当たり前の話だが、このレベルの作者が描くと、
基本的に何でも面白い。
まず、キャラクターが活き活きしている。
次にストーリーも、調律師の女性主人公という
設定がさりげなく効いていて、面白い。
そして、なによりこの作品は
構成が大変素晴らしい。
一冊の単行本の中に、
女性主人公の人生を
しっかりと詰め込めんだ作品というのは、
あまり見かけない構成ではないだろうか。
変に時間軸を飛ばしているわけでもなく、
打ち切られたわけでもない。
きわめてさりげなく、
時の流れを進めて
彼女の人生を描いている。
この、時間間隔の巧みさは、
熟練ならではの技だろう。
大変お勧めしたい一冊である。