つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

c1_全1冊完結

就職氷河期の呪い ~ ブルーカラー・ブルース

総合評価・・・3.00 「無職の学校」という職業訓練校を舞台にした作品が完結したので、似たようなジャンルの作品として本作を十年ぶりぐらいに読み返したが、当時の印象と変わらずとにかく重く息苦しい作品だった。そして、それこそが本作が描こうとした世界…

千手観音症候群 ~ 田中雄一作品集 まちあわせ

総合評価・・・3.34 なぜか検索数が多い作品なので、数年ぶりに読み直して記事をリライト。全体的に人間以外の生物と共生する社会があるとしたらの「if」の世界を粗削りながら描いている作品群だが、以下の作者巻末コメントにもあるように虫や巨獣のデザイン…

社会が求める理想と現実 ~ 父娘ぐらし

総合評価・・・3.80 最近のエッセーマンガの中で最もお気に入りの作品を今更ながらレビューtwitterやnoteで読んでいたが、もちろん作者「渡辺電機(株)」の印税に貢献するために新品で購入である。しかし何度読んでも面白い、本当に素晴らしい。本当はもっ…

パレス・メイヂ 番外編

パレス・メイヂ 番外編~陛下のプロトコール~【電子限定おまけ付き】 (花とゆめコミックススペシャル) 作者:久世番子 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 近年の宮廷系ロマンスとしては最高峰といえる「パレス・メイヂ」の番外編もついに完結という事で…

ナガサレール イエタテール 完全版

あの超名作、ナガサレール イエタテールの完全版という事で、旧版は何度も読んだが即購入してしまった。 正直、旧版を読んだ人に真新しいサプライズがあるわけではないが、それでも作者「ニコ・ニコルソン」の代表作として、読み直さずにはいられない。あの…

東京怪奇酒

北区赤羽が完結した以上に、壇蜜との結婚で話題をさらった「清野とおる」だったが、相変わらずのテンションの最新作に安心。どの話も味があって面白いのだが、後半収録の話の方が個人的に好みで、「事故物件夫婦」や「入れない路地」あたりがお気に入りであ…

カルト宗教信じてました。

最近は、出版できる人の裾野が広がったおかげで、色々なエッセイ作品が読める。その中でも特にジャンルができつつあるのが、この「宗教に染まっていた人生」を見返す作品である。 これが、なかなか面白いドキュメンタリーで、他者から見るとなぜそんな人生に…

かぞく

引き続き「土田世紀」編集王未読の方には意味のわからないレビューになるので、先に編集王を読む事をオススメする。作者が肝硬変で早逝してしまった今となっては、この作品こそ「土田世紀」にとっての「あした」になってしまったわけだ。親子や家族といった…

新久千映のお酒のお時間です

女性の酒飲みマンガ家として、その地位を完全に確立した作者「新久千映」のお酒マンガである。今回のテーマは、家でのお酒という事で、食べ歩きジャンルではなく、様々な家の中でのお酒との過ごし方が描かれている。酒飲みが酒とつまみを楽しむというジャン…

人間仮免中 つづき

読む前からどんな悲惨な結末になってしまうのかが恐ろしくて、なかなか手を出せなかった本作をついに読了。まえがきの段階から既に不穏な要素だらけで、いつ不幸が訪れるのかびくびくしながら読んだが、結果としては、想定する限り最も幸せな結末だったので…

あたらしいひふ

「高野雀」の同人誌時代の初期作品集である。大型新人として、「さよならガールフレンド」で鮮烈なデビューを果たした作者だが、流石に初期作品群という事もあって本作のクオリティ自体は並。ただし、表題作の「あたらしいひふ」は非常に面白く、服というテ…

筒井漫画涜本

筒井康隆の原作を様々な作者が漫画化した短編集。星新一作品の漫画化などはまだ読めるレベルなのだが、さらにナンセンスとブラックユーモアを進行させてしまった筒井作品となると、流石に混沌とし過ぎてしまう結果だった。加えて、「相原コージ」「吾妻ひで…

いとへん

全1冊完結の、仕立て屋物語 「宇仁田ゆみ」が描くにしては珍しく、天然で可愛らしさだけが取り柄なおバカ主人公「ななこ」と、仕立て屋の師匠「ヒラタ」のほんわかしたやり取りを描いた作品。 アマゾン等を見ると、案外酷評が並ぶが、このレベルの作者が描い…

ラスト・ワルツ

今なお孤高の存在である雑誌アックスで連載された、「島田虎之介」の恐るべき処女作。 ここまで壮大な物語を語られると、読み手としては正直、評価が難しい。 昨今流行りのマンガというより、これは物語なのだ。 マンガという表現を使っているが、絵と文字に…

スラム団地

人とは違うオリジナリティを持ちながら、人間描写が巧みなマンガ家はすべからくスラム出身ではないだろうか。 そんな不謹慎な想像を裏づけしてくれる本作「スラム団地」 作者「松田奈緒子」の幼少時代の団地での生活を描いた作品だが、その後の作者の描くマ…

生活 完全版

「福満しげゆき」作品は、エッセイ系からオリジナルまで色々読んだわけだが、やはり一際面白いのがこれ。 あのネガティブな本人が自信があると言っただけの事はあり、まさに大作と呼ぶに相応しい渾身の傑作、それが「生活」完全版である。 世間を妬む悪人に…

少女探偵金田はじめの事件簿

「あさりよしとお」らしさ満載の本作。探偵マンガの皮をかぶったギャグ漫画。でも、やっぱりいつも通り、心の片隅に不協和音を残すこの空気感。 推理小説のお約束を逆手にとって、様々なパターンで強引にオチをつける作者の博識に拍手。 名探偵ゆくところに…

リアル風俗嬢日記

Webバナー等で度々広告が出ていた本作。見た感じエッセイ系の要素が強そうで、エロ作品ではなさそうだったので購読。結果としては、確かにリアル風俗嬢日記というタイトル通りの作品だった。作者「Ω子」自身が現役の風俗嬢で、お店に来た人との体験や経験を…

放浪世界

「水上悟志」作品は好きなので新刊が出れば必ず目を通すわけだが、本作の出来栄えは、「並」といった感想である。既にSFジャンルでは様々な面白い作品を産み出しているだけに、どうしても期待のハードルが高くなってしまう点は申し訳ないが、帯にも書かれて…

私のともだち

魔法使いの娘シリーズが終わってしまったせいで、「那州雪絵」のサスペンス作品が読めなくなってしまったわけだが、この度、ホラー短編集が発売される事になって歓喜。全6作品ほどが収録されているが、今回も非常に面白い。表題作「私のともだち」も良いが、…

ラスト.ワルツ―Secret story tour

今なお孤高の存在である雑誌アックスで連載された、作者「島田虎之介」の恐るべき処女作。 ここまで壮大な物語を語られると、読み手としては正直、評価が難しい。 昨今流行りのマンガというより、これは物語なのだ。 マンガという表現を使っているが、絵と文…

三文未来の家庭訪問

鬼才「庄司創」による少し不思議な短編集。 表題作「三文未来の家庭訪問」は、アフタヌーンで連載した「白馬のお嫁さん」の原型を感じさせる作品だ。 個人的には「白馬のお嫁さん」より、この頃の、少しだけ緊張感を伴う、近未来の世界観が好みである。 ただ…

少女漫画

「松田奈緒子」作品は、どれも味があって面白い。 本作は、「ベルばら」や「ガラスの仮面」等、有名少女漫画作品をテーマにし、それぞれの少女漫画に憧れた女性たちが、そのマンガを心の支えに、現実の世界を闘っていく日々を描いたオムニバス作品。 「少女…

ぶんぶんレジデンス

近代麻雀に連載された、爆笑麻雀マンガ。懐かしくて購入。 大学の学生寮「竹丸寮」に入った主人公「矢鴨」が、ひたすら麻雀で金をむしり取られる。 序盤は、竹丸寮のキャラの強さだけがウリで、あまり面白くない。 しかし、「特殊ルール麻雀」が始まってから…

よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話

エホバの証人と思われる宗教を信じる母親の元で育った作者「いしいさや」の物語。やはり、伝えたいことがある人が描く作品というのは力強いもので、画力やセンスとは全く別の次元で、宗教勧誘を取り巻く環境の真実の一面を描いている。近年では「高木かや」…

とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話

Amazonのレビューの評価と、マンガとしての評価が一致しないという意味で、今回は非常に勉強になった。エッセイ作品は好きなので、良く読むジャンルなのだが、Amazonのレビューというのはそれなりに参考になる。平均して評価が高い作品というのは、万人にと…

妻は他人 だから夫婦は面白い

なんとなくブログの記事を読んで購入。最近、この手の書籍化作品が増えてきているのだが、やはり、以前に比べて作品のクオリティが、下がってきている気がしてならない。正確には、昔のWebから書籍化した作品は、一冊全てを通して、ある程度の質を担保してお…

理系クン

理系というキーワードの一点突破で、その後何作もシリーズ化したのだから「高世えり子」には先見の明があったのだろう。作品的には文系女子の作者が、理系男子の彼氏に魅かれてといった非常にわかりやすいエッセイ系作品であり、特段、何か見るべき点がある…

明日も未解決

物凄く久しぶりの「桑田乃梨子」である。細く長く30年以上、なんとなく読んでなんとなく楽しむこの作風を続けているのだからある意味天才。ただ、今回ようなオカルトジャンルは作者の得意領域なので、正直、他のシリーズの方が面白い。その意味であえて、こ…

劇画・長谷川 伸シリーズ 瞼の母

往年の名マンガ家「小林まこと」が、長谷川伸の傑作を劇画化したシリーズだが、シリーズ中でも屈指の出来栄えとなる本作。 本シリーズでは小林作品に出てきたキャラクターのスターシステムを採用しているだが、満を持して「三四郎」を主人公の配役にしている…