努力の天才「森恒二」がまた名作を残してしまった。
自殺を試みる人間の扱いに困った政府が、
自殺者を島流しにする島 「自殺島」
最近の凡百の作者ならそこから、
くだらないバトルロワイヤルや、
仕掛けだらけで先が見えない
ミステリーを展開するところだが、
やはり天才は違う。
全17冊の島の中で描かれる生活は、
まさに「生きる」とは何かという事そのものであり、
「生きる」事の意味を読者に伝えたいという
作者の情熱が溢れている。
マンガ家として全く日の目が当たらず、
死の直前まで自分の人生に絶望し、
「ホーリーランド」の成功で生きる事を許された
この作者だからこそ描けた作品だろう。
今まで溜め込んだ人生の経験全てを詰め込んで、
名作を産みだし続ける「森恒二」の次回作にまた是非期待したい。
ちなみに、作者の人生の経緯に関しては、
「ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り」に詳しく語られているので、
こちらも読んでおくと後書きのコメントも感慨ひとしおである。