つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2010年代男性系

漫喫漫玉日記 深夜便

もはや、人生そのものがどこに向かっているのかわからない危うさを持つ、桜玉吉の日記シリーズ。 漫画喫茶に籠り続けて描かれた最新作。正直、完全に枯れきっている。 枯れた味わいというような状況を通り越して、枯れきったオジサンの日記になっている。 絵…

オンノジ

主人公のミヤコ一人が存在する不思議な世界。何をすることもない不思議な日常の中で、彼女は町でみつけた何かを「オンノジ」と名付ける事になる。 作者「施川ユウキ」作品独特の、シュールでほのぼのとした世界観と、不意に挟まれる独特の暗さ。 今までの発…

東京アサイラム

定年退職した主人公が、妻とどうしようもない理由で喧嘩をして家出。その後、公園で怪しい男に誘われた先は、3畳一間のボロアパート。まさにタイトルにあるアサイラム=避難所での不思議な生活を描いたシュールな作品。作者「太田基之」は、非常に地味な作風…

JA~女子によるアグリカルチャー~

JA=農協に切り込んだ社会派作品、ではなく、よくある女子キャラ主人公による農業を描いた作品である。作者「鳴見なる」が農家育ちの「唐花見コウ」に協力を仰いだことから共作という珍しいスタイルで開始されていたが、メインは「鳴見なる」が作成しており…

僕たちがやりました

ここ最近、連載マンガの中で最も続きが気になった作品。それが本作「僕たちがやりました」である。高校生のバカバカしい日常を描いたギャグ作品かと思わせる序盤と、誤って学校爆破事件を引き起こしてしまってからの、古谷実ばりの鬱展開のギャップで、圧倒…

タネも仕掛けもないラブストーリー

高校の手品部を舞台にしたラブコメ作品が、全3冊で完結。手品部という設定は悪くなく、そこに、アイドルを目指しているヒロインが加入するという導入部分は良かった。加えて、彼女の手品が実は超能力だったという設定も、興味深いところだったのだが、予想以…

掟上今日子の備忘録

マンガ版は5巻で第1シーズン完結との事。しかし、流石に原作「西尾維新」である。眠るたびに過去の記憶を失う忘却探偵という設定は、数多くの探偵マンガが乱立している現代においても色褪せない設定だった。そして、忘却探偵が登場する遠因を描いた2巻のスト…

うみべの女の子

オシャレ系最先端のマンガ家「浅野いにお」の作品。知っている限りでは性描写が最も多い浅野作品なので、その辺りが嫌いな人は読まないほうが良い。 いくつも浅野作品を読んできたが、そろそろ「浅野いにお」が理解できた。 最初に読んだ時のインパクトが素…

さよならタマちゃん

近年のエッセイ系作品としては、「ナガサレール イエタテール」と双璧をなす名作。 35歳のマンガ家アシスタント「武田一義」が、突然宣告された睾丸癌。そして始まる闘病生活。 近年のマンガランキングでよくランクインしていたエッセイ系の作品は、悲劇と…

諸星大二郎特選集

最近のマンガ読者にはそこまで知名度が高くないが、往年のマンガファンには、圧倒的な天才として知られている作者「諸星大二郎」。 しかし、それにしても改めて読み返すと天才すぎる。どれをとっても面白い短編集で、個人的には「感情のある風景」に感動した…

ブスだけどマカロン作るよ

その圧倒的なタイトルに思わず目を引かれたら、「カレー沢薫」だった。即購入、爆笑。 ここまで惜しげもなく自分の痛い過去をさらけだせる女性漫画家も少ない。これは、エッセイ系漫画に必要な才能だ。 表題作以外にも、いくつかの作品が含まれており、「な…

ビッグオーダー

こんなにがっかりする作品も久しぶりであったというのが正直な感想。 「えすのサカエ」の新作という事で、完結してから読もうと思っているうちに時間がたってしまったが、このたび、読了。 そのあまりのつまらなさに驚いた。 正確には、過去にヒット作を出し…

背すじをピンと!

全10冊近年のジャンプ作品ではこれ以上ないほど身の丈をわきまえた綺麗な終わり方の作品だった。作者「横田卓馬」は、元々WEB系マンガで名をはせていた人物であり、いつプロデビューするのかと期待されていたが、ジャンプデビューが噂されてから数年は、…

ゲレクシス

「古谷実」が終わってしまったのかもしれない。ゲレクシス完結の2巻を手に取ったわけだが、そんな憤りを覚えるほど、どうしようもない終わり方だった。ご存知の通り近年の「古谷実」作品は、ここで終わるの?と思わせるようなタイミングで幕を降ろすのだが、…

南国トムソーヤ

「東京トイボックス」の作者「うめ」が描く、日本最南端の島の舞台にした冒険の物語。本島からやってきた少年と、地元の少年が出会う導入部分の物語は王道で良かったが、もう一つの裏のエピソードが複雑で、全3冊で纏めるには非常に厳しい作品だった。島を舞…

旦那が何を言っているかわからない件

まさにタイトル通りの作品で、オタクの旦那と普通の嫁というオタクが妄想する展開をひたすら続けるラブコメ作品。 元がWEBマンガなので、画力、構成、キャラクター共に水準は非常に低いが、この手のただラブラブしているラブコメ作品としては、キャラクター…

勇者ヴォグ・ランバ

それなりの量のマンガを読んでいるわけだが、やはり、評価が高くなる作品というのは、どうしても知名度が高いマンガが残ってしまう。面白いマンガというものは、どうしても世間が放っておかない側面があるわけだ。そんな中で本日レビューする作品は、ここ近…

I【アイ】

(2013年評)「いがらしみきお」渾身の異色作がついに完結した。 全3冊。 残念ながら、この作品のレビューはおいそれとは書けない。 雅彦とイサオの神様を探す旅。 もはや哲学なの狂気なのか、その境目が正直わからない。 ただ、人間が生きている間に、一人…

ヒーローズ・カムバック

(2013年評)これはやはり素晴らしいの一言。 細野不二彦の企画のもと、小学館系の歴代のマンガヒーローが、東北復興支援プロジェクトとして復活した作品。 ギャラリーフェイク究極超人あーる伝染るんですサイボーグ009(島本和彦)うしおととら犬夜叉銀…

鋼鉄の華っ柱

相変わらずの「西森博之」作品である。御曹司の頂点から一気に没落する第一話から始まり、それでも鼻っ柱が折れない主人公「御前崎真道」。そんな魅力的な主人公をもってこれたのは良かったのだが、ここ近年の西森作品らしく、物語の構成がどうにもならない…

サラリーマン拝

「吉田聡」の描く、奇想天外なサラリーマン物語も全9冊でついに終了である。喧嘩が強くビジネスに強く、インテリジェンスもあって義理人情に意外に熱い。 こんな無茶苦茶で格好いいサラリーマンは、金太郎以上に実社会には存在しないわけだが、それでも、こ…

伊豆漫玉日記

知っている人は知っている。知らない人は全然知らない。そんな定番の桜玉吉「漫玉日記」シリーズ。往年のファンとしては、もはや、新刊がでるとパブロフの犬として購入してしまうので、面白いかどうかは二の次である。しかし、作者も五十半ばという事で、と…

ハルシオン・ランチ

「無限の住人」の「沙村広明」が送る、コメディ作品。 ホームレスのおっさんが川辺で出会った謎の美少女は、何でも食べてしまう謎の宇宙人だった。それこそ、人間すら食べてしまいかねない危険な宇宙人を野放しにできず、ホームレスは彼女と旅に出るわけだが…

兎の角

女装男子の主人公真白アヤと、ヒロイン天沢イズミの除霊物語。 1巻が出た頃は、もう少し続くかと思われたが、すぐに息切れが始まり、最終的には萌え中心になっているので3冊完結で丁度よかったのだろう。 「睦月のぞみ」名義作品としては最長か。作品発表…

田中圭一のペンと箸

待望の作品の単行本化という事で即購入。これは素晴らしい。パロディや下ネタで有名な「田中圭一」に届いた偶然のオファーから始まった本作だが、これは作者の最高傑作になったのではないだろうか。有名マンガ家の好きな食べ物を、本人にではなく、その息子…

私が妻にしたイタズラ

珍しく電子書籍出身作品のご紹介。本作は、twitterで世の中に知れ渡った、食べても食べても減らない魔法のおにぎりの作者「漢弾地」による日常エッセイマンガである。twitterで見た時から、気になっていたが、作品になっていたことは知らなかったので即購入…

ツレビト

死んだ人間の魂を連れて行く導き手「ツレビト」 生と死の世界の境目を「吉冨昭仁」の画力が、見事に描いた作品。 この異様な空間描写とカメラアングルは、天賦の才能を持った一握りのマンガ家にしか構築できないだろう。 ストーリーも全4冊導入から非常に良…

ラーメン食いてぇ!

「林明輝」は才能あるマンガ家である。 多数の名作を輩出するMANGA OPENにおいて、圧倒的な評価を得て連載を始めた、これだけ才能あるマンガ家でも、簡単に成功する事ができないのがマンガ界の現実。 しかし、本当の才能は世に埋もれないのもまた事…

MASTERキートン Reマスター

年末なので、あの偉大なる作品の続編の話を。発売から随分とレビューまでに時間がかかったのは、本作に対する違和感の正体が長い間わからなかったからでもある。改めて時間をおいて、本編から通しで読んでみた結論だが、やはり本作の存在は「蛇足」だったと…

いいなりゴハン

「となりの関くん 」の「森繁拓真」が描くエッセイ作品。 強引な姉、東村アキコの七光りを元に、美味しいお店を食べ歩くという作品。 コンセプトと、姉の威光にすがりたいという編集部の気持ちもわからなくはないが、残念ながらいまひとつである。 というか…