主人公大沢公は、
ベトナム大使の倉木和也に雇われた公邸料理人。
倉木が目指す「食による外交」を実現する為に、
主人公が振るう料理の数々が、
時に各国外交官、時には首脳陣の心を動かし、
様々な外交を実現していく。
上述のあらすじの通り、本作を作り上げるには、
かなりの専門分野の知識が必要となる。
政治、海外情勢、料理といった様々な情報を含んだ本作は、
なまなかのマンガ家では描くことはできないだろう。
昨今の、原作者がついている意味が見出しづらい作品と異なり、
まさに、原作者付きのマンガに相応しい傑作だ。
残念な点を上げるとすれば、そのピンポイントさ故に、
同じコンビで別の作品を描くことができない点だろうか。
ソムリエの原作者「城アラキ」にも言えることだが、
原作者の専門性が高ければ高いほど、
同じマンガ家と組んでも、残念ながら似たような作品しか描けない。
実際に、本作の原作者西村ミツルは、他のマンガ家と組んで、
相変わらず料理をベースにしたマンガを描いている。
城アラキも同様にソムリエール等のワイン作品の原作者になっている。
甲斐谷忍が、原作者がいなくても問題ない逸材だったのに対し、
かわすみひろしは本作以後、現時点では良作を生み出せていない。
もう一度本作のコンビによる作品を見てみたいものだ。
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