当時、「一色まこと」がピアノマンガを始めた時には、
違和感しかなかった。
あの、躍動感あふれるキャラクターが命の作者が、
クラシックピアノの作品をどのように描くつもりなのか。
そんな無駄な心配をものともせず、
クラシックピアノが全く似合わないやんちゃな主人公は、
加速度的に成長し、そして、物語もどんどん面白くなっていった。
ところが、絶頂の中での連載雑誌の廃刊。
一時は本気で完結を諦めた作品である。
そんな作品だっただけに、
ラストが読めただけでも感無量だった。
しかも、単に完結しただけではない。
素晴らしい形で完結してくれた。
正直、この伏線は全く読めなかった。
不安を煽っておきながら、
こんな素晴らしい展開を用意してくるなんて、
なんてずるい回収方法なのだろう。最高である。
連載開始から既に18年も経過した本作が、
ここまで素晴らしいラストを迎えてくれるとは、
夢にも思わなかったのは、
まさに長年読み沿ってきた私自身だったわけである。
必ず抑えるべき、クラシック音楽マンガの大金字塔だ。