マンガ文化の幅広さを感じさせる作品は多々あるわけだが、
マンガが大人にとっても娯楽たりえると
感じさせてくれる極めて深い作品である。
タイトルの由来は、
死刑囚を収監する刑務所=暗い森と、
朝に突然呼び出され昼前には処刑される死刑囚=アサガオ
の二つが組み合わさっている。
死刑を執行する刑務官として働く主人公「及川直樹」と、
両親の仇討を行い死刑を宣告された、もう一人の主人公
「渡瀬満」との交流を描いた本作。
凡そ、死刑の賛否を問う際に登場する
全ての論点、つまり、
被害者感情、加害者の後悔、冤罪、
そしてハムラビ法典的な考え方
等を網羅しながら主人公は、死刑制度の在り方に対しての
賛否を考える哲学作品である。
唯一の弱点は、全7冊を通して、
死刑制度の是非に対しての新しい解釈を
持ち込めていない点だろうか。
しかし、数多の知識人が
今なお答えの出せない問題を、
作者「郷田マモラ」一人に求めるのは酷だろう。
ただし、それぐらい期待させるほどの
深いテーマ性を感じた作品ではあった。
マンガという文化を侮っている人にこそ
読んでほしい名作である。
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- 作者: 郷田マモラ
- メディア: コミック
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