(2012年評)
ちょっと異色の作品かもしれないが、
古本屋で目に入ってなんだか懐かしかったのでレビュー。
同名のPCゲームを題材にした、
いわゆる「学園エヴァ」作品だ。
アニメ放映から10年近く経った後に、
少女マンガ誌で連載されていたのだから、
エヴァンゲリオンという怪物は、
やはりエネルギーのある作品だったのだろう。
マンガ単体としての本作に関しては
あまり正しい評価が付けられない。
なぜなら私自身が
アニメのエヴァンゲリオンを既に視聴してしまっているからだ。
原作アニメを見ていない人にとって、
本作が面白いかどうかはわからない。
どちらかというと、つまらない部類かもしれない。
しかし、原作アニメの、
あの凄惨な展開を知っている人間にしてみれば、
本作のような幸せな空気に包まれているエヴァンゲリオンには
なんだか和まされてしまう。
アニメの最終回付近で、
一瞬だけ描かれる「学園モノ」の空気に
多くの視聴者が魅了されたのも必然だった。
本作に登場する、
感情豊かなレイ、
他人と関わる事を恐れないシンジ、
そして、いかにも少女マンガの主人公然としているアスカ。
そんな彼らの幸せな学園生活に
おもわず微笑まされてしまうのは、
やはりあの陰惨な原作の日々があってこそなのだろう。
虚構のはずのアニメーションに、
視聴者の夢想を重ねた「学園エヴァンゲリオン」は、
原作GAINAXすらも巻き込んだ、
壮大な同人誌だったのかもしれない。
新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド2nd. 1-6巻セット
- 作者: 林ふみの
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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