つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

かぞく

引き続き「土田世紀

編集王未読の方には意味のわからないレビューになるので、
先に編集王を読む事をオススメする。


作者が肝硬変で早逝してしまった今となっては、
この作品こそ「土田世紀」にとっての「あした」になってしまったわけだ。

親子や家族といった、抽象的で非常に難しいテーマを選びながらも、
全盛期に比べて肩の力の抜けた作画といい、
少し暗い雰囲気にも関わらず全編を通して描かれる暖かく見守る眼差しといい、
全てが、晩年の「マンボ好塚」のような印象を受ける作品である。

特に、最後に収録される「マコト」の物語は、
これからドラマチックに盛り上がることが確実だっただろうに、
現実は厳しいもので、未完の物語になってしまったのは非常に残念だ。

「マンボ好塚」が世間的には大御所と呼ばれるほどに売れたのに対して、
土田世紀」の名前が世間でどれだけ有名だったかは評価が難しいところだろう。

しかし、マンガ好きの間では、確実に一線を超える巨匠だったことは間違いなく、
そんな作者の遺作となった本作を是非、ファンの方は手に取ってほしいものである。

編集部からのあとがきにもある通り、
生きていれば、まだまだ数多くの傑作を産み出したであろう才能に敬意を表して、
明日はやはり作者の最高傑作といえる「編集王」のレビューを書く事にする。

 

かぞく 1

かぞく 1