コミカライズ作品は往々にして
上手くいかないものだと捉えているが、
その例外的な存在として
山田風太郎、せがわまさきによる時代物シリーズが挙げられるだろう。
甲賀忍法帖の描く
おどろおどろしさ、
怪しさ、
妖艶さ、
等を、見事なまでにマンガの世界に落としこめているのは
せがわまさきの卓越したマンガ力による部分が大きい。
本作の成功で味を占めたのか、
ヤングマガジンは次なる連載として
「Y十M 柳生忍法帖」を開始したが、
こちらは若干食傷気味な展開になってしまったのは残念だった。
短期間で完結する作品には名作が多いが、
本作もそのパターンを踏襲する傑作である。
甲賀と伊賀の忍者が、
文字通り殺しあうその展開は、
近年の作品にはない骨太さを感じずにはいられない。
これぞ原作付きマンガの醍醐味というところか。
そして、作中で描かれる忍の技を、
一際美麗に仕上げている「せがわまさき」の技術力。
近年の作画環境があるからこそ
成し遂げられたと言うべきかもしれない。
過去と現在が見事に融合した本作は、
数少ない忍者物のお勧め作品だろう。
バジリスク 甲賀忍法帖 コミック 全5巻 完結セット (ヤンマガKC)
- 作者: せがわまさき
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/30
- メディア: コミック
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