人の心の病巣を描いた傑作。
カウンセラー楷恭介の元には、
様々な心の病気を抱えた患者が訪れ、
サスペンス色を含みながら物語は展開する。
マンガ的な演出が過剰ではあるが、
心理学を学んでいるわけではないので、
娯楽作品としてはこの方向で正解だっただろう。
また、作画担当の「的場健」の、
劇画的な作風が、この演出過剰な展開に
リアリティを持たせたことも、
本作成功の一因であったと思われる。
惜しむらくは、作品自体が未完で終わってしまっていること。
そして、続編では作画担当が交代してしまった事が
非常に残念な点だ。
前述のとおり、この作品の重さと、不思議なリアリティは
劇画系の雰囲気が支えていた部分が大きいので、
その意味では、作画担当を交代した続編よりは、
本作をまず読んで頂きたい。
そして原作者「 亜樹直」は、
長期連載ワインマンガを切り上げて、
是非続編を描いてほしいものだ。