総合評価・・・3.80
本当にいまさらながらにセーラームーンである。
実は、これだけ何十年とオタク界隈に生息しながら、かつ、二十年ほど前にセーラームーンの単行本も新装版で入手しておきながら、漫画版を読んだ事がなかったのである。おそらくこれだけ長期間、手元に置いておきながら読まなかったマンガも珍しい。というか他には多分ない。
また、アニメ版も存在はもちろん知っていたし、月野うさぎも亜美ちゃんもレイちゃんも最初の頃はテレビで見ていたし、ムーンライト伝説は名曲だなぁとか思っていたわけだが、正直、シリーズ通してちゃんとは見たことがなくて、そもそも全200話もあるシリーズを全て見るのはとんでもない労力なので、こちらも手元にDVDがありながら、ずーっと放置していた。
それがなぜ、いまさら手に取ってしまったかというと今年セーラームーンCosmosの劇場版が完結した、とかいうファン的にタイムリーな話ではなく、なんとなくニコ動でセーラームーン無印の最終46話のハイライトシーンを見てしまったからである。
正直泣いた。
ひとつ前の45話でセーラー戦士が死んでしまう展開というのは情報としては知っていたが実際ちゃんと映像で見たことはなかったのだが、今回最終話のセーラームーンとベリルのラストバトルに加えて、ムーンライト伝説の歌詞である「不思議な奇跡クロスして♪」の完璧な演出を見て心底震わされてしまったのである。
これはヤバい。
以前、プリキュア初代(MaxHeartまで)をゼロから見た時にも同じように感じたのだが、その後十数年続くことになる作品の持つ初代のエネルギーというのは本当に凄まじいものがあって、こうなってしまうと心はずっとセーラームーンにとらえられてしまうわけで、そこから一気にセーラームーン全200話と漫画版のセーラームーン全巻読破まで至ったというわけである。この3週間ほど全てのエンタメ時間がセーラームーンに消えたのは言うまでもない。
それでまぁ、アニメ版のセーラームーンにはもちろん素晴らしい部分がいっぱいあって、個人的にはやはり外部太陽系戦士やサターンが入り混じって活躍するスーパーが一番好きなのだが、一応、本ブログはマンガレビューのブログなので、マンガのレビューを書きたいわけだが、正直、今回の評価ほど怪しいものもない。
というのも、アニメ版のセーラームーンをご存じの方ならわかると思うが、漫画版とはあまりに色々違うので、当然別作品として評価する必要があるのだが、アニメ版のインパクトが強すぎて切り離すことができないのである。
だから漫画版を読んでいると、はるかがみちるに対してアプローチしてくれないのに違和感しかなかったり、レイちゃんがうさぎに憎まれ口を叩きながらも一番うさぎを可愛がっている、みたいなシーンが見れなかったりする部分を頭が勝手に補完してしまうのである。よって、今回の漫画版の評価は正直無意味。
なにより、マンガを読みながらもラストシーンや戦闘場面では、勝手にムーンライト伝説が頭の中で流れてしまいテンションが上がってしまうわけだから、これでマンガ単体の評価をしようというのが、そもそも無理筋なのである。
とにもかくにもこの「ムーンライト伝説」という曲は圧倒的な神曲で、イントロからテンション上がりまくるし、最後の最後までこの曲に持っていかれてしまうので、セーラームーンの成功はこの曲に支えられたところも大きいのではないかと個人的には感じている。
ちなみに何とか冷静に漫画版を評価できる点としては作者「武内直子」のイラストレーターとしての才能だろうか。とにかく、見開きの決めゴマが「美麗」と呼ぶにふさわしく、特にセーラーサターンの登場シーンと活躍は抜群で、ここは明らかに漫画版に軍配があがるところだろう。
なんにせよ、これだけ世界中で愛された作品が面白くなかったわけもなく、未履修だったことを心から反省した次第である。
文句のつけようがない名作でした。
見たことない奴はとりあえず、46話だけ見ておけ。そして泣け。