つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

バジリスク〜甲賀忍法帖〜

コミカライズ作品は往々にして
上手くいかないものだと捉えているが、
その例外的な存在として
山田風太郎せがわまさきによる時代物シリーズが挙げられるだろう。

甲賀忍法帖の描く
おどろおどろしさ、
怪しさ、
妖艶さ、
等を、見事なまでにマンガの世界に落としこめているのは
せがわまさきの卓越したマンガ力による部分が大きい。


本作の成功で味を占めたのか、
ヤングマガジンは次なる連載として
Y十M  柳生忍法帖」を開始したが、
こちらは若干食傷気味な展開になってしまったのは残念だった。


短期間で完結する作品には名作が多いが、
本作もそのパターンを踏襲する傑作である。

甲賀と伊賀の忍者が、
文字通り殺しあうその展開は、
近年の作品にはない骨太さを感じずにはいられない。
これぞ原作付きマンガの醍醐味というところか。

そして、作中で描かれる忍の技を、
一際美麗に仕上げている「せがわまさき」の技術力。
近年の作画環境があるからこそ
成し遂げられたと言うべきかもしれない。


過去と現在が見事に融合した本作は、
数少ない忍者物のお勧め作品だろう。

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