトが好きな方は、
何も考えずに手に取るべきだろう。
- 作者: 古屋兎丸,東京グランギニョル「ライチ光クラブ」
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 単行本
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