c1_全1冊完結
作者ニコ・ニコルソンの存在は知っていたが、まさかこれほど巧みなマンガ評論家だとは知らなかった。 2P見開きマンガで、マンガを紹介するというコンセプトの本作だが、どれも作品の特徴を見事に捉えており、下手なマンガ評論ブログ(当ブログ含)は必要な…
「高田かや」の描く、看板に偽りなしのエッセー作品第二弾。画風や構成も前作より洗練されており、作品としてのインパクトは当然前作より落ちるが、それでも、続きが気になっていた読者としては、満足できる内容になっている。それにしても、カルト集団と呼…
知っている人は知っている。知らない人は全然知らない。そんな定番の桜玉吉「漫玉日記」シリーズ。往年のファンとしては、もはや、新刊がでるとパブロフの犬として購入してしまうので、面白いかどうかは二の次である。しかし、作者も五十半ばという事で、と…
待望の作品の単行本化という事で即購入。これは素晴らしい。パロディや下ネタで有名な「田中圭一」に届いた偶然のオファーから始まった本作だが、これは作者の最高傑作になったのではないだろうか。有名マンガ家の好きな食べ物を、本人にではなく、その息子…
看板に偽りなしの作品である。マンガの歴史に伴い、様々なジャンルのエッセイ系作品が増えてきたわけだが、その幅広さも、ついにここまで来たか、と感慨深い。某〇ギシ会で幼少時代から青年期を過ごした後に、一般人となった作者「高田かや」による、カルト…
年末なので、あの偉大なる作品の続編の話を。発売から随分とレビューまでに時間がかかったのは、本作に対する違和感の正体が長い間わからなかったからでもある。改めて時間をおいて、本編から通しで読んでみた結論だが、やはり本作の存在は「蛇足」だったと…
(2013年評)各所で話題沸騰中の本作。 年末恒例のマンガランキング系作品の各ランキングの上位を総なめ。 総合点をつけるとすれば、この作品がNo1だったのではないだろうか。 しかし、その手の評価と反して本作がマンガとして優れていたかどうかは非常に…
久しぶりにAmazonを眺めていたら、「桜玉吉」の新刊発見!という事で即購入。玉吉信者としては、作者が死んでないだけで嬉しくなって読んでしまう本作だが、かつての作者の全盛期を知らない人が読んでどれだけ面白いのか全く不明。この辺りはエッセー系マン…
その絵柄に覚えあり、という事で本屋で見かけて購入。いやぁ、懐かしい「伊藤伸平」絵柄の古さが何とも言えず、まさに90年代を感じさせられる作品である。物語自体はいたって単純な、タイムリープジャンルなわけだが、この懐かしさは何とも言い難い。逆に、…
「宇仁田ゆみ」作品。 スキマが好きな主人公は、カーテンのスキマから見える隣のお姉さんが気になる日々。 けれども、スキマから見えるという事は、相手からもこちらが見えているという事で。。。 何とも地味で飄々とした作品。 初期の作品らしい、奇抜なテ…
「惑星のさみだれ 」の「水上悟志」が送るプチファンタジーコメディ。 公園のベンチでお祈りすると、自分の悩みを解決してくれる天使が現れる。 悩みの幅は様々で、仕事、お金、恋の悩みと依頼は様々ふってきて、エンジェルのおじさんは適当に頑張って悩みを…
24年組の作品は、本当にレビューが疲れる。なんというか、ちょっと気楽な気分で読み返せる作品が少ないのだ。 「大島弓子」作品はその典型で、冒頭の少女のつぶやきからして、「きょうはあしたの前日だから・・・だからこわくてしかたないんですわ」で始ま…
(2012年評)恋愛短編を7作収録した「天堂きりん」の作品集。 収録されているティーンズラブ系の作品は、並の出来栄えといったところ。 唯一「フロウライト」は女子中学生の傲慢さと神経質な両面が描けていて収録作の中では上位の出来だった。 最近は、読み…
誰の記憶にも残っていないようなマイナー作品を書いてみる。 鬼が怖くて鬼退治をやめる桃太郎。焼饅頭が好きで拳銃を撃ちまくる犬。高飛車でお金好きの女性サルノビッチ(猿)変装が得意なキジ。 そんなどうしようもない一行が昔話の中を旅する道中記。 心底…
本格的なストーリー漫画が描ける作者が、エッセイ系の作品を描くとどうなるのか。これは以前から気になっていたテーマだったのだが、なかなかストーリー系の名手がエッセーに転籍するパターンが少ないために、結論がつかなかった。ギャグ系やマイナー系萌え…
(2012年評)ついに発売された。 「夕方までに帰るよ」で、劇的な印象を残した奇才、「宮崎夏次系」の短編集である。 異様 その一言につきる。 まだまだ奔放に作品を作っている段階だろうが、明らかに異端の才能。 レビューはできない。全ての短編が異常だ。…
(2012年評)また、帯にやられてしまった。 「発売3日で早くも増刷」の帯に。やはり、過剰な煽り帯には変に期待感を高めさせられてしまうので、逆に読んでからのギャップが激しいのだろう。 作品としては、帯いわく「泣ける短編」を6作収録した作品である…
「どんな満員電車でも 必ず座って帰る伝説の中間管理職」 それが流星課長 ロシアからの刺客や、総理大臣を相手にしても流星課長は必ず座って帰る。 とりあえず、これほどバカバカしいマンガには、そうはお目にかかれない。レビューを読むより一読しろ、とい…
天才「荒木飛呂彦」の才能を見せつける初期傑作。 このオリジナリティは、一体どこで身につけるものなのか。大変な鬼才である。 以前、友人と荒木作品の天才性について語り合ったとき、出てきた話題が 「編集部に、この原稿を持ってこられたときに、そのまま…
西岡兄妹 この作者の名前からして、なんとも不思議な感覚に陥れられる。 そして、その内容。 マンガの世界というよりは芸術寄りなのだろうか。 少なともこの作者に既存のマンガを作ろうという気は全くない。 コマ割りはあまり利用せず、その分、絵や文章が映…
「岳 」の作者、石塚真一の短編集。まぁまぁなレベルの短編が続く作品だが、一つだけ読んでおきたい作品がある。 それが、デビュー作の「ThisFirstStep」だ。 これは面白い。抜群に。 絵もコマ割りも酷く、どうしてこんな作品が入選できたのか、と不思議に思…
「鴨居まさね」作品が、万人に評価されるかはわからないが、等身大の女性キャラという意味では、この作者に匹敵するマンガ家は少ないだろう。マンガのストーリーがあるというよりは、生々しい女性主人公がまず世界の中心に存在し、彼女を軸にしてストーリー…
異彩を放つ「水城せとな」も、序盤の頃は普通に少女マンガを描いていたのだなぁ、としみじみさせられる作品。 どの作品も、割と正統派であり、良くも悪くも普通の短編集。 最後の「エンジェル・ナイト」だけは物語に天使が登場する点が異色。 特殊な設定を投…
広島と原爆の物語この手の話はイデオロギーと歴史観に多分に左右されるので、面白い面白くないでは、ないと思われる。 読みたい方は読んでみると良い。個人的には作者が背伸びしていない感じが良い。 「広島在住だが、原爆とは縁遠かった」というこうの史代…
画力でしか表現できないマンガもある。そんな事を感じさせてくれる数少ないマンガ家それが、「谷口ジロー」だ。 「神々の山麓」では、その圧倒的な描写力から、登山の世界を描き出し、「孤独のグルメ 」では、サラリーマンの何気ない日常をこれ以上ないほど…
「カラスヤサトシ」シリーズ ただ、今までの作品と完全に異なり本作は、エッセイマンガではない。 売れない小説家の人生を描いた強風記や、時代劇としてのHOME、意外に上手いまとまりをみせている短編かみなりの3篇を収録した作品集だ。 「強風記」こそ、い…
「ブスだけどマカロン作るよ」に収録されていた、謎の野菜を「めんつゆ」でひたすら虐待する謎の料理マンガ「ナゾ野菜」が奇跡の連載化を果たしたのが本作「ナゾ野菜」である。自分の文章ながら、読み直してみて全く意味のわからないあらすじだが、「カレー…
(2012年評)ちょっと普段と異なる傾向の作品だが、とりあえず読んだので。マンガとして面白いかどうかでいうと、あまり面白くない。4コマなのに若干読みづらいのには驚いた。作者の感情が入りすぎているのだろう。 人生の参考書としては、そこそこ面白い。 …
「マキヒロチ」の作品があまり得意ではなかったのだが、これはなかなかの良作だった。以前読んだエッセー漫画では、あまり自分をさらけ出していないスタイルに共感が持てなかったが、本作はかなり違う。相当に作者の内面をさらけ出して笑いを取ることに成功…
本作は鉄道と恋愛がメインテーマのオムニバス形式の作品となるが、「中村明日美子」は相変わらず読んでいて安心できるマンガ家である。 昨今の短編集は、駄作が混じるケースが殆どだが、本作の場合、どれをとっても捨て作品がない辺りはさすがというべきか。…