つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

c3_中編(15冊以内)

となりの怪物くん

近年、最もお気に入りだった学園ラブコメ。ストーリー、絵、キャラクター、と、どれをとっても弱点がなく、とにかくセンスの高い作品だった。 入学初日から喧嘩沙汰で学校にこない「春」という、となりの怪物くんを眺めるテンプレタイプの作品かと思って読み…

天上の弦

山本おさむ得意の、半フィクション半伝記系作品。 東洋のストラディバリと呼ばれた伝説のバイオリン製作者の凄まじい半生を描いた名作。 無名の主人公が、夢も希望もない人生から立ち上がり、たった一人でバイオリン製作という魔物と戦い続ける姿は圧巻。 や…

日出処の天子

大御所「山岸涼子」の代表作。 厩戸王子、いわゆる「聖徳太子」を主人公にしたマンガで、少女マンガが得意とする歴史ロマンスジャンルとは少し違う印象を受けるが、その「聖徳太子」が女性とみまごう美貌の持ち主で、超能力を操るとなると話は違ってくる。 …

ベルサイユのばら

久しぶりに再読。何度読み直しても、面白さが色褪せない偉大な作品である。70年代における本作の存在は圧倒的で、少女マンガという単なる少年マンガの二番煎じであったジャンルを、一つの文化のレベルにまで押し上げた作品と言っても過言ではない。凡そ西洋…

鋼鉄の華っ柱

相変わらずの「西森博之」作品である。御曹司の頂点から一気に没落する第一話から始まり、それでも鼻っ柱が折れない主人公「御前崎真道」。そんな魅力的な主人公をもってこれたのは良かったのだが、ここ近年の西森作品らしく、物語の構成がどうにもならない…

レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版

【特典付き】レタスバーガープリーズ.OK,OK! 完全版【全3巻】 作者: 松田奈緒子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/01/21 メディア: コミック この商品を含むブログを見る 重版出来の「松田奈緒子」の大傑作が、書下ろしと番外編含む完全版で発売…

サラリーマン拝

「吉田聡」の描く、奇想天外なサラリーマン物語も全9冊でついに終了である。喧嘩が強くビジネスに強く、インテリジェンスもあって義理人情に意外に熱い。 こんな無茶苦茶で格好いいサラリーマンは、金太郎以上に実社会には存在しないわけだが、それでも、こ…

二十面相の娘

非常に良い意味で、独特の作品である、莫大な遺産を継いだ令嬢と、怪人二十面相の物語で、クラリスとルパンの続きを描いたかのような作品。 衝撃的な展開といい、設定といい、なかなかに続きが気になる序盤に比べると、中盤以降がやや弱いのは、巻末で作者が…

らせつの花

「潮見知佳」の描く、オカルト恋愛シリーズシリーズの第二弾。三部作の中では、本作の出来栄えが一番良い。 20歳の時に命を奪われるという悪霊の呪いを抱えながら、心霊退治を続ける主人公「羅雪」と、前作、「ゆららの月」から登場する、もう一人の主人公「…

P2! let’s Play Pingpong!

掲載雑誌の読者層にあうかどうか、というのは非常に重要な問題である。 その意味で、掲載雑誌を間違った為に早期打ち切りを招いたのがこの作品だろう。 卓球という地味目なテーマでありながら、作品を盛り上げることに成功しているのは、偏に作者のオタクっ…

ネイチャージモン

近年、新刊が出るのを常に楽しみにしていた作品。 オオクワガタと肉 この2つを軸にひたすら熱い持論を展開する寺門ジモンの生き様は、近年珍しいほど暑苦しい。 そして、その暑苦しさを「刃森尊」の画力がこれ以上ないほどさらに暑苦しく演出している。 あ…

マコちゃんのリップクリーム

打ち切りの女王「尾玉なみえ」による、最長不倒連載。斜め上過ぎるシュールギャグを引っ提げて、ジャンプに乗り込んで以来、数え切れない打ち切りの洗礼を受けた作者だが、それでもマンガ家を続けられたのは、恐らく、この作者以上に奇想天外なマンガを描け…

グミ・チョコレート・パイン

大槻ケンヂの半自伝的小説をマンガ化した作品。 小説は未読だが、原作とマンガはかなり異なるようだ。 クラスの中では地味な存在で、けれども自分は特別な何かを持っていると信じる主人公。 そんなありがちな妄想と、何も変わらない現実。 それらを打ち壊す…

豪放ライラック

桑田作品第四夜 時間軸的には、桑田作品の中でも、新しい時代。 また2012年時点での桑田作品の最長連載は、本作と「888」の全6冊である。 デビューから25年近くが経過し、あまり途切れることなく作品を作っているはずだが、6冊が最長連載。 さす…

本屋の森のあかり

最近は少なくなったが、地味だが面白い作品というのがある。 「磯谷有紀」が描く本作は、女性主人公が書店で働く地味な作品だ。 多少人気が出た時期もあったが、万人に受けるタイプの作品ではない事は確実だ。 しかし、この作者の持つのんびりとした雰囲気と…

デラシネマ

「星野泰視」の描く映画現場を舞台にした作品。 戦後間もない時代背景の中において、映画というエンターテイメントがいかに重要な存在であったかを痛感する。 また、マンガという舞台にこれほど似合う素材も少なく、この分野をさらに開拓した作品に出会いた…

男子高校生の日常

なんともいえないシュールなギャグを展開してきた本作も、ついに完結である。確かに、女子高生作品ばかりの現代において、男子高校生のどうしようもない馬鹿さ加減に着目した点はよかった。 ただ、全般的にシュールで薄めのギャグが、同時に弱点でもあり、3…

ぼくらの

「鬼頭莫宏」作品には、圧倒的に欠落しているものがある。それが「死」へのリアリティーだ。 すべてのキャラクターが、あたかも死を受け入れて、死を平然と乗り越えようとする。 そんな妄想に取り付かれたフィクション世界。その辺りの感覚は、「なるたる」…

わたしは真悟

多くのマンガに目を通すと、「面白い作品」というのはそれなりの確率で出会える。 しかし稀にだが「スゴイ作品」が存在する。 一気に読破して、読み終えて、ふっと溜息が出る。 何か感想を考える余力が沸かない、マンガ家の思想、思念に思考力を奪われたよう…

アウトランダーズ

最近でこそ、一般誌でその名を見なくなった「真鍋譲治」だが、やはり、 初期作品のエネルギーは底知れないものがある。美少女異形の生命体宇宙戦争爆発シーンetc とにかく新人とは思えない、圧倒的な描写力である。 物語自体は、いささか強引な展開の末、ハ…

あすなろ白書

「柴門ふみ」が描いた最も壮大な実験作。 それが「あすなろ白書」に対しての素直な感想だ。 作者が最も描きたかったテーマを描いた故に、そのテーマに翻弄された作品。 主人公「なるみ」の女性としての描写に関しては、文句の付け所が無い。 この時代に、女…

からん

好んで読んでいたレビューサイトで以前、 「からん」が物凄く良いところで終わってしまった… と書いてあるのを見て以来、読みたくもあり、打ち切りが悲しくもあり読めなかった作品。 ついに読んでみたが、大変惜しかった。これは素晴らしい作品だった。 そも…

サイコドクター

人の心の病巣を描いた傑作。 カウンセラー楷恭介の元には、様々な心の病気を抱えた患者が訪れ、サスペンス色を含みながら物語は展開する。 マンガ的な演出が過剰ではあるが、心理学を学んでいるわけではないので、娯楽作品としてはこの方向で正解だっただろ…

僕はムコ養子

大財閥の竜神家の娘と結婚して婿入りした主人公。 しかし、新婚旅行の翌日に、竜神家が破綻して、残ったのは、本家の義母と義姉2人を狭い一軒家で支える生活。マンガならではの現実離れした設定だが、それゆえの面白さもある。 物語自体は、ムコ養子がいじ…

綿の国星

「大島弓子」の定番の作品。 主人公の「チビ猫」は、可愛い子猫。けれども、その容姿は、マンガの世界では少女の姿をしており、彼女の視点を通して、世界は物語られる。 最初に読んだときは、「我輩は猫である」かと思ってしまった。 けれども、よくよく読ん…

ポテン生活

忘れないうちに書いておく。そんな、忘れられてしまうような薄さと、必ず読んでいた面白さの両立。それがポテン生活。 断言するが、作者「木下晋也」は天才である。 当時、MANGA OPENが本作に大賞を与えたときに、その審査員の慧眼に恐れ入ったが、…

炎の転校生

今なお昔と同じテンションを保ち続ける、炎のマンガ家「島本和彦」の衝撃のデビュー作。マンガ家が持つオリジナリティはそのデビュー作に色濃く顕れると考えているわけだが、これほど顕著な例も珍しい。タイトルに恥じず、ひたすら転校を繰り返す主人公と裏…

花咲ける青少年

樹なつみ作品はどれも面白いが、個人的に挙げさせてもらえば、やはり本作をお勧めしたい。 残念ながら「樹なつみ」はレビュー泣かせのマンガ家だ。 その独自の世界観と設定により類似した作品が少ないので、説明が大変難しい為だ。 しかし、それにしても本作…

はなまる幼稚園

幼稚園と園児を舞台にした作品。主人公の園児「杏」は、保育士の土田先生がお気に入りで、彼に気に入られようと頑張るのだが、土田先生は同僚の山本先生が気になって。。。 萌え系に該当するのか、コメディに該当するのかそこらへんは難しいところだ。 しか…

虹色とうがらし

あだち充作品は、確かにどれも似たような顔と似たようなキャラクターである。 特にタッチ以後は、長期連載はあっても大傑作はつかめていないのが実情だ。 しかし、ひとつだけ推しておきたい作品がある。それが本作虹色とうがらしだ。 日本の江戸時代に似た、…