映画化までしてしまったネット発祥の本作。
電車男から始まる一連のこの手の物語は、
ヘタレの男性が惚れた女性の為に、
一念発起するという展開でおなじみなわけだが、
嫌いになれないのは何故だろうか。
この作品自体は流石にフィクションの度合いが強いが、
2000年代前半に起こった電車男のブームでは、
今ほどネットの知識も普及しておらず、
現代における夢物語として、その地位を確立したわけである。
不細工な主人公が本気で恋愛するマンガは、
真面目に描けば素晴らしいテーマになるのだが、
難しいため挑戦する作品が特にメジャー誌では少なく、
近年で思い当たるのは「きらたかし」あたりだろうか。
反面、ネット発としては本作も含めて様々な作品が創られており、
匿名性の高いネット掲示板と、
不細工な主人公という設定の相性の良さを顕している。
そんな風に、よくある設定や展開にも関わらず、
このジャンルが根強く愛されているのは、
へたれで気弱でモテない男性が、
誠実さだけを武器に女性と向き合うという
昨今のハーレムラブコメにはない、
人生における希望の側面を映しているからなのだろう。
しかし、どこかで見た絵だと思えば「山口かつみ」だったと、
読み終えて気がついた。懐かしい。