「古屋兎丸」の
天才的な画力に裏付けられた作品。
それが本作である。
主人公ピカソは
絵を描くのが大好きな高校生。
そして、そんな彼に唯一声をかけてくれる
ヒロイン千晶。
しかし、ある不慮の事故で、
彼女は死んでしまう。
その日を境に、
ピカソは人の心の闇を
スケッチブックに再現できるようになる。
このスケッチブックの描写が、
圧倒的に上手い。
マンガ家は世の中に数多いるわけだが、
精神世界描写を違和感なく描ける才能はやはり稀だ。
そして古屋兎丸の画力は、
その領域にある。
物語自体は、
ある意味予定調和的だが、
画力に裏付けられた描写が
物語を進めてくれる分、
今までにない体験を
読者に提供してくれる。
全3冊。
作者の作品群の中では
読みやすい本作をお勧めしたい。