(2012年評)
また、帯にやられてしまった。
「発売3日で早くも増刷」の帯に。
やはり、過剰な煽り帯には
変に期待感を高めさせられてしまうので、
逆に読んでからのギャップが激しいのだろう。
作品としては、帯いわく
「泣ける短編」
を6作収録した作品である。
確かに下手ではないし、絵も上手いが
面白いと賞賛を与えられるほどではない。
なんとなく違和感が残る。
一度読み終えた後に、
もう一度読み返して感じた点は、
キャラクターの持つひねくれ方や
不器用さが全て同じである事だ。
絵が上手く書き分けられているので、
感じにくくはなっているが、
キャラクターの不器用さが割と似ている為に、
根底に流れる印象が同じになってしまっている。
(初期の木尾志目作品等が思い起こされる。)
しかし、案外に世の中の
人間というものは幅広い。
同じ不器用さでも
見せ方が違ったり表情が違ったりする。
その辺りを掴みきると、
さらに良い泣ける短編が
描けるようになるのではないだろうか。
ちなみに最後の「それから」という
我輩は猫であるを模した作品は一番面白い。
新人マンガ家発掘がお好きな方に
オススメ。