水沢めぐみはやはり、
王道少女マンガの担い手というべきだろう。
本作、寺ガールは「お寺に産まれた三姉妹」の物語だ。
言われてみれば今までそれっぽい作品がなかったのが
不思議なくらいであり(ぶっせんはまた別格だが)
お寺というのは魅力あるジャンルだ。
けれども宗教系の話も絡むので意外に難しいともいえる。
本作ではその難しさの部分を、
お寺の好きな三女、
お寺の嫌いな次女、
二人を見守る長女、
と三姉妹を理想的に配置する事で、物語に入り込みやすくしている。
しかし、それはあくまで簡易なプロットの部分にすぎず、
本質的な意味での物語への入りやすさは、
やはり水沢めぐみの持つ手堅い少女マンガ観にある。
とにもかくにも読んでいて安心できるのだ。
悪く捉えれば、「安心できる=斬新さがない」
でもあるのだが、昨今は斬新さばかり目立たせようとする
自己満足な作品も増えてきているので、
そんなマンガよりよほどありがたい。
全3冊、若干物足りなさはあるものの、外してはいない。
斬新な設定で、安心の少女マンガ。さすがである。