つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2000年代男性系

ぼくと姉とオバケたち

まだまだマイナーだった時代の「押切蓮介」が描いた得意のお化けギャグを使った4コマ作品。作者にとっての初のシリーズ完結作品という事で、確かに時間軸的には「でろでろ」より少しだけ早く完結している。お化けをぶん殴ってギャグにするというジャンルは、…

るくるく

不可思議な作品を描かせれば右に出る者のいない、作者「あさりよしとお」による、不条理日常マンガ。突然やってきた悪魔のお姫様「るくるく」と暮らす事になる、平凡な主人公「六文」。ただし、第一話からいきなり父親が惨殺されるという、あさり作品以外で…

ハックス!

「アリスと蔵六」が好評な作者「今井哲也」による初期作品。高校のアニ研を舞台に、自主製作動画を創る物語で、パッと見の絵柄は可愛らしいのだが、絵柄に似合わず、かなり哲学的な作品である。主人公が天才設定の為、とにかく言語が不自由で、他者との距離…

極悪がんぼ/激昂がんぼ/がんぼ ナニワ悪道編

極悪がんぼ16冊からはじまり、激昂8冊、ナニワ悪道編9冊と長きにわたって続いた本シリーズもついに完結である。裏社会のナニワ金融道的な存在だった、序盤の極悪がんぼも面白かったが、個人的には主人公神崎がフィクサーとして頭角をあらわしはじめる激昂編…

サナギさん

絵が下手という致命傷を抱えながら、独特のセンスでマンガ家の地位を確立している作者「施川ユウキ」の代表作である。主人公のサナギさんがほんわかに、友人のフユちゃんが毒舌を交えて、世の中を眺めるだけの4コマギャグマンガ。 ただ、それだけのマンガな…

オーレ!

最高傑作「ORANGE」以降、サッカー界の痒いところに手が届く作品を描き続ける作者「能田達規」 上司の命令で、2部リーグのサッカークラブに関わることになった公務員の主人公を軸に、弱小サッカークラブの現実を描いた傑作だ。 あまりにいぶし銀な作品ゆえ…

猫背を伸ばして

「押切蓮介」好きとしては、書類送検されてしまいいたたまれないので、せめて本作を読んであげる事にした。 内容的には、マンガで食べていけるようになるまでの作者の半生を描いた、暗黒青春ジャンルの作品である。 この作者の、どうしようもない暗い青春の…

邪眼は月輪に飛ぶ

短編作品としては最高峰の絶賛を受ける、「藤田和日郎」の傑作。見られたら死ぬ、という圧倒的な力の梟「ミネルヴァ」と、それを追う狩人の物語。 スピーディーな展開と藤田作品特有の迫力あるアクションが混ざり、気が付けば、最後まで読んでしまう短編傑作…

CLAYMORE

13年は長い時間だったが、稀代のダークファンタジー作品の素晴らしいラストに脱帽。 あの「エンジェル伝説」の「八木教広」が、女性だけをメインキャラクターに、バトルファンタジー作品を描き始めたと聞いた時は、正直、少しも期待できなかった。 事実、連…

空色動画

作者「片山ユキヲ」が藤田和日郎のアシスタントという事でつい手に取ってしまった本作だが、まぁ結果としては。。。女子高でアニメを作るというあざとい設定のわりには、作風は藤田和日郎系の方向性。この辺りが既に、残念ながら破綻している。また、展開や…

ディアスポリス 異邦警察

異端の画力「すぎむらしんいち」と、思わせぶりの原作「リチャード・ウー」のコンビによる異色の物語。日本に不法滞在する外国人と、その人権を守る裏都庁。そして裏都庁の警察署長を務める、主人公「久保塚早紀」。設定の面白さは圧倒的で、さすがに毎週の…

おせん

漫画界には8割の手塚派と2割の水木派がいる、との名言を残した水木派の作者「きくち正太」の代表作である。 老舗料亭の若女将「おせん」は、普段は酒ばかり飲んでいるが、書道・陶芸と幅広い芸術の腕を持ち、特に料理の腕前は天才的という看板女将。 そん…

NHKにようこそ!

原作「滝本竜彦」の小説を作画「大岩ケンヂ」でコミカライズした、アニメ化もした有名作品。 ひきこもり歴4年の主人公佐藤君は、大学を中退し、無職で人生行き詰まり中。 そんな彼の元に、何故か美少女「岬」が登場し、佐藤君をひきこもり状態から社会復帰さ…

神戸在住

鮮やかな神戸の街を舞台に、主人公の女子大生「辰木桂」の大学生活を私小説風に描いた傑作。トーンをあまり使わずに丁寧に描かれた実在の地域や名所と、そこを舞台に動き回る登場人物たちの群像劇は、希薄ながらも重厚な大学生活のモラトリアムな時間を、読…

月光条例

異論は多数あると思われるが、個人的には「月光条例」が、藤田作品の中で一番好きかもしれない。 まず、設定が素晴らしかった。創作者なら誰もが二の足を踏むであろう、お伽噺という世にも困難なテーマを舞台に、よくぞこれだけの物語を作り上げたことか。 …

裁判員の女神

勿体ない作品である。原作は「家裁の人」を描いた法廷マンガの名手「毛利甚八」と、作画は「大使閣下の料理人」を描いた「かわすみひろし」のコンビであり、それなりに名作を描いた二人なわけだが、この二人を組み合わせようと思った編集者の意図がわからな…

榎本俊二のカリスマ育児

さすがに「榎本俊二」である。 昨今、世の中にあふれているマンガ家の育児エッセイマンガとは一線を画している。 これだけシュールに自分の子供を描けるのは、ギャグマンガ家が最も得意とする、客観視の力が大きいのだろう。 また、父親という観点で育児を眺…

神様ドォルズ

古いしきたりのある村から逃げ出した主人公と、それを追ってきた女の子。 村に古くから伝わる謎の人形「案山子」とその闘いに再び巻き込まれる主人公。 作品全体に若干のオタク感はあるものの、全12冊で綺麗にまとまっているので及第点。 勿体ないのは、作品…

ラッキー

「村上かつら」作品である。 クラスの友達とあまり打ち解けられていない、小学生の主人公「祐太」が押入れの中で見つけた、犬型ロボットのラッキー。 亡くなった母親が飼っていた、思い出のラッキーと暮らすことで、徐々に自身も成長していく主人公、といっ…

R.O.D - READ OR DIE

本を愛し、本に愛される愛書狂の主人公「読子・リードマン」原作「倉田英之」のライトノベル作品を、「山田秋太郎」がコミカライズさせた本作だが、基本的にはマンガというよりアニメ映えする構成の作品になっている。特に主人公が操る、「紙」という能力の…

モリのアサガオ

マンガ文化の幅広さを感じさせる作品は多々あるわけだが、マンガが大人にとっても娯楽たりえると感じさせてくれる極めて深い作品である。タイトルの由来は、死刑囚を収監する刑務所=暗い森と、朝に突然呼び出され昼前には処刑される死刑囚=アサガオの二つ…

A-BOUT!

A-BOUT!に関して書くとすれば、マガジン編集部が本当に勿体ないことをした、という一言に尽きる。 本作は、連載当初こそ勢いだけのバカヤンキーマンガだと思われていたが、そのバカさ加減こそ、喧嘩ヤンキーマンガの命だという事がわかる大傑作だった。特に…

リトル・フォレスト

東北地方のとある村の中の、小さな集落「小森」そこで暮らす主人公「いち子」 大自然の中で描かれる四季の暮らしと、美味しそうな食生活。 全てが便利ではないと頭では分かっていても、都会の人が憧れてしまう田舎暮らしを、自然マンガの天才「五十嵐大介」…

神のみぞ知るセカイ

長期連載作品は、終わり方を見誤るケースが多いが、その手の失敗が少ないといえばやはりサンデーである。その意味で本作は、見事なまでに綺麗な終わり方の作品だった。 ラブコメという、マンガ界最高の競争率を誇るジャンルの中で「ギャルゲー大好きの主人公…

天体戦士サンレッド

溝ノ口発の真っ赤なヒーローの物語も全20巻で完結である。 アニメ化等凡そ想像できないほど、ひっそりとマニアの間だけで読まれていた小規模川崎ギャグ漫画が、ここまで伸びる作品になるとは、作者「くぼたまこと」自身も予想だにしなかったであろう。悪逆主…

純潔のマリア

「もやしもん」の作者というイメージが強くて忘れていたが、「週間石川雅之」の作者でもあったのだな、と思い出させられた。 イングランドとフランスの100年戦争の時代に生まれた魔女マリアは、自分の嫌いな戦争をなくすために、世界中を相手に自分勝手に戦…

晴れゆく空

「谷口ジロー」である。過労死寸前まで働き過ぎた結果、若者と交通事故を起こしてしまった主人公「久保田」。彼が事故から目覚めた時には、彼の意識は交通事故の相手の若者「小野寺」の中に混ざりこんでいた。こんな風に書くと、昨今のライトノベル的なあら…

ストーリー

近年におけるショートストーリーの名手といえば、やはり「戸田誠二」の名前は挙がるだろう。決して巧いわけではないが、ショートストーリーを描くには欠かせない、幅広いキャラクターの表情と特徴の強すぎない画風。テンポの良いネームと、キレのある構成。…

サルチネス

久しぶりに「古谷実」に泣かされた。 一世を風靡した「稲中」以来、創作を模索してきた作者。 「ヒミヅ」以降は、ひたすら人生からの問いかけを哲学する事が課題となり、エンターテイメントとしてのマンガは、置き去りになっている感もあった。 しかし、本作…

「鈴木みそ」をマンガ家として復活させたといえる作品。 それが、本作「銭」である。マンガやアニメの値段から始まり、自営業の値段、ペットの値段、エロの値段、そして、人の命の値段。世の中のお金にまつわるストーリーをひたすら描くその作風は、作者の得…