つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2010年代女性系

煩悩寺

変わり者の兄から送られてくる、様々な遊び道具に囲まれたアパートの一室。 煩悩寺と名づけられたその部屋で、無為な日常を送る、小山田君と小沢さん。 時間や金銭から切り離された煩悩寺の空気は、近年の若者生活の一面をある意味正確に切り取っている。 作…

たまりば

多摩川のそばで昼間から遊んでいる、ニートのようなおっさんと女子高生の出会いを描いた本作。川のそばで一目惚れというと、荒川アンダーザブリッジを思い出してしまうが、フィクション系ではない。ただ、おっさんに一目ぼれする女子高生という、わりとあり…

人間仮免中

(2013年評)各所で話題沸騰中の本作。 年末恒例のマンガランキング系作品の各ランキングの上位を総なめ。 総合点をつけるとすれば、この作品がNo1だったのではないだろうか。 しかし、その手の評価と反して本作がマンガとして優れていたかどうかは非常に…

港町猫町

一部のファンに大変愛されている作者「奈々巻かなこ」の描く、猫ファンタジー作品。寂しい女性にだけは猫が人間に見える不思議な港町でつづられる猫と人間の物語。ファンタジーと呼ぶには相応しいのだが、絵や物語に、なかなか独特のクセがあり、好きな人に…

ケサラン・パサラン

「山岸涼子」の描く風水をテーマにした異色作。主人公のイラストレーター星由良子は、家を建てる事を決意し、希望の場所に土地を手に入れるが、占い師に衝撃の言葉を告げられて。。。 主人公の堂々巡りの思考に若干いらいらさせられるものの、家を建てるとい…

キミニ恋シナイ

(2012年評)恋愛短編を7作収録した「天堂きりん」の作品集。 収録されているティーンズラブ系の作品は、並の出来栄えといったところ。 唯一「フロウライト」は女子中学生の傲慢さと神経質な両面が描けていて収録作の中では上位の出来だった。 最近は、読み…

ダーリンは55歳

本格的なストーリー漫画が描ける作者が、エッセイ系の作品を描くとどうなるのか。これは以前から気になっていたテーマだったのだが、なかなかストーリー系の名手がエッセーに転籍するパターンが少ないために、結論がつかなかった。ギャグ系やマイナー系萌え…

式の前日

(2012年評)また、帯にやられてしまった。 「発売3日で早くも増刷」の帯に。やはり、過剰な煽り帯には変に期待感を高めさせられてしまうので、逆に読んでからのギャップが激しいのだろう。 作品としては、帯いわく「泣ける短編」を6作収録した作品である…

昭和元禄落語心中

落語をテーマにした異端の本作も全10冊でついに完結。半端なヤクザ者の主人公「与太郎」と芸事を極めた師匠「八雲」の二人の掛け合いを楽しむ序盤の面白さは圧倒的で、新時代の落語マンガの登場を思わせた本作だったが、最終的に、想像以上に少女マンガに落…

ナゾ野菜

「ブスだけどマカロン作るよ」に収録されていた、謎の野菜を「めんつゆ」でひたすら虐待する謎の料理マンガ「ナゾ野菜」が奇跡の連載化を果たしたのが本作「ナゾ野菜」である。自分の文章ながら、読み直してみて全く意味のわからないあらすじだが、「カレー…

はぴぷり

(2012年評)高河ゆん作品とは思えない雰囲気だが、子供モノが好きな方にはお勧めしたい。自身の経験を踏まえながら描く、母と子供の日常物語。 昨今のエッセイ系のマンガではなく、キャラクターも物語もいかにもフィクション的な要素を加えて創られているが…

3D彼女

3D彼女ついに完結である。「那波マオ」作品にして、まさかの10巻越えを果たして、全12巻完結となったわけだが、読後感としては、若干物足りなかった。というか、恐らく作者に期待し過ぎていたところが多分にある。ラストの展開に不満はないのだが、この作…

青春離婚

これはもう、完全にタイトル勝ちだろう。 以前から述べているとおり、やはり小説がコミカライズされる作品はタイトルが上手い。 文章のプロなのだから、当たり前と言えば当たり前だが、それにしたって、この凡百な作品を、ここまで期待感高く読ませるのは、…

ゼッタイドンカン

「うさぎドロップ 」の「宇仁田ゆみ」によるラブコメ作品。 当たり前の話だが、このレベルの作者が描くと、基本的に何でも面白い。まず、キャラクターが活き活きしている。 次にストーリーも、調律師の女性主人公という設定がさりげなく効いていて、面白い。…

おとりよせ王子飯田好実

おとりよせで美味しいものを楽しむ。ただ、それだけを一点突破で描き続けた本作も、最新7巻で無事完結。若干コミュ障で、お取り寄せだけが趣味の主人公が、ひたすらお取り寄せグルメを楽しむという内容は、マンガとしてのクオリティは置いておいて、新ジャン…

彼女とカメラと彼女の季節

久しぶりに純粋な恋愛マンガを読んだ。最近は、マンガ世界も複雑化しすぎていて、普通の恋愛マンガでは連載として成り立たないわけだが、この作品は、少女の同性愛をテーマにした分、純粋な恋愛マンガとして成立していた。最近だと、「青い花」あたりが同じ…

俺物語!!

少女マンガの伝統を見事に逆手にとって、2010年代を代表する作品となった俺物語も今月の別マガでついに完結である。俺物語らしい、素晴らしい最終話だった。 本当に、ここ近年の少女マンガ界における河原和音の存在感は圧倒的で、立て続けにヒット作を輩出し…

メゾンde長屋さん

(2012年評)「ホタルノヒカリ 」で人気を博したひうらさとるの最新作はSFと落語のコラボだった。 落語作品は、最近注目されつつあるジャンルだが、本作は落語そのものを追った作品ではない。過去の古典落語の有名どころからあらすじを拝借して、現代劇に落と…

さよならガールフレンド

良い意味で、若い女性の感性が凝縮されている作品。特に表題作のクオリティは素晴らしい。 全般的に、女性の友情と性を描いたオムニバス作品だが、そこに対照的に登場する男性の行動や思考等を含めて、非常に女性らしい作品である。WEBで公開されている「あ…

新久千映のまんぷく広島

ワカコ酒が大ヒットした「新久千映」のグルメレポ漫画。さすがにヒット作を出しているだけあって、漫画としての安定感は十分。紹介されるお店の数も非常に多くて、その点は、類似のグルメレポマンガよりお得。しかし終始、店舗紹介が続いており、ストーリー…

あやしい借金告白されました

(2012年評)ちょっと普段と異なる傾向の作品だが、とりあえず読んだので。マンガとして面白いかどうかでいうと、あまり面白くない。4コマなのに若干読みづらいのには驚いた。作者の感情が入りすぎているのだろう。 人生の参考書としては、そこそこ面白い。 …

小僧の寿し

個人的にお気に入りの作者「勝田文」の短編集。表題作含め、ほんわかした空気感を描かせると、抜群の腕前である。しかし、それ以上にやはり「原作付き」の時の、作品の冴えが並ではない。この短編集でもラストに収録されている「クリスマスキャロル」の出来…

ハル×キヨ

ハル×キヨもついに今月号の別マで完結してしまったので、書いておく。 あだ名が巨神兵の「宮本小春」(ハル)と、完璧人間だが身長だけが弱点の「峯田清志郎」(キヨ)の2人を描いた学園ラブコメ作品。 この手のデカ女、チビ男ジャンルといえば「ラブ★コン…

えへん、龍之介。

(2012年評)奇才・松田奈緒子が描く、芥川龍之介の生涯を描いた作品。 文芸モノで言うと近年は太宰治のマンガ化がブームになっていたが、そんなブームには乗らずに、優等生で作品にしづらい芥川を選ぶ辺り、さすがというべきか。 「レタスバーガープリーズ.…

娚の一生

(2012年評)娚の一生を読むと考えさせられるのは、女性の憧れについてである。一昔前には、この若さと可愛らしさを持つ設定の主人公が35歳未婚という事はあり得なかっただろう。 また、その相手の男性も、独身で51歳。悪い意味で結婚をしていなかったわけ…

四百四病の外

私の中での少女マンガ家ランクとしては、相当なベテランとして認識されている「聖千秋」だが、マンガとしての面白さという意味では、なかなかに今一つだった。タイトルは非常に秀逸。物語も読み返してみれば、四百四病の外、つまり恋の病に翻弄されている人…

にこたま

圧倒的なキャラクター描写と、生々しい生活描写を武器に、大人の世界の恋愛マンガを描きこんだ作品。 とにもかくにも、キャラクターの存在感や、物語のリアリティは素晴らしかったのだが、エンターテイメント性がほぼなかった点が非常に残念。 30代近くの人…

東京シェアストーリー

ゼノンも随分冒険したな、と感じていた作品だったが、あえなく全2冊で終了。 正直、作品のテーマとしては近年では抜群だった。主人公が38歳。アラフォーだけに限定された女5人のシェアハウス生活という設定に魅かれる。 昨今、女性マンガの主人公は30代も多…

寺ガール

水沢めぐみはやはり、王道少女マンガの担い手というべきだろう。 本作、寺ガールは「お寺に産まれた三姉妹」の物語だ。言われてみれば今までそれっぽい作品がなかったのが不思議なくらいであり(ぶっせんはまた別格だが)お寺というのは魅力あるジャンルだ。…

25時のバカンス 市川春子作品集Ⅱ

(2012年評)「虫と歌 」を読んで次の日即購入。 とりあえず、マンガ読みは市川春子を読んでおかないとまずい。そんなレベルで断言できる作品の質。 特に表題作「25時のバカンス」は畢生の出来栄えだ。 前作は独創的という段階であった表現力が、本作ではそ…