総合評価・・・3.56
最近、長期連載作品を完結してから読むことが多くなってきて、
マンガを怠けている今日この頃。というわけで、本作も今更ながら読了。
先にお断りしておくと人気作品だったかもしれないが、
若干、辛口評価も入っているのでファンの方はご遠慮ください。
まず、100%認める点としてはタイトルの良さ。
作中何度も登場するフレーズで、かつ、この作品のメインテーマともいえる、
素晴らしい魅力を持ったタイトルである。
そして、いつ、このタイトルを作中で伏線回収するのだろうと思っていたら、
第189話『実は私は』で、ここまで見事に回収するとは思わなかった。
この最終巻の流れは完璧。アマゾンで最終巻の評価が異様に高いのも納得だった。
なので、途中で読むのをやめてしまった人がいたら、
この最終巻付近だけは絶対読んだほうが良い。感動である。
ただ惜しむらくは、最終巻で回収される伏線が浅い点だろうか。
確かに作中では以前からキーワードがちりばめられてはいたのだが、
数コマ登場する程度のキャラクターも多く、
この辺りは感動系の流れにしようと思えば、
もっと王道にすることもできた気がするのは残念。
そしてこの残念さは作品全般を通しての感想にもつながるのだが、
一言でいうと、ハーレムラブコメマンガを描きたいのか、
青春ラブコメマンガを描きたいのかが、よくわからなかったのである。
1巻の頃の絵柄が途中で激変している事からもわかる通り、
作者「増田英二」はシリアスも描ける作風の持ち主で、
その路線も十分あり得たのだろうが、困ったことにギャグも得意なのである。
その結果が、本作の人気にもつながったのだが、
ギャグの面白さとストーリーのシリアスさが混在してしまうことが多く、
読んでいて、どちらの感情に引っ張られるべきなのかが難しい場面が多かった。
また、下手に人気が出てしまった作品の弊害で、
最終巻のカタルシスのために22冊必要な作品だったかというと疑問で、
恐らく十数冊で終わると、作品の長さとしては丁度良かったのだろう。
それぐらい10巻以降程度からは、同じネタの焼き直しが多くなってしまい、
正直、途中でだれてしまった感じは否めない。
などと色々不満点も書いてみたが、
「ただの人間には興味ありません!」
と言いはなった作品が2003年に発表され時代を制したのちに、
その10年後の2013年に吸血鬼、未来人、狼男、悪魔、堕天使、眼鏡、
と様々なキャラクターが駆け回る青春ラブコメ作品が流行したのだから、
そのあたりの流れを考えると感慨深くもあり、
現代の流行を抑えた傑作だったのだろう。
学園ドタバタ作品が好きな方にオススメしたい。